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082★青木君の異世界バイトは?7



 ふぅ~ん…………こいつの名前は、イエナって言うのかぁー………

 って……ハイエナから…ハをとっただけかよ…………

 なんかいい加減な名前だなぁー……


 まっ…本当の名前は…もっとマシなんだろう………たぶん……


 んで、種族名は、ブチハイねぇー……

 ブチハイエナ……から、エナをとったのかぁー

 マジで、すっげーいい加減なネーミングだなぁー………


 じゃなくって………なんで、一番の問題……【呪】を…

 かけられて…俺達を襲ったことを…………


 他の獣人に言うって…………言わないんだ?

 なんか意味あるのか? 聞いてみるかぁー…………


 ハイエナの獣人達の会話を、黙って聞いていた青木は、おもむろに質問する。


 「おい……イエナ? …ドラクロニーアの【呪】については…

 どうするんだ? 話題になってねぇーけど」


 青木のもっともな質問に、イエナは苦笑しながら答えた。


 「それについては……村に帰って…長や長老達に聞いてから…判断します」


 「…………」


 理解不能という表情で、黙っている青木に、イエナはさらに言う。


 「人族と我ら獣人族は、今までに何度も戦っていました…………

 今は……停戦状態なんです……


 ここ…千年ほどは…小競り合いも無く平和でした……

 そこへ……俺達のミスで【呪】をかけられたと……

 他の獣人族には言えません……戦争の原因になりかねませんから………」


 「んじゃ……泣き寝入りするのか?」


 「いいえ………我らに【呪】をかけた…報いは受けてもらいます」


 「どうやって?」


 「王族が欲しがるようなモノは、特殊でお値段もはるモノが多いんです

 ……それを手に入れられるのは……基本的に獣人です……

 後は……かなり腕のイイ……人族の……ハンターぐらいです」


 「……そんじゃ……お前等獣人達がダメなら…………

 人族のハンターに言えばイイってことになるだろ…………

 それじゃ何の意味も無いような気がするけど?」


 「いいえ……人族のハンターは…我ら獣人族の行動に従います…」


 「なんで?」


 「人族のハンターギルドを創ったのは、我ら獣人族なんです」


 「マジで?」


 「人族は、我らより身体能力が、軽く数段は落ちます」


 「だよなぁー……人って…大型雑食獣…だけど…弱いし…効率悪いし……

 お前等………獣人族の方が狩人として…有能だもんなぁ~……


 人族が…優れている能力って……楽するために…創意工夫することと………

 ……狡猾なところぐらいだろうからなぁ………」


 自分達、人族をあっさりと獣人族より能力が無いと言い切る青木に、ブチハイ達は驚いて目を見張る。

 その様子を見て、青木は苦笑する。


 どんだけ……この世界の人族は、傲慢……いや……傲岸不遜なんだ?

 いや、俺の感覚って…………民族的に身体能力が高く無い

 日本人ならではの考えなのかもしれないなぁ…………


 小柄で、力も弱く、体力もあまり無いからなぁー俺達は…………

 バスケでは、身体が大きいものが勝つのは、当たり前のことだし…………


 技術でなんとかするにも、緑川みたいな特殊能力を必要とするもんなぁー

 ……はぁー………なんか……俺ってば……疲れているなぁ~…………


 ああ……和也とバスケしたいなぁー……くっすん……

 俺、なんで……和也と別の学校に入学しちゃったんだろう?


 ……赤沢ツインに……言われて……つい……頷いた…………

 俺が……悪いんだけど……


 じゃなくって………なんで…こいつら……俺を……

 オバケでも見たような顔でみているんだ?

 なんか……気になる……聞いてみるか?


 「どうした? ……身体能力は…お前等の方が上だろうが? …ぅん?」


 青木の言葉に、ブチハイ達は、ふんわりと笑った。

 そして、自信たっぶりに見える青木を眩しそうに見詰めながら言う。


 「本当に、強い方は、事実を事実として受け入れるんですねぇー」


 イエナは、切なそうに顔をゆがめて青木に言う。


 「確かに、私達は、身体能力は高いです……

 でも…色々な捕縛道具や…武器……罠を開発したのは人族です

 ……我々は……そんな能力を持っていません……」


 その発言を、青木は黙って聞いていた。


 「…………」


 「それに、我々獣人族は、基本的に同族としか婚姻できません……

 ブチハイは、ブチハイとしか…婚姻できません…


 例えば、エーリスと婚姻しても子供は生まれません……


 でも…人族は、すべての獣人族と婚姻して…子供を生むことが出来ます

 種族としては…人族の方が……上なのでは? という……説があります」

 

 自分達の種族を卑下する発言に、青木は幼い子供に言い聞かせるように優しく話し掛ける。


 「なぁーに言ってんだか……人族は…弱いだから…

 それを補うために……色々と考えるんだ…………


 お前等は……強い…だから…人族みたいな能力は……

 今は…発揮されないだけだ…


 人族のように……何か……必要になったら……

 いやでも…創意工夫するようになるさ……


 だって……お前等は…人が進化する過程を残している人間だから……

 これからも……進化する可能性を残しているんだ……


 人族の可能性は…お前等に比べるとはるかに無い……

 進化の袋小路に入っているとも言われているからなぁー…」


 青木の発言に、ブチハイ達は首を傾げた。










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