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089★和也のありふれた日常6



 相沢の発言に被せるように、月城も肩を竦めて言う。


 「まっ……ほとんど…記憶が無いってコトだよ…」


 ゲームの内容を、覚えていないという月城の発言に、和也達は驚いた。


 えっ? 覚えてないって? 本気で言ってます

 ………あぁ…本当なんですね

 あの時、アルバイト後にカラオケで話したメンバーは

 全員内容を、わりと詳細に覚えていたのに…………

 って、そう言えば………そういう説明されたような気が………


 月城と相沢の表情から、本当らしいことを見て取り、和也は眉をひそめる。

 その直ぐ側では、何も考えていない緋崎は、失礼なことをつい言ってしまう。


 「えっえぇぇ……あんなに……濃い内容なのにぃー………

 覚えてないんすかぁー……マジでぇー…驚きー…アル………」


 緋崎の発言に非常にマズイモノが含まれるとわかった和也が、その発言を途中でぶった切る。


 「緋崎くん……最初の説明の時に聞きませんでしたか?

 ……あのゲームは……プレイした内容を、基本は…………

 忘れるようになっているって……言ってたでしょう…」


 和也の発言に、なんとなく緋崎は納得した。


 「あっ……そう言えば……」

 

 あんとき、一緒に部屋に入ったわけじゃないのに…………

 清雅となぜか一緒に居たよな?


 なんで、トッカゲン達や恐竜もどきと出会ったんだ?

 ゲームクリエイターって言うんだったら…………

 もう少し、自分好みのゲームにしても良かったと思う………


 たとえば、アンデットモンスターやゾンビの類いを

 ガンガン聖銃で銀の弾丸で撃つ方が、俺の好みなのに…………


 まっ…恐竜もどきを…撃つのも…それなりに楽しかったけど………

 今度は、聖別されたライフル銃で、アンデットモンスター達を撃ちたいなぁ


 はぁ~………このままじゃ……赤沢ツイン達に……イジメられるから………

 ストレスめっちゃたまりそうだぜ………


 だからって…ゲーセン行く体力は……絶対に残らない………

 つーか……自力で…家に帰れるか? ってぐらい……

 ガツガツに体力と精神力を削られそう………


 はぁ~……和也に……あやまりいれて……まもって…もらおう…

 良し、次のバイトん時は、頑張ってみよう…………

 

 緋崎は、コクコクと頷きながら、ゲームを思い出したり、これからの自分について暗ぁ~く考えていた。

 そんな緋崎を見ながら、和也も色々と考える。


 本当は、違うんですけどね…………

 こう言っておいたほうがイイでしょう…………

 月城センパイってば、よっぽどいやな内容だったんでしょうねぇ

 自分で記憶をデリートするほど…………


 他のセンパイ達も頷いているから…………

 似たりよったりの内容だったんでしょう…………

 触らぬ神に祟りなし………ですね


 でも……赤沢くん達のゲーム内容は気になります……

 ちょっと聞いてみようかな…………

 いやいや……今は……合同練習優先です

 我慢です……終わったら…………


 自分の思考にはまった和也と緋崎を、スルーして相沢は赤沢ツイン達に話し掛ける。


 「あのね、アタシってば、さっき、コーチに頼まれたことがあるの」


 相沢に話しかけられた赤沢ツインは、不思議そうに首を傾げる。


 「「なにを?」」


 人の悪い?黒い笑顔で相沢は答える。


 「せっかくの合同練習だから、東西でチーム作って、ゲームして欲しいって」


 「「…………」」


 黙っている赤沢ツインを無視して、相沢はシレッと話しを続ける。


 「ゲームメイクは、東はアタシが監督で…………

 キャプテンは、赤沢ツインの貴方達よ」


 黙っていても、何も意味は無いと思い赤沢(兄)は苦笑しながら問い掛ける。

 和也が気に入っているし、自分達も気に入っている相沢が、監督なので拒否する必要も無いと思っているので…………。


 「西のチームは?」


 「監督が、そのまま監督をするわ」


 「キャプテンは?」


 「てきとーに、クジで決めるって…………」


 「随分とイイ加減なんですね」


 「監督に言わせると、貴方達以外は、数合わせに近いから……って……

 言葉をにごしていたわねぇー……それに、無意識だと思うけど……

 『アッチの人間達とのバスケの試合って、怪我人がでたりするから……

 交代要員は必要だし……』って…遠い瞳をしてボソボソ言っていたわね…」


 「そうですか」


 「そう……なのよ…東西の人数格差は気にしないってコトで………」


 「ふーん……スターティングメンバーは?」


 「あっちにハンディーを与えるってコトで……クジ引きにして欲しいって……」


 「わかりました」


 「じゃ…みんなを集めましょう」


 「はいはい」


 赤沢ツインの了承を得た相沢は、監督のもとにいそいそと歩いて行く。

 それを、和也達は苦笑して見送るのだった。

 

 マジメに練習に励み、監督に認められ選抜メンバーに選ばれるという極普通の合同練習ではないのだ…。

 はっきり言って、実力格差がありすぎで…………。

 選抜メンバーは、ほぼ決まっていると言っても過言では無い。


 スターティングメンバーは、赤沢ツインと緑川、浅黄と青木、紫島と和也、緋崎と氷川の誰かだろう…………。

 他に、月城達の二番手集団と言うところ…………。


 ざっくりと言えば、実力も有り、連盟に資金援助している赤沢ツインの気に入る人間を選抜メンバーにするしかなかった監督達に選択肢は無い…………。

 この練習試合は、赤沢ツイン達と他のメンバーとの実力格差を本人達に見せつけて、選抜メンバーから外れるコトを自覚させる為のモノだった。

 

 練習試合が始まると、東西の格差は、みごとにスコアに反映される。

 こうして、選抜メンバーは決まった。

 が、正式発表がされるまで、チンタラチンタラと集まっては、哀れなかませ犬達は自尊心をガリガリと削られることになるのだった。


 それに、気が付かない和也は、緋崎や月城達に、懐かしいもとチームメイトの赤沢達と一緒にプレイできるコトを純粋に楽しんでいた。

 もちろん、緋崎や月城達も気が付いていなかった。

 気が付いて苦笑していたのは、赤沢ツインや緑川達と相沢だったのは言うまでもない。

 

 






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