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093★みぃ~んな、和也が大好き



 「我、黒沢和也が、呼びかける、我と《契約》せし光の精霊よ………」


 意を決した、詠唱は唱え終わる前に、ぶった切られた。

 そう、名を呼ぶ前に、光と言った次の瞬間には、しゅっと現れてにこにこしながらのたまう。

 

 「はい、ますたー……ヒナが必要なのね……嬉しい」


 もしもし……ヒナちゃん……そういうキャラだった?


 「光って、言ったら、闇だよねって……ことで……ツキもいるよ」


 えっとぉ~………ツキちゃんもなの………

 

 目の前で、にこにこと笑っている光の精霊のヒナと闇の精霊のツキが和也の前で手を振っていた。

 それを見た和也は、内心で大きな溜め息を吐き出していた。


 精霊って、こんなに簡単にヒョイヒョイと出て来るモノなんでしょうか?

 それとも、ボクのコミュ力不足が原因なんでしょうか?

 いや、その前に、なんか……意思疎通っていうか……

 会話のかっこが、同じになっているような………


 赤沢君達はどうしているんでしょうか?

 ボクのように苦労して苦悩しているんでしょうか?

 このゲームって、予測が出来ないですぅぅ…………


 もう…帰りたいですって言いたいですね

 一緒に居るのが、もしも緋崎くんだったら…………

 コクコク頷いて、賛成してくれそうです

 でも、ここには、ボクしか居ません

 

 和也は、頭をひとつ振って、両手で頬を軽く叩く。


 こんなことでヘタレていては、銀嶺に乗れません

 ファイト……ボク……

 早く、銀嶺に乗ってあのオアシスに行きたいですねぇ~


 内心でかなり葛藤した和也は、精霊達に、銀嶺に乗る予定だと説明するのだった。


 「ボクは、あのオアシスまで、銀嶺に乗って行きたいので

 みんなに協力して欲しいんです」


 火の精霊のエンが、和也をジッと見ながら発言する。


 「マスターは、飛竜に乗る訓練を受けたコトがあるんですか?」


 エンのもっともな質問に、和也は苦笑しながら答える。

 

 「ありません…だって…ボクの国には…飛竜は居ませんでしたから…」


 和也が、飛竜に乗ったコトが無いと言うと精霊達は、次々に発言する。

 それは、経験の無い和也を護りたいという精霊達の思いだった。


 「だったら、フウカが……ますたーが、銀嶺からぁ……

 落っこちたりしないようにぃ……風で膜を張って守護してあげるね」 


 「ますたー…知っていますか? ……空は意外と寒いんです………

 ……ですから、俺が…温めます…」


 「分厚い雲の下や雲の中って、けっこう暗いから

 マスター、ヒナが、辺りを明るくしてあげる」


 「空を飛ぶ邪竜や野生のワイバーン、グリフォンの類いから、

 ツキが、ますたーを隠してあげるよ」


 「えーとね…空は…乾わいていると思うの…だからぁ~……

 ナミが水の気で、ますたーを覆ってぇ~護ってあげるねぇ~」


 和也は、精霊達の発言に苦笑していた。

 勿論、下手に1人に答えると全員に答えることになるので、あえてにこにこしながら口は閉ざしていた。

 なんと言っても、口は禍の元だから…………。


 さすがは、精霊達ですねぇ~…………

 飛竜騎士やペガサス騎士、グリフォン騎士の類いは…………

 意識の端にも、上らないんですねぇ…………


 ボクとしては、人間の方が気になります……

 ここから、あのオアシスに至るまでに

 飛竜騎士などに、出会う可能性があるのか?


 そっちの方が、知りたいですけどね

 誰に聞けばイイんでしょうか? ……はて……

 困りましたねぇ………適任が誰かちょっと判断できません…


 和也が内心でグルグルしていると、チカ達が元気良く現れた。

 にこにこ笑って、和也に作ったモノを差し出す。


 「はい、ますたー……チカ…一生懸命作ったよ…」


 その言葉と共に差し出された衣装は…………。

 真っ白な詰襟タイプの軍服?で、飾りボタンは黄金でてきていたし、肩止めや飾り鎖や刺繍、肩止めなどは金色だった。


 もちろん、マントも白で、その中央部分には、金糸で銀嶺と交差する2本の剣が描かれていた…とぉーっても、見るからに豪奢なモノだった………。


 軍服?とマントの裏地は空の青で、すそ部分に金糸と銀糸で縁取りがある。

 どこまでも凝った作りのモノだった。


 どこのコスプレ?ベル○ラ?銀英○?それとも、自衛隊とかの礼服という、見るのは楽しくても、自分で着るのは、ちょっと勘弁してくださいという代物だったりする。

 それをにこにこ笑って差し出すチカ。

 和也は、引き攣り笑顔で受け取る。


 うっわぁー……真っ白な礼装用の軍服? ……凄いモン作ってきた

 縫い取りの刺繍は金糸と銀糸、飾りボタンと飾り鎖は純金……


 肩の飾りは金糸を織って作ったもの、モールも金糸をよって作ったモノ

 剣を吊るす帯も金糸と金色の皮……金具は黄金作り……


 そして、細身の片刃の剣……鞘は…………

 オリハルコンに、黄金と宝石を象嵌したモノ………


 柄の部分も、オリハルコンに金と白金と宝石を着けたモノ………

 いったい…………幾らするんでしょう?


 ズボンにも、金糸でラインが…………

 そして、白いブーツ どこの皇子様? ですか?

 ………これって…やっぱり…コスプレ?


 いや、そうじゃなくて、なんで白なの?

 白って、このままの真っ白さを維持するのに…………

 滅茶苦茶手がかかるはず…………


 だから、お金のある人しか着ないって……何かで読んだ気が…… 

 でも、チカは、こんなモノどぉーってコト無いって言うんでしょうね


 あのオアシスのテント? 天幕? や、その中身も、幾らするの?

 って、代物だったからなぁー…………


 銀嶺に乗って飛びたいから………これを着る…

 人間は誰も居ないんだから……諦めろボク……


 和也は、チカが持ってきた、飛竜騎乗用の装備一式を見て、内心で自分に頷くのだった。








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