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088★和也のありふれた日常5



 和也の言葉に、赤沢(兄)は、苦笑して言う。


 ふふ……和也ってば……僕に……ゴリ押しさせたい程……

 あの監督達の作った練習メニューが……気に入らないんだね……

 マジメな和也が、サボりたくなる練習って…………

 どう考えても、練習の意味無いなぁー…………


 「あれ、和也……練習イイの?」


 赤沢(兄)の質問に、和也はシレッと答える。 


 「赤沢くん達が、サボっているから……呼んで来いって…………

 相沢センパイに、言われて来ました。

 サボらないくださいね。怒られるのボクなんですよ」


 ちょっと冷たい和也の言い方に、赤沢(弟)は、溜め息をひとつ零しながら言う。


 「そう……じゃ…行こうか」


 赤沢ツインが頷いたのを了承ととり、和也はすたすたともと居た場所へ向かう。

 次の瞬間、赤沢ツインは、和也の左右をサッと陣取り、一緒にすたすたと歩き始めた。

 その後を半歩下がって、まるで[触らぬ神に祟り無し]というように、緑川達が、ゆっくりとついて歩くのだった。


 恵まれた身体能力、素質、努力することを厭わない性格が合わさって、やたらめったら高い実力を持つ集団は、見る者を引きつける。

 そんな赤沢達の中にいるのに、見事に和也は、その存在を消していた。


 そんな中から、和也は目に付いた緋崎へと声を掛ける。


 「緋崎くん、オーバージャンプしすぎですよ。

 相沢センパイに、また、怒られます。

 とりあえず、少し休んでください」


 そう、和也に声を掛けられた緋崎は、ビクンと飛び上がった。

 そして、目じりに涙を満々と湛え、怯えた表情で、緋崎は和也に叫ぶように言う。


 「……っ……うおおぉぉぉぉぉぉー…………怖ぇぇぇぇーんだよぉぉぉー

 ………気配を消したまま、突然、俺に声を掛けんなよぉぉぉ…………

 頼む……怖いんだぁぁぁ…………」


 くすっ………やっぱり…緋崎くんは、からかうと面白いです…………

 特に、幽霊などの心霊現象が苦手ですからねぇ~…………

 ボクが気配消して声を掛けると、面白いように反応してくれる

 

 緋崎の失礼な発言に、和也は悪戯心まんさいの内心を綺麗に隠して、いつものコトと苦笑しながら言う


 「相変わらず、失礼なコトを言いますねぇ………

 気配が薄いのは、ボクの個性です……いい加減、覚えてください………


 ハンティングが、趣味だった時期もあるんでしょ……まったく………

 野生動物の気配の無さに比べたら、どうってことないでしょう


 普通の人間のボクの気配ぐらい簡単に感じられるでしょう……緋崎くん

 ……今度…叫んだら…イジメますよ……」


 さらりとイジメる宣言をする和也に、緋崎は涙目で言い返す。


 「イジメるなんて怖ぇーこと……赤沢達のいる前で…言うなよぉー………

 みんなに、イジメられたらどーすんだよぉー………

 ………俺…気ぃー弱ぇーんだよぉぉ…………」


 緋崎の発言に、赤沢ツイン達は、何も言わずニコニコしているだけだった。

 それを見ていた相沢達は、生温く笑いあう。

 

 「はぁー………ほんとうに、バカなんだから…………これはもう………

 選抜メンバーが集まるたびに、緋崎が軽いイジメを受けるのは決定ね」


 「まぁ……そりゃーしゃーねんじゃねぇー……アイツもとから………

 頭イイけど、バカだから…………」


 「でも、あんまりイジメられて、拗ねたら困るなぁー」


 「大丈夫だよ……和也が…適当に…フォローするだろ」


 「ボケたこと言ってんじゃねぇーよ……原因は…和也なんだぞ………

 和也の気がすむまでは……イジメは…終わんねーよ………」


 頭をかきむしりながら月城が溜め息を吐き出しながら言う。

 それに、シレッとした顔で相沢が答える。


 「それじゃ……バスケから…意識を外してあげようかなぁー…」


 「どうやって?」


 「やぁーねぇー……共通の話題を振るのよ……」


 「「「…………」」」


 「あんた達ってば……ばか……ゲームクリエイターのバイトの話しよ」


 「ああ……あれね……でも……俺…あんまり…覚えていない…………」


 「いいのよ……黒沢と緋崎…赤沢ツイン達がバスケの話しから離れて………

 あのゲームの中での内容で、会話してくれれば………」


 「よーするに……俺らは…会話しなくてイイってコトだよな…」


 「そっ……緋崎を、イジメから…まもるコトが…目的なんだから…………

 あんた達が…赤沢ツイン達と会話する必要はないわ………」


 「助かるよぉー…赤沢ツインとの会話なんて……思いつかないからさぁー」


 「大丈夫よ……赤沢ツイン達と楽しく会話できるのは……………

 黒沢と赤沢達ぐらいなんだから…あの辺の人間達なんか……

 既に…怯えているでしょ…………」


 「確かに……赤沢達から…視線を外しているもんなぁー…」


 「監督やコーチもね」


 「なんで……監督達も……アッチ見てホイッ状態なんだぁー?」


 「赤沢ツインが、バスケ連盟に多額の資金援助しているからよ」


 「マジでぇー……アメリカと違って…バスケなんてさぁ…………

 野球やサッカーから…はるか遠くにおいていかれたスポーツなのに……

 宣伝広告に、なんないんじゃねぇー………」


 「やぁ~ねぇ~…なに言ってんの……そんなの、関係ないでしょぉ~………

 自分達と黒沢が楽しんでいるスポーツなんだから………

 快適に楽しみたいなら……多少の資金援助ぐらいは……っていう程度よ」


 「うっわぁー黒い」


 相沢達の会話に、和也がヒョイッと参加する。


 「なにが黒いんですか?」


 和也の淡々とした問い掛けに、相沢は引き攣った顔で答える。


 「月城がねぇー……例のアルバイトでやったゲームの内容が…………

 どこぞの報告書と一緒で…ほとんど黒かったって…………」









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