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087★和也のありふれた日常4



 選抜メンバーとの合同練習は、和也にとって楽しい?ものだった。


 和也や浅黄達は、中学時代に全国大会優勝の経験があったので、その時も中学の選抜メンバーに選ばれていた。

 その為、新しい選抜メンバーとの練習が、和也にはおもしろかった。


 誰が、どんなプレイが得意なのか、どんなプレイが苦手なのか、プレイごとのクセを、じっくりと観察できるので、和也は選抜メンバーとの練習を楽しんでいたりする。


 まさに、水を得た魚のように、気配を消して選抜メンバーの動きを練習しながら、観察する和也を、赤沢ツイン達は楽しそうに見ていた。


 赤沢ツインとは別のチームに所属しているが、それなりに仲の良かった緑川が楽しそうに問い掛ける。


 「和也ってば、なかなか会う機会が少ない、関東圏以外の選抜メンバーを

 観察するのが、楽しくてたまらないって感じなのだよ」


 その言葉に、無意識に頷きながら、赤沢ツインは内心でグチる。

 

 久しぶりに見る和也は、可愛いなぁー…………


 ふぅーん……香川のシュート関連のクセを見ているのかぁー……

 愛媛のドリブルのクセは、掴んだみたいだな…………


 どうせなら、僕を見て欲しいなぁ…………

 やっぱり、同じチームになれば良かった…………


 楽しそうに観察する和也に、ちょっと拗ねた赤沢ツインが、本音を零す。

 

 「ふん……アイツらの実力は…そこまで脅威的なモノじゃないから…」

 「すぐに飽きるさ……和也にとって、遊べる相手は……僕らだけさ」


 和也にボールを取られて、ギョッとする秋田の表情はおもしろい

 でも、そのボールを当然って顔で受け取る緋崎が憎い

 なんで、ボクじゃないんだ…………一緒にプレイしたい


 「まっ……確かに……実力不足なのは否めないな」


 今回の合同練習で和也は、僕ら以外の選抜メンバーのクセを

 ほぼ把握するだろうし…………


 クセを把握したら、僕らと遊ぶ方を優先させるはず…………

 はやく、僕らと練習する順番になって欲しいなぁー…………


 「目新しいおもちゃに、ちょっと興奮しているだけさ」

 「まっ……たしかに…ものめずらしいだろうけど…すぐに飽きるさ」


 ……ちっ……………気に入らないな…………

 なんで、群馬と山梨のコンビプレイを、じっと見ているんだ


 俺のプレイを見て欲しいのに…………

 ったく、もっと、練習しよう…………


 「でも、別々の学校に行ったカイがあったんじゃないかなぁ~……」

 「和也んところの……緋崎や月城、野月平や夏月は、実力もあるし……」

 「「俺らと…遊べるし…」」


 つまんない………和也と…プレイしたい…………

 和也のドキドキするプレイを一緒に…………


 「そうだね……別々の学校に行って……新たな発見があったね」


 「和也のお気に入りー? の相沢センパイはぁー……色々な意味で

 おもしろいしぃー貴重だねぇー……」 


 「まっ……たしかに、総合監督やコーチ達よりも

 選抜メンバーの実力や伸びしろの把握


 個別トレーニングの組み立てとかも

 相沢センパイの方が上だと思うのだよ」


 「赤沢ぁー……監督の女川のヤツ……今回、なんか大人しいけど……

 特に、和也に対して腰が引けてるけど…………なにやったんだ?」


 「ぅん? ああ……簡単なことさ……くすくす…………

 ウチのグループはバスケットボール競技連盟の方にも…………

 ……かなり寄付金積んでいるんだ……」


 「…それって………もしかして……逆らったら……寄付金減らす?

 なんてコト言って黙らせたの?」


 「…それくらい…構わないだろう?」


 「バスケを楽しむ人口は、サッカーに比べたら、桁違いに少ない……

 費用対効果を考えると……微妙だからねぇ………残念だけど」


 「それでも、寄付しているのは?」


 「もちろん、僕らや和也が、楽しくバスケできるように

 連盟に、サポートさせる為さ」


 「かぁー………あいっかわらず…和也第一主義だな」


 「「いいだろう……寄付金の半分は…僕達のポケットマネーだから…………」」


 「お前等ってば…………和也がかかると、金に糸目をつけねぇーなぁー」


 「いや、今回は、寄付金で脅かして正解なのだよ」


 「なぁーんでぇー?」


 「和也みたいな、特殊なプレイを嫌う伊方が総合監督だったから…………」


 「えぇぇー伊方って……そんなヤツだったの?」


 「それに、コーチに刈谷崎や川内も居たから…………」


 「刈谷崎も川内も、ダメなヤツだったんだぁー」


 「中学の選抜んとき…和也に色々と言う馬鹿に、イラってきて…………

 お前等…マジで……怖かったもんなぁー………」


 「和也は、シュートがめちゃくちゃ下手クソだったからなぁー」


 「しょうがないじゃん…和也が得意なのって…パス回しだったんだから……」


 「和也ってばぁー……スリーポイントの練習する体力なんかぁー……

 残ってなかったしぃー……シュートまでぇー…手ぇー回んないってぇー…」


 「まっ……点取り屋の俺達がいたからね…………

 イマイチ…やる気になんなかったんだろうし…………

 和也ってば………合理主義だから…………」


 「俺としては、相沢センパイに練習メニュー作ってもらいたいね」


 「その方が、イイのだよ………」


 その発言…僕も賛成ですね………あまり効率的な内容ではなかったし……

 中学のときのも………今回のも………バスケ連盟のコーチさんから…………

 手渡しされた練習メニューは、画一的でつまらないですからねぇ………


 相沢センパイの練習メニューの方が、身体に良くて

 技術も体力もアップしますしねぇ…………

 ここは、赤沢君達にゴリ押しさせようかなぁー


 赤沢達が、会話に夢中になっているところに、突然背後から現れた和也がボソッと言う。

 「うん、ボクもそう思います」









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