表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/165

084★和也のありふれた日常1



 これは、次世代ゲームのバイト後、それぞれの内容をカラオケボックスで喋ってから数日後のお話。


 次世代ゲームの参加型クリエイター?を、チームメイトや元チームメイトと一緒にしたというにはちょっとという状態だったが、なんとか終えて精神的に落ち着いてきた今日この頃。


 U18のバスケット選抜者の合同練習日ということで、和也は指定された体育館に緋崎を含む数名のチームメイトと向かうことになった。

 もちろん、その中には、当然、和也や緋崎が頭の上がらない相沢センパイも含まれている。


 授業を終えるとすぐに、校門に集合して、駅まで徒歩で移動し、電車の中での会話だった。

 ガラガラに近い車内なので、相沢は座席に座って、さらりと説明する。


 「来週の土曜日に、例のバイトに行くのを忘れないでね

 今回は、ウチの人間が全員参加するから、駅前のいつもの場所に集合ね

 時間は、午前9時、時間厳守よ……いいわね

 その後、自主練したかったら、アールONEで軽くする予定よ」


 中学生の頃、浅黄や緑川、青木や紫島、赤沢ツイン、サクラと遊びに行っていた和也は、首を傾げて質問する。


 「相沢センパイ、あのーアールONEですかぁ…………

 普通の人達が、遊びでバスケしたりするところですよね……イイんですか?」


 和也の『遊びに来ている人間達の迷惑になるのでは?』という、副音声による質問に相沢は、ちよっと?黒い微笑みを浮かべて答える。


 「大丈夫よ……プレオープンのアールONEだから……

 今は、招待客? だけに開放されてる状態だし……

 赤沢君から…招待券をもらったしね…2時間ただのヤツ…

 もちろん、ウチのチームメンバー全員のね」


 赤沢ツインを苦手にしている緋崎は、顔をしかめてボソッと言う。


 赤沢ツインが、タダ券を相沢センパイに渡したってことは…………

 俺達が、バスケやっていたら…………


 「たまには、和也と練習試合しようと思ってさぁ…イイよね…」


 って、絶対に湧くに決まってるんだろぉぉぉ…………


 俺は、あんな怖ぇー……つーか……えたいの知れないヤツ…

 苦手なんだよぉぉ………いや、マジで勘弁んしてくれ…………


 公式戦以外は、赤沢ツインと試合なんて、やりたくねぇー………


 和也のモトチームメイトって……メチャクチャ和也に甘いけどぉ……

 現チームメイトの俺には………ものすげー…当たりがキツイんだよぉぉ

 和也が、そばに居る時は、取り繕っているけど…………


 「和也の邪魔になってる」とか

 「もっと…和也が…動きやすいように…動けよ…」とか

 「なんで……僕じゃなく…君が…和也の側にいるんだ…ムカツク」とか………


 特に、俺に向かって………言いたい放題なんだよぉぉぉ~………

 それに…黒沢が気付いて………あいつらに…注意? したら……たら…

 もぉ~っと…とんでもなく陰険になったんだよぉぉぉぉ~…………


 「………君って…男なの……和也に告げ口…なんて…………

 一緒の…チームにいるからって………僕の和也に……」


 なんて、言われるしさぁ………かんべんして欲しい………

 でも、黒沢って……しっぽさえ……踏まなきゃ……

 けっこう、優しいんだよなぁー………


 俺が…国語苦手で、古文漢文なんてなに、それ美味しいの? だって

 わかると……


 「赤点とって補修になったら、練習に支障をきたしますから

 ボクのかけたヤマを覚えてください」


 って……試験のたんびに…俺の苦手な教科を…丁寧に教えてくれたり

 ヤマかけしてくれるしなぁー…………


 購買で、メシ買いそびれたときに


 「調理実習でもらったモノです……ボクは…食べ切れませんので…

 協力して下さい」


 って、チャーハンのおにぎりとかもらったよなぁ…………

 授業中も色々とフォローしてくれるし…………

 ……提出物も…忘れないようにって…電話とメールしてくれるもんなぁー

 なんで、男なんだよ……女だったらなぁ……

 即、付き合ってくださいって言うのになぁー………はぁー


 「めんどくせー……学校の体育……使えばイイじゃん……」


 緋崎のそれ独り言?という発言に、相沢はにぃ~こりと音がするような黒い笑顔でダメ押しをする。

 完全に緋崎をバカにしているというか……呆れて笑う……。


 なんでコイツは、バカなの…………成績はイイのに…………

 顔もスタイルも良くて、帰国子女で、それなりに、お金持ちで…………

 成績もイイのに、モテないのは、残念な脳筋ヤローって………

 女子に認識されているからなのよねぇ…………


 バスケしているときは、カッコイイって言われても、日常は残念な脳筋

 …………かたや、黒沢は、はっきり言ってモテるのよねぇー


 女の子に優しいし、頭もイイし、お金持ちでエリートの家族持ちだし……

 とにかくさりげない優しさがイイのよねぇー………

 それに、ミステリアスなのも魅力よねぇ………

 極上美少女のサクラちゃんが、ぞっこんなのも、わかるなぁ~


 そんなことを考えながら、はふっと嘆息する。


 「試験に向けて、クラブ活動休止だって……わかってる~? ……ぅん~」


 相沢の微妙な言い方に、緋崎はムスッとした表情で黙っていた。


 「…………」


 そんな緋崎に、イラッときた月城がビキッと額に怒りマークをつけて言う。


 試験中に、校庭にあるバスケットボールのボードを使って…………

 自主練して、厳重注意を喰らった、お前のセイで…………

 俺達は、先生方に目を付けられたんだよ

 ったく、あん時、俺や相沢、黒沢が


 「責任持って、緋崎に試験勉強させます」


 って、言って、なんとかしたんだっつーの…………

 ほんとぉーに、喉もと過ぎればってタイプなんだなぁー…………迷惑な


 っても…帰国子女なんだから…ある程度の常識ナシはしょうがねーよなぁ

 毎度、フォローしている黒沢が、ちょっと不憫だな…………

 ここは、ガツンと言っておくかぁー………

 ちょっとは、もつだろう…たぶん…きっと………


 「ボゲイ……本当は……アールONEでも…ヤバイかもって……

 グレーゾーンをついての…自主練なんだぞ……ぶつくさ言うな………

 アソコだったら…バスケで、遊んで…ゲームで、遊んで………

 ……カラオケしましたって……ゴマカシがきくんだよ」


 相沢は、緋崎にグリグリとウメボシを行使している月城を見ながら、注意することもなくシレッとしていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ