ミラクルが来る。
「くるくるッ☆」
軽快に振り回していた。
まるで投擲器のように。
どちらの重さも偏らないように。
よく視ると、それは人の頭だった。
鎖でみっしりと繋がれた双頭からはいくら振り回してみても血渋きの1滴すら溢れることはない。
辺りを確認しつつ、真っ赤に染まった瞳から狂気が呟いた。
「ねぇ~ェェェ……。 ナンで? こンなことしたのかなぁぁぁ……」
ブンブンと振り回される様は処刑者を彷彿させている。
今すぐにも、拘束されかねない。
頚をはねるとかいう以前に
緊迫した状況 ── 鬼女がいた。
「ま……待ってくれ! 頼む!! これには海よりも深く、宇宙の神秘にも等しい事情が……ッ!!」
聴く由もなかった。
繋がれた頭部から察するに、要は三人目である。
浮気したのがバレた回数。
断じて許してなるモノか。
「あっ、そう…………だったら……」
要らないわね、もう、頭なんて。
浴室は湯気と、液体で満たされている。