094★和也と精霊達 すれ違う思い?
まぁーチカ達の造るモノだから、大丈夫でしょう
ただ、あの……装飾……華美……苦手です
けど、お礼は言わないとね
和也は、質の良くないロボットのように、気合と根性で、ギクシャクしながら、チカにお礼を言う。
「ありがとう……チカ……」
和也の言葉に、チカは、テレテレしながら言う。
「うん……ますたー…もっと…チカにお仕事ちょうだい
……いっぱい作るから……チカだけで作れないときは………
皆に、頼むから……大丈夫だから……」
受け取った衣装をざっと見て、苦悩する和也に銀嶺が声を掛ける。
ますたー……私を外に出して下さい……
私の装備を着けてもらいたいのですが…………
どうせなら、鞍をつけてもらい
ますたーに、乗り心地を確認して欲しいのですが
私は、一刻も早く、ますたーを乗せて空を飛びたいのです
銀嶺の言うことは、もっともなコトだったので、和也は銀嶺を外に出した。
あらためて、瞳にする銀嶺は、大きくて綺麗な白銀のウロコで覆われた身体に、純白の翼を持つ飛竜だった。
その姿に、和也は、苦笑しながら思う。
良かった……チカに…鞍を作ってもらって…………
あのすべらかなウロコでは、思うように掴まれなくて…………
ツルッと、銀嶺から落ちてしまうのは確実ですね…………
こんな大きな銀嶺が、ボクの中に入っているなんて…………
流石は、ファンタジーって思ってしまいます
鎧とかを装備された銀嶺は、獰猛な飛竜に見えるのでしょうか?
それとも、洗練された美しい飛竜に見えたりして…………
楽しみですねぇ~………では…ボクも着替えましょう…………
しかし………これって、どこの羞恥プレイでしょうねぇ~………
はっきり言って、全部必要なモノですけど…………
緋崎くん達には見せたくないですね
はぁー………恥ずかしい…
和也が、純白の軍服?を、恥ずかしそうに握っているのに、チカはニコニコとイイ笑顔で自分の望みを口にする。
「ますたー……チカの作った衣装を着て欲しいのぉ……」
にこにことイイ笑顔のチカに、和也はかなり引きぎみになりながら言い返す。
「うん……着るから……」
着ると口にしながら、和也はなかなか動きださない。
地味で目立たなくて気配が薄いという個性を持つ和也は、真っ白な軍服?を着る(=目立つ)ことを嫌がっていたのだ。
動き出さない和也に、チカはよりにこにこ笑って言う。
「ますたー……お着替え手伝いますぅ……」
「あぁーだったら、チホもぉー」
「チエだって……お着替え手伝いますぅ……」
キラキラした瞳で、自分を見る3人の精霊に和也は苦笑する。
そして、諦めた沈んだ色の瞳で和也は言う。
「手伝いは必要無いです。着替えはボクひとりでできます」
「「「ええぇぇー……お手伝いしちゃダメなのぉ~……」」」
和也のお断りの言葉に、地の精霊達は頬を膨らませて文句?を言うのだった。
が、それを無視して和也は、制服を脱ぎ始める。
その姿が、他の者に見えないように、ナミは和也を水球で覆った。
深く考えてのコトではなく、なんとなくやってみたかったらしい。
そう、色々な用事を言いつけられる地の精霊にちょっと嫉妬したらしい…………。
一方の和也は、自分の着替えをあまり見せたくなかったので、ナミに心の中で感謝していた。
だって………。
『はぁ~………基本姿勢、黒子のボクが…………
なんで、皇子様みたいな服装にならなきゃないんです』
と、心の中で盛大に叫んでいたから…………。
内心で色々と葛藤しながら、和也は純白&黄金の詰襟の軍服?に着替えた。
はぁ~……シャツも…この詰襟の軍服? も………
ボクにぴったりフィトしています
チカの腕はかなりイイみたいです……
さて……この剣帯も着けて、この剣を…………
つける前に、どんな剣なのか確認してみよう…………
和也は、居合いと剣道をやっていたので、日本刀が大好きだった。
前回のアルバイトのお金とへそくり?と祖父カードを使い、欲しかった国宝三日月によく似た日本刀を買って、自分モノにしていたりする。
もっとも、銃刀法の関係で未だに、その刀は和也の手元に来ていない。
日本刀を持って歩くには、銃刀法による許可が必要なのだ。
その許可は、なんとも不思議なコトに、都道府県の教育委員会にある。
それと、都道府県公安委員会にもある。
日本刀は、基本、美術品または古美術品に分類されるので…………。
だいたいは、教育委員会で済みますね。
閑話休題。
黄金作りの鞘から、黄金作りに宝石を象嵌した柄を握り、和也はスルリと剣を引き出す。
そして、和也は、剣の形状と輝き、質感、重さなどを確認する。
へぇ~…………綺麗な片刃の剣ですねえー……
そして……黄金の装飾が着いているのに軽い
この剣の素材は?
……いったい……なんなんでしょうか?
後で、チカに聞いてみましょう………
でも、銀嶺に乗る為に、剣まで装備するって…………
いったいどんな意味があるんでしょうか?
はぁ~……この派手なサークレットは、ちょっとぉー………
出来れば、つけたくないですねえー…………
でも、せっかく、チカが作ってくれたんだし………
なにも、白金に何か青い宝石とダイヤ? かな?
なんてモノで、象嵌しなくてもイイと思うんですけどぉ…………
でも、これには、守護が付与されてますよねぇ…………
1番重要な………風の衝撃を遮り……とぉ……
酸素濃度を維持する機能が、エンチャントされているから………
つけないわけにはいかないです
和也は、内心で盛大な溜め息を吐きながら、1つずつ身に着けて行く。