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080★青木君の異世界バイトは?5

080★青木君の異世界バイトは?5


 「キンカ……これで……【解呪】したことになるか?」


 青木の質問に、キンカはさらりと答える。


 「はい、彼らは正常になりました」


 青木はキンカの言葉にほっとした。

 そして、最終目的の呪文を、青木は口にした。


 「そうか……だったら…【麻痺・痺れ】…を…無効化しよう………

 立ち上がり…動け……ハイエナの獣人達……

 お前達は……心も身体も自由だ」

 

 青木の言葉に、ハイエナの獣人達は、目をシバシハさせて頭を振った。

 お互いの顔を見て、周りを見回して、青木とヒグーマのキンカを見て首を傾げるのだった。

 どおやら自分達が、なぜココにいるのかわかっていないらしい。

 それに気が付いた青木は、さらりと声を掛ける。


 「お前等……なんで…俺達を襲ったんだ?

 どう見ても、俺達はキャラバンじゃないから、何も持っていない……

 襲う価値が無いと思うんだけど?」


 青木の実も蓋もない問い掛けに、獣人達は心底困ったという表情を浮かべる。

 それに畳み掛けるように青木は言う。


 「はぁ~…覚えていようといまいと…お前等が…俺達を襲ったのは事実だ

 そして、お前等にかけられていた…【呪】は……俺が…【解呪】した


 襲われたから…お前等を…身動き出来ないぐらいの怪我をさせたけど

 …………それは…治した…ってことで…………


 お前等は…俺に借りが…たぁ~っぷりあるんだよ…わかるよな?

 だから……お前等に胸くそ悪い【呪】をかけたものを教えてろよ………

 それと…俺達を襲った理由をな……」


 獣人達は、お互いの身体を見て……着衣に…けっこうな穴?と切り傷?などがあることを確認した。

 お互いの背後も確認すると、やはり穴?と切り傷?があった。

 それなのに、痛みが無い…………ということは、治療されているということ。

 ハイエナの獣人達のリーダーが、全員を集めるために言う。


 「全員、俺の前に集まれ」


 すると、ハイエナの獣人は、小さなしっぽを左右にパタパタと振りながら、小走りでリーダーの前に集まった。  

 集まった全員を視線で確認してから、リーダーは自分の着衣を眺めた。

 

 けっこう、大きな穴だなぁ……でも……傷は無い

 周りに血の痕も無いし……焼け焦げの痕も無い……

 使ったのは、風魔法か……水魔法だよなぁー………たぶん…


 それとも、氷魔法かな? ……どっちにしても………

 襲ってくる俺達をモノともしなかったってことだよなぁー…………


 強い人だ…従えているのは凶暴なヒグーマ……それも……メス

 この少年は、強い……そして……優しい…………


 ここは、懐いてしまおう……ヤツラに…使役されるぐらいなら…

 この少年に従って生きよう……いいかげん、俺も主が…欲しい

 思い切って言ってみよう……


 若いリーダーは、自分の前に整列した獣人達に言う。


 「俺達は、全員、この少年に助けられた……

 命には、命で応えるのが…我らの掟…………」


 リーダーの言葉に、獣人達は、コクコクと頷く。

 それを自分の言葉に対する了承として、リーダーは青木に向き直って言う。

   

 「少年よ、我らは、この命、はつるまで、貴方のしもべです……

 どうか、我らに名前を与えください……」


 言い終えると、リーダーは、青木に向かって膝を折り、深々と頭を下げる。

 それに従って獣人達も膝を折り、青木に深々と頭を下げるのだった。

 その姿を見た青木は、暗ーく嗤うだけで何も言わなかった。


 はぁ~……なんで……しもべ? ……それも……命はつるまでって?


 …………俺が聞きたかったのは、お前等が俺を襲った理由と…………

 お前等に【呪】をかけたモノだったんだけどぉー…………


 なんか……話しが……通じない……キンカより……マシだろうって……

 思っていたのに………あー…めんどくせー…………

 聖獣も獣人もあんまかわんねぇーのか?


 青木のロコツに嫌そうな顔を見て、リーダーは苦悩する。


 俺達は、頑健で粗食に耐え、底なしの体力を持ち、

 膂力もそれなりにあるとぉーってもお得な獣人として有名なのにぃぃぃ


 まるで……小さいのに……とぉーっても……くっさい匂いを放つ…

 あのカメムシを見るかのような視線を俺達に向けている…


 なぜ?……そんな嫌そうな顔で…俺達を見るんだ?

 人族は、俺達を戦士として従えたがるのに…………


 命を助けてくれたし、解けないはずの【呪】を解いてくれた相手に、

 恩をかえさないなんて……出来ない……なにが何でもしもべになる

 そして、俺達が、なんでおかしくなったかを説明するんだ

 

 獣人のリーダーは、青木のしもべになんとしてもなりたかったので必死の形相で話し始めた。


 「我らは、普段、野山で獲物を取っている………加工肉や…干し肉

 …燻製肉…毛皮や皮などを売りさばいて生活の糧にしていたんだ」


 自分達の生活くらしをポツポツと説明するリーダーに、青木は好奇心を持った。


 へぇ~……やっぱ…獣人ってそういう生活してるんだぁ………

 まっ…ケモ耳や尻尾ありの人間と思えばいいのかな?

 このRPGの設定では、そういうのが普通の生活なのかな?


 んで、こいつらのこの姿……ハーフトランス状態ってコトかな?

 たぶん、フルもいくらかいたけど、ほとんどはハーフだから……

 通常はこのハーフトランスの姿で生活しているのかな?


 じゃなくて、なんでそういう生活してて【呪】なんてモンにかかるんだ?

 いいや、直接なんでって聞ぃちまえ…………


 「それで……なんで……【呪】に引っ掛かるんだ?」


 ハイエナ獣人族のリーダーは、ちょっとうなだれながら説明を続ける。


 「俺達が獲る獲物の中には、特殊なモノや高価なモノもある………

 それを…欲しがる…王侯貴族なんかもいるんだ………

 それに……裕福な商人とかも……」


 あっ…なんか…理解わかりたくねぇーけど…理解わかっちまった

 でも、一応確認しとくか…………


 「なるほど……王侯貴族の好むモノを持って…売りに行ったら…

 【呪】にかけられた…………なんて、チープな理由は無しな」


  青木のちょっと?かなり?冷たい発言に獣人のリーダーは、顔を引き攣らせる。


 「すみません、依頼された冠ウサギの毛皮と燻製肉を持って………

 ドラクロニーアの王宮に行ってからの記憶が無いんです…………

 ……だから……たぶん……そうです……」 









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