086★和也のありふれた日常3
その内容に、相沢はにこにこしながら、和也達に言う。
うふふ……これがあるから……合同練習って好きなのよねぇー
赤沢ツインは、黒沢が大好きだから、なんでも貢ぎたいって感じだもん
それも、バスケをする時の必需品から始まって…………
日持ちする食料品や嗜好品に飲み物でしょ…………
プロテインやビタミンなんかのサブリメント
はてには、タオルなんかの備品まで、用意されているんだもん………
この前は、これから対戦する相手の情報をあげるって…………
対戦相手の映像を撮った高性能の4Kビデオカメラを3台と…………
それを見るためにって、4Kの大画面テレビも部室に届けてくれたっけ……
テレビやビデオカメラや情報は、ほんとぉーに助かったわぁー…………
学校からの部費は、遠征の交通費やバスケの備品etc.…………
もちろん、ボールとかもすぐに壊れるからって…………
買い換える為に、使っちゃって余裕なんてナイのよねぇー…………
だから、赤沢ツインの差し入れは、ほんとぉーに助かるのよねぇー…………
緋崎は嫌がるし、黒沢はちょっと困るって顔するけど…………
本音を言えば、部費の足しにするアルバイトは
ぜぇーんぶ、赤沢ツインの紹介だけにしたいのよねぇー…………
短時間で高収入なんですもの………
『和也の練習時間が減る…のは、困るから』
って…理由で…紹介してくれるんですもの………
赤沢ツイン達は、本当は黒沢と一緒の学校に行きたかったんだろうなぁー
だから、緋崎をいじめるんでしょうねぇー…………
でも、そこまでダメージを与えるようなコトは無いから…………
今回も放置しておこうかな…………
打算的なことを考えつつも、相沢は号令を出す。
「さっさと移動するわよ…練習時間が…減ったらもったいないでしょ……」
相沢の言葉に、和也以外は、子牛の歌を心の中で歌いながら歩いたのだった。
どんなに、のたのた歩いても、ロッカールームにはたどり着く。
そこで、東谷や南田と分かれて、和也達は、たったとユニフォームに着替える。
その間に、相沢は、置かれていた色々なものを確認し、練習に必要なモノをチョイスしていた。
そして、合同練習をする為に、軽く打ち合わせをする。
最初に発言したのは、監督の相沢だった。
「今回の合同練習は、選抜メンバーが全員集合しているから…………
次の大会に備えて、各自、他校生の能力が…………
どのくらい上がっているかを肌で感じてね」
それに対して、全員で答える。
「「「ウッス」」」
自分の発言に良い子の答えをした緋崎達に、相沢は内心で苦笑していた。
練習で底上げした身体能力だけどぉ…………
赤沢ツイン、緑川、浅黄、青木達とプレイしたら…………
すぅーぐに、引きずりだされるわよねぇー…………
とりあえず、注意した程度なのよねぇー……
まっ…やらないよりは、マシでしょ……たぶん………
「こっちの情報は、出来るだけ少なくしたいけど…………」
注意?しながら、緋崎を見ている相沢に、和也は苦笑する。
それを見て月城もつい苦笑するが、黙っていた。
「「「…………」」」
全員の視線を感じて首を傾げる緋崎に、相沢は生温く笑ってしまう。
緋崎は、ちよっとあおられるとすぐにむきになるから…………
注意しても……あまり……意味は無いんだけどね…………
その辺は、黒沢がフォローするから……良しと……
後は、月城達がどの程度、爪を隠せるかな?
でも、隠すことにこだわって、選抜メンバーから落ちるのは…………
はぁー……いたしかゆしって……感じねぇー
内心の葛藤を隠して、相沢は言う。
「実力を出し切って、選抜に選ばれて…………
色々な国際大会に出るのも大事だから…………
ケースバイケースってことで……いいわね……」
「「「ウッス」」」
「じゃ、行きましょう」
打ち合わせを切り上げて、相沢を先頭にロッカールームを後にした。
バスケットコートに着くと、既に練習している者達がいた。
それを横目に、指定されていた場所に、相沢は荷物を置く。
「軽く準備運動をして、コートを走って…………」
「「「ウッス」」」
何時もの練習と同じように、動き出した和也達だった。