084★和也のありふれた日常1
これは、次世代ゲームのバイト後、それぞれの内容をカラオケボックスで喋ってから数日後のお話。
次世代ゲームの参加型クリエイター?を、チームメイトや元チームメイトと一緒にしたというにはちょっとという状態だったが、なんとか終えて精神的に落ち着いてきた今日この頃。
U18のバスケット選抜者の合同練習日ということで、和也は指定された体育館に緋崎を含む数名のチームメイトと向かうことになった。
もちろん、その中には、当然、和也や緋崎が頭の上がらない相沢センパイも含まれている。
授業を終えるとすぐに、校門に集合して、駅まで徒歩で移動し、電車の中での会話だった。
ガラガラに近い車内なので、相沢は座席に座って、さらりと説明する。
「来週の土曜日に、例のバイトに行くのを忘れないでね
今回は、ウチの人間が全員参加するから、駅前のいつもの場所に集合ね
時間は、午前9時、時間厳守よ……いいわね
その後、自主練したかったら、アールONEで軽くする予定よ」
中学生の頃、浅黄や緑川、青木や紫島、赤沢ツイン、サクラと遊びに行っていた和也は、首を傾げて質問する。
「相沢センパイ、あのーアールONEですかぁ…………
普通の人達が、遊びでバスケしたりするところですよね……イイんですか?」
和也の『遊びに来ている人間達の迷惑になるのでは?』という、副音声による質問に相沢は、ちよっと?黒い微笑みを浮かべて答える。
「大丈夫よ……プレオープンのアールONEだから……
今は、招待客? だけに開放されてる状態だし……
赤沢君から…招待券をもらったしね…2時間ただのヤツ…
もちろん、ウチのチームメンバー全員のね」
赤沢ツインを苦手にしている緋崎は、顔をしかめてボソッと言う。
赤沢ツインが、タダ券を相沢センパイに渡したってことは…………
俺達が、バスケやっていたら…………
「たまには、和也と練習試合しようと思ってさぁ…イイよね…」
って、絶対に湧くに決まってるんだろぉぉぉ…………
俺は、あんな怖ぇー……つーか……えたいの知れないヤツ…
苦手なんだよぉぉ………いや、マジで勘弁んしてくれ…………
公式戦以外は、赤沢ツインと試合なんて、やりたくねぇー………
和也のモトチームメイトって……メチャクチャ和也に甘いけどぉ……
現チームメイトの俺には………ものすげー…当たりがキツイんだよぉぉ
和也が、そばに居る時は、取り繕っているけど…………
「和也の邪魔になってる」とか
「もっと…和也が…動きやすいように…動けよ…」とか
「なんで……僕じゃなく…君が…和也の側にいるんだ…ムカツク」とか………
特に、俺に向かって………言いたい放題なんだよぉぉぉ~………
それに…黒沢が気付いて………あいつらに…注意? したら……たら…
もぉ~っと…とんでもなく陰険になったんだよぉぉぉぉ~…………
「………君って…男なの……和也に告げ口…なんて…………
一緒の…チームにいるからって………僕の和也に……」
なんて、言われるしさぁ………かんべんして欲しい………
でも、黒沢って……しっぽさえ……踏まなきゃ……
けっこう、優しいんだよなぁー………
俺が…国語苦手で、古文漢文なんてなに、それ美味しいの? だって
わかると……
「赤点とって補修になったら、練習に支障をきたしますから
ボクのかけたヤマを覚えてください」
って……試験のたんびに…俺の苦手な教科を…丁寧に教えてくれたり
ヤマかけしてくれるしなぁー…………
購買で、メシ買いそびれたときに
「調理実習でもらったモノです……ボクは…食べ切れませんので…
協力して下さい」
って、チャーハンのおにぎりとかもらったよなぁ…………
授業中も色々とフォローしてくれるし…………
……提出物も…忘れないようにって…電話とメールしてくれるもんなぁー
なんで、男なんだよ……女だったらなぁ……
即、付き合ってくださいって言うのになぁー………はぁー
「めんどくせー……学校の体育……使えばイイじゃん……」
緋崎のそれ独り言?という発言に、相沢はにぃ~こりと音がするような黒い笑顔でダメ押しをする。
完全に緋崎をバカにしているというか……呆れて笑う……。
なんでコイツは、バカなの…………成績はイイのに…………
顔もスタイルも良くて、帰国子女で、それなりに、お金持ちで…………
成績もイイのに、モテないのは、残念な脳筋ヤローって………
女子に認識されているからなのよねぇ…………
バスケしているときは、カッコイイって言われても、日常は残念な脳筋
…………かたや、黒沢は、はっきり言ってモテるのよねぇー
女の子に優しいし、頭もイイし、お金持ちでエリートの家族持ちだし……
とにかくさりげない優しさがイイのよねぇー………
それに、ミステリアスなのも魅力よねぇ………
極上美少女のサクラちゃんが、ぞっこんなのも、わかるなぁ~
そんなことを考えながら、はふっと嘆息する。
「試験に向けて、クラブ活動休止だって……わかってる~? ……ぅん~」
相沢の微妙な言い方に、緋崎はムスッとした表情で黙っていた。
「…………」
そんな緋崎に、イラッときた月城がビキッと額に怒りマークをつけて言う。
試験中に、校庭にあるバスケットボールのボードを使って…………
自主練して、厳重注意を喰らった、お前のセイで…………
俺達は、先生方に目を付けられたんだよ
ったく、あん時、俺や相沢、黒沢が
「責任持って、緋崎に試験勉強させます」
って、言って、なんとかしたんだっつーの…………
ほんとぉーに、喉もと過ぎればってタイプなんだなぁー…………迷惑な
っても…帰国子女なんだから…ある程度の常識ナシはしょうがねーよなぁ
毎度、フォローしている黒沢が、ちょっと不憫だな…………
ここは、ガツンと言っておくかぁー………
ちょっとは、もつだろう…たぶん…きっと………
「ボゲイ……本当は……アールONEでも…ヤバイかもって……
グレーゾーンをついての…自主練なんだぞ……ぶつくさ言うな………
アソコだったら…バスケで、遊んで…ゲームで、遊んで………
……カラオケしましたって……ゴマカシがきくんだよ」
相沢は、緋崎にグリグリとウメボシを行使している月城を見ながら、注意することもなくシレッとしていた。