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065★緑川君の異世界バイトは?2



 緑川の様子を意に介さない青木がちょっと首を傾げながら聞く。


 「リスの獣人って、どんな感じだった?」


 その問いに答える前に、可愛いものと、ジャンクフードやお菓子が、大好きな紫島が言う。


 「フコフコのぉーリぃースぅー…もふもふのぉりぃーすぅー……いいなぁー……かわいかったぁー? …ずぅるぅーいぃぃー………」


 それに対して、ネコ派の緑川は苦笑して答える。


 「僕が、和也と一緒で、雪豹とかホワイトタイガーとかネコ科が、大好きだって知っていたよな?」


 可愛いモノが好きな紫島は、自分も好きだと訴える。


 「うん……俺もぉー好きぃー……」


 紫島のセリフに、緑川はバッサリと言う。


 「お前の場合は、可愛かったら、なんでもイイという大雑把な感性で、好きだと言っているのだよ……僕や和也の尖った好きとは違うのだよ……」


 緑川の説明に、青木は不服そうに言い返す。


 「でも、和也ってば、犬も好きだったけど…………」


 ここでもやはり、緑川はばっさりと切るように言う。


 「そこは……別に…関係ない…のだよ…ようは……僕が…ネコが好きで、ネズミは、ネコの捕食対象と思ってしまうことなのだよ」


 そのセリフで、和也はポンと手を叩いて聞く。


 「あっ…もしかして……リスより…ネズミに近い姿だった?」


 和也のセリフに、我が意を得たりという表情で頷きながら、その時のコトを説明する。


 「そう……リスというよりは……直立歩行する、ネズミに近かったのだよ…それでも、まだ、シッポが…ふわふわ…モフモフ…だったから……ガマンできたのだよ……」


 緑川の説明に、ウニウニと首を傾げていた紫島は、ポテトチップの袋を抱えながら、その中身をポイポイと口に放り込みながら聞く。


 「……ムグムグ……ねぇー…色ぉーとぉー柄ぁわぁー………」


 マイペースに、自分の知りたいことを求める紫島の様子を見て、浅黄は肩を竦めて言う。


 「ふぅーーちゃんって……大物だなぁー……あの状態の緑ちゃんに、まだ、突っ込むんだから……ねっ…黒ちゃん…」


 話しを振られた和也も、リスの姿に興味があったので、緑川に視線を向けて問い掛ける。


 「う~ん…でも…ボクも…どんなリスだったか…知りたいですねぇ……三毛リス…シマリス…日本リス…蝦夷リスとか……………ボクは…蝦夷リスとか…三毛リスが好きですけど…確か…緑川君は…三毛リスが好きだったと思いましたが?」


 和也から話しの水を向けられた緑川は、肩を竦めて答える。


 「残念ながら、ネズミに近い姿の日本リスを、大きくした感じだったのだよ」


 その答えに、更に和也は問い掛ける。


 「色は、どんな感じでしたか?」


 とてつもなく残念な………げんなりしたという表情で、説明を淡々と続ける。 


 「白と黒と茶色と赤茶色と色の変化はあっても、模様無しのいちまいなのだよ」


 あまりネズミが得意でない浅黄が、思わず本音を漏らす。


 「うっわぁー……キツ……」


 その時の気持ちを思い出し、緑川は深く深く溜め息を吐きながら言う。


 「ああ…洋服を着たネズミ…だったのだよ……ザクッと斬りたくなるたびに、あのふこふこしたシッポを見て我慢したのだよ」


 その内容を聞いていた紫島は、中身の食べ終わった袋を口の上で逆さまにして、ポンポンと叩いて、味の濃い残り部分をペロリッと食べてから、切なそうに言う。


 「えぇぇぇー……かぁわぁーいいーじゃん……いいなぁー……緑りん……」


 空になったポテトチップの袋をクシャッと握り締めていう紫島の様子に、ハフッと嘆息して、和也は先を緑川に促す。 


 「紫島君は、ちょっと無視して先に…………」


 和也の言葉に頷き、緑川もそれ以上紫島の言動を無視して話しを続ける。


 「ヘビを斬った僕の元に、リス達はテテーっとよってきて、お礼を僕に言ったのだよ」




 以下は、緑川の回想シーンです。


 「旅のお方……あの…巨大ヘビを…倒すとは……なんと言う…強さ………」


 「貴方様は………我ら…森の管理人エーリースの命の恩人です……」


 口々にそう言い、1匹?1人?が前に出て緑川に言う。


 「私は……一族の長…エゾリンと申します…」


 見るからに、ネズミと見まごう色合いのエゾリンにちょっと引きながら、緑川はなんでもないことのように言う。


 「…僕も…危険だったから……斬っただけなのだよ……」


 緑川が無意識に1歩後ろに引くと、エゾリンは1歩踏み出して、訴えるように言う。


 「いいえ……私達には……倒せませんでした……ぜひ…お礼をしたく………」


 内心で、これはリスこれはリス、あのポフポフのシッポを見るんだと自分に言い聞かせながら、緑川は平然とした表情を作っていう。

 その内心は、ポーカーフェイが得意で良かったというものだった。


 「気にしなくて……イイのだよ……」


 巨大ヘビに一族の者達が次々と襲われても、なすすべのなかったエゾリンが、キッとした決意を込めた表情で言う。


 「我らは、獣人の一族です」


 何かを感じつつも、やっぱり、ネズミに見えるエゾリンから無意識に1歩引いてしまう緑川は、何が言いたいのだろうと思いながら首を傾げて言う。


 「……それが……なにか? ……人に代わりは無いのだよ……」


 「我ら獣人族は、命を助けて頂いたら…命で返すのです………」


 「むっ……旅の携帯食料になる…保存食の干し肉をもらえるのか?」


 エゾリンのセリフに、緑川はちょっとだけ期待を持った。










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