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063★浅黄君の異世界バイトは?1



 雰囲気がいっきに悪くなってしまい、これはいけないと、慌てて浅黄が自分の初ログインの体験を話しだした。


 「あっだったら、俺……俺が…ログインして目が覚めたところは、草原っぽい場所で……なぜか和弓セットを持っていたんだ」


 浅黄のセリフに緋崎が突っ込む。


 「なんで、ファンタジーで、和弓?」


 その緋崎の突っ込みに、和也が首を傾げて言う。


 「たぶん、浅黄君が、得意な武器だったんじゃないですか? たしか、趣味でやっていたはずですし………ね、浅黄君…」


 和也の突っ込みに、何となく全員が納得する。


 「「「「そっかぁー……俺らのバイトって……ゲームクリエイトだったよな」」」」


 「ああ……精神鍛錬にもイイって言うんで…やってる…から……そっかぁー……」


 うんうんと頷く浅黄に、和也はさきを促す。


 「それで、他の装備は……なんだったんですか? …ボクは…《バグ》ったんで、みんなの装備が、知りたいんです」


 和也の依頼に浅黄は、にっこり笑って答える。


 「着ていたのは、定番のドラク○っぽいかな? って感じの服だったなぁ……」


 「他に?」


 「側には…あの健康にイイっていわれてる…アンデスの赤い塩があったんだ……」


 「……塩ですか? ……」


 和也の確認に、浅黄はこくこくする。


 「うん……なんで、赤い塩とは思ったけどぉ…………これが……後で…役にたったんだぁー…………」


 浅黄の説明に、なんとなく和也以外のメンバーはハモってしまう。


 「「「「へぇー……赤い塩ねぇ……」」」」


 微妙な雰囲気になったが、あえて無視して浅黄は説明を続ける。


 「そしたら、射程距離の中に、ウサギを見つけたから……あっ獲物って思って……すかさず、射ったんだ………」


 言外に、うらやましさを滲ませ、和也はポツリと言う。


 「ウサギなんていたんですか?」


 普通なモノと遭遇できなかった和也のセリフに、浅黄は気付かずに頷いて答える。


 「うん、いた……んで…手応え有ったから、弓セットを装備して、赤い塩を腰の袋に入れて…ウサギを見に行った…………」


 なんとなく状況を思い浮かべ、なるほどという表情で和也は浅黄を見る。

 と、少し微妙な表情で、その時を思い出した浅黄は説明を続けた。


 「仕留めた感触通り……ウサギはがっつり死んでいたんだけどぉ………」


 微妙な言葉濁しに、和也は重ねて聞く。


 「きちんと、死んでいたんですね」


 「ああ、死んでた………ただ……それが……俺と…同じ大きさよりあったかもってサイズでさぁ………」


 あの途方にくれた時の気持ちを思い出しているらしい浅黄に、和也はかなり大きかったと納得する。


 そういえば、ボクが遭遇した…………

 さんど・わーむに【すなわに】に、怪魚も、べらぼうに大きかったですね


 「ずいぶんと大きなウサギですね…………」


 和也の感想にかぶるように、好奇心満載で青木が聞く。


 「なぁー……赤い塩で食べたのか? ……」


 その問いに、同じ感想を持った緋崎もこくこくして無意識に身を乗り出す。

 が、和也があっさりと、2人の期待を否定する。


 「いや、無理でしょう」


 和也のセリフに、青木や緋崎とどう感想を持っていたらしい紫島が、ウニウニと首を傾げながら、まったりとした口調で問い返す。


 「なぁーんーでぇ?」


 紫島の問い掛けに、和也は呆れたような口調で言う。


 「話しをちゃんと聞いていたんですか?」


 言われた内容が理解できず、紫島は、再度ウニウニと首を傾げる。


 「………? …」


 その様子に、ちょっと溜め息を吐いて、緑川が説明する。


 「ふぅー…和也は、浅黄が装備していたのは、弓だって言ってるのだよ」


 氷川は、緑川の説明に?を浮かべて聞く。


 「それで?」


 ゲーム内での浅黄の状況がわかっていないらしいコトを見て取り、緑川はお前達はバカかという表情で言う。


 「だから、ウサギを処理するナイフを、浅黄は持っていなかったのだよ」


 緑川の説明に、やっと納得する。


 「そっかぁー……ナイフが無いんじゃ…なんにも出来ないよな…」


 「でも、食べないし、切れないから処理できない……ってことで……保存も出来ないから……塩は…意味ないよな…」


 赤い塩が気になるらしい緋崎のセリフに、和也も頷く。


 「塩の話しは、後で……ってことですよね」


 和也の確認に、浅黄は頷いて言う。

 

 「うん…今は…順番に話したいんだ……」


 そんな浅黄に、青木が唸る。


 「だったら……もったいぶんないで……早く……言えよ……」


 なんとなく話しの先が気になるので、全員その青木の唸りに、なにも言わなかった。










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