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097★和也の衣装が物語るモノ2



 だが、和也がそういう知識があろうが無かろうが、そんなモノは関係ないのだ。

 ようは、そう見える者がいるということが重要なのだから…………。


 なんと言っても、現在の和也の姿とラ・アルカディアンの皇帝の条件は、相似点がありすぎた。


 ラ・アルカディアンの皇帝の条件は、全ての精霊の加護をその身に受け、国民に豊穣を約束する存在であり…………。


 その皇位継承者は、翼竜などと《契約》し、国民に、他国からの侵略に怯える必要の無いことを知らしめるという…………。


 もう、間違えるのは当たり前というくらい、条件があってて、更に、その意匠なのだから…………。


 彼の国に生まれてさえいれば、飢えも戦争も知らずに生涯を終えると言われていた。


 水と緑を失いかけ、飢えを何度も味わい、戦争の恐怖を味わう庶民や戦うしかない立場の貴族達にとって、ラ・アルカディアンの皇帝や皇子達が、どれほどの憧れのまとなのかを…………。


 まして、空を行き交う飛竜騎士などにとって、ものすごい憧れの存在だったのだ。


 和也は、ラ・アルカディアンの皇子の衣装で、その騎竜である白銀の翼竜・銀嶺に乗って飛ぶ意味を………まったく知らなかった…。


 知っていても、何も考えない銀嶺と…………。

 知っていて、それに何の価値も意味も見出さない精霊を従える和也。

 そして、和也の周りには、堂々とその姿を現している精霊達が飛んでいる。


 和也の姿を見た飛竜騎士は、追い駆けようとしたが、ただの飛竜と翼竜では、速度が違い過ぎて、あっという間に見失った。


 その中には、和也に従う精霊達を、その瞳に焼き付けた者もいた。


 彼らは、自国に帰りその話を神官に報告したのだった。


 もちろん、真実の鏡を作ってもらい、自分の見たままを再生してもらいたのは当然のこと。

 そして、改めて自分が遭遇したのは、恋焦がれてやまないラ・アルカディアンの皇子だったと確認したのも当然だった。


 それは、神官達と飛竜騎士達、天駆ける者達の中で共有される秘密となった。 

 ただ、王や王族に報告したものは一人もいなかった。


 飛竜騎士も飛竜戦士も天駆ける者達にも、皇子や王子や王族も、大多数を占める貴族と少数の庶民がいた…………。

 が、彼らは天駆ける者で、地上を駆ける者と相容れない感性と矜持を持っていた。


 ようするに、飛べない者を差別していたりする。

 彼らにとって、飛べない者は《力》無い者で、護るべき存在でしかない。


 それが、王であろうと何の関係も無い。

 今代の王には、和也に取って幸運にも、誰一人として飛竜を駆る者はいなかった。


 それ故に、数名いた皇太子(王太子)は、王に何も告げずに和也を探す。


 彼ら(和也の姿を見てしまった者達)の頭には、既に、王に対して、なんの価値も無くなってしまったのは確かなこと…………。


 彼らにとって、和也を皇帝として戴き豊かな大地と争いの無い世界を…………とのぞんでいたのだ。

 その為なら、他国の飛竜騎士達と連携することもためらうことは無かった。

 

 何故、彼らはそこまで、盲目的に、ラ・アルカディアンの皇子を求めるのか?

 

 それは、飛竜騎士や飛竜戦士になる誓いをするときに、彼らはラ・アルカディアンの皇帝や皇子達の話しを聞く。


 それは、どこの国でも、代々の飛竜騎士や飛竜戦士達が、センパイ達に聞く話しだった。


 ラ・アルカディアンの皇位継承者の1人が時空を超える旅に出たと…………。

 それは、疫病に襲われ帝国としての《力》を失った未来の民を護る為に…………。


 皇子は、未来へと、翼竜と精霊と共に…………。

 精霊は、荒れ果てた国土と民を癒すために…………。

 翼竜は、他国より民を護る為に………と。


 それ故に、正統なるラ・アルカディアンの子孫たる我等は…………。


 皇子をお迎えし、国を建て直し、民と共に生きる為に、必ず皇子を探し出し、自国に連れ帰るコトを誓うのだ…………と。


 和也が聞いたら…………。


 『バカですか……時空を超えた皇子様なんて居るはす無いでしょうに……』


 と、いうことを、大真面目に言っただろう…………。


 『はぁ~……だいたい……一万年もあれば、森林地帯が…………

 草原へ草原が砂漠へと環境変化が起こっても…………

 なんの不思議もありません。


 サハラ砂漠だって、もとは木々が生い茂り

 草原も河もあったんですから………


 その証拠に、オアシスからオアシスへと砂漠を

 渡るワニが、いまだに居るんですから…………


 そうじゃない……気候変動は、どこにでもあり得るコト

 森林地帯が草原になったら………砂漠化は…目前なんです

 人間の営みが、失敗すれば………数十年で砂漠になります


 だから、ここが……砂漠になっても不思議はありません……  

 ラ・アルカディアンの皇族が、居なくなったから砂漠になった

 というコトはありません……環境変化です……


 ただ、精霊と《契約》するぐらいの人物が多数いたなら

 砂漠化は、かなり緩やかになっていたでしょうけど』

 

 と答えただろう。


 そして、この砂漠化した世界を元の緑の大地に戻せるかと和也に尋ねたら。

 きっと、苦笑して時間をかければ出来ると答えたのは確かなコト。


 『砂漠の土地は肥えています。ですから、水を引けば…………

 緑に変えるのは簡単です……光はたぁ~んとあるのですから……


 出来れば等間隔にオアシスを作り、それを点から面へと…………

 変えるんです……精霊に小さく、水を引っ張ってもらってね

 それと、ここには……精霊の他に水の女神様もいます…………


 彼女?らに水を……海水から塩分を分離し……真水を用意してもらう

 それを砂漠に近い高い山に、雪として降らせます


 それから雪解け水として……河を作り…大地に…………

 という……大きな工事?をすれば……

 まぁ…100年も経たずに、緑の大地にできますね』


 環境破壊があるなら、環境育成も有りでしょうと和也は答える。

 そして、それは、飛竜騎士達の望むラ・アルカディアンの皇帝そのものの答えなのだが…………。







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