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061★和也の日常2



 普段付き合いの悪い和也や、仲間達との、久々のコミニュケーションだぁーと喜ぶ。

 その浅黄の手には、カードが数枚握られていた。


 「だったら、黒ちゃん……姉貴がCM…でて……無料カードもらっているから……カラオケに行こうよ…」


 嬉々としている浅黄に、和也はちょっとだけ嘆息する。


 はぁ~あ………すっごく疲れたんですよねぇ…………

 だから、まっすぐこのまま家に帰って、速攻でベットに入って、寝たかったんですけどねぇ………

 でも、彼らのゲーム内容も気になるし…………

 仕方がありませんね、今回は付き合ってあげましょう


 黙って、嘆息する和也に、今まで、一言も喋らなかった紫島が、嬉しそうに、何時もののったりとした口調で言う。

 

 「くぅ~ろくぅ~ん、ただなんだし、行こうよ」

 その言動には、嬉々としたモノが滲んでいる。

 どうやら、カラオケボックスに、大好きなお菓子を大量に買い込み、持ち込む予定らしい。


 「○○○○って、食べ物や飲み物も持ち込み自由だったよな」

 

 同じように、買い食いのジャンクフードが好きな、青木も嬉しそうに言う。

 

 「そうそう……だから……」

 

 「じゃ…決まり」


 和也が苦笑している間に、緑川や緋崎の賛成によって、カラオケに行くコトになった。

 そして、彼らはバイト先の建物から出ると、そのままカラオケボックスを目指して移動を始めた。




 もちろん、カラオケボックスへ行く途中で、当然のように、色々な店によって、思い思いの食べ物を持ち込むために寄り道した。




 浅黄が出したカラオケボックスの無料カードで、1番大きな部屋をゲットした彼らは、思い思いの場所に座り込む。

 そして、浅黄は、数種類のピザと数種類のパスタ、ハンバーグなどを案内してくれた店員に注文する。

 浅黄は、店員がいなくなると、和也ににこにこと笑って話し掛ける。


 「黒ちゃん……なんか……俺ってば……とぉーっても…お腹が空いてるんだぁ~………ってことで…黒ちゃんも空いてるだろうって思ったからさ」


 そのセリフに、和也も空腹を覚える。


 たしかに、お腹がとても空いている感覚がありますねぇ…………

 そうですよねぇ……いくら、ゲームの中で色々と食べたってねぇ…………

 現実の肉体の胃には、なぁーんにも食べ物は入ってないんですから……


 そんな和也をよそに、青木がおもしろそうに浅黄を笑う。


 「……んで…お前は……和也の好きな…ピザとパスタを頼んだってコトだよな」


 緑川は、よせばいいのに、ついつい青木に言ってしまう。


 「相変わらず……キミは、和也に、浅黄がからむと……ちょっかいをかけるのだな…青木も、和也が好きなら……堂々とちょっかいをかければイイのだよ……」


 そんな遣り取りを見物しながら、早速買ってきたお菓子の袋を空けようとしていた紫島は、ちょっと首を傾げる。

 

 「みぃーどぉーくぅーんも…くぅろぉーくん……好きだよねぇー…ああ残念……さぁーくぅーらぁーちゃんがー…いたらぁー…乙女ビジョンとか…腐女子ビジョンって………言ってぇー…おもしろいのにねぇー……つまんなぁーいー……」


 その言動に、何を考えているかを一瞬で悟った緑川は、首を振ってクギを刺す。


 「紫島……つまんないからって……サクラを呼ぶのは……NGなのだよ…時間的に…良くないのだよ……女の子なんだから……」


 呼ばれたくないと思った和也も、すかさず頷いて言う。


 「そうですね……今回…サクラさんは…ゲームに参加していませんから」


 和也の言葉に、残念だなぁーと思った緋崎は、仲の良い氷川の肩に手を置いて言う。


 「だよなぁー……参加していたら……俺と氷川で…送り迎えするからって……誘ったのになぁー…」


 似たような心情の氷川は、ちょっと、いや、かなり、残念そうに頷く。


 「うん……ほんと…今回のバイトに、参加してないなんて…残念だね……彼女は……可愛いから……」

 緋崎と氷川に、コイツら頭はイイのにバカだよなという内心をあらわにして、呆れたように青木がボソッと言う。


 「緋崎と氷川って……観察眼ねぇーのな……」


 頭を軽くかいて、呆れたように言う青木に、緋崎と氷川は、驚きで何も言い返せなかった。 


 『……えっ…?』


 そんな2人に、軽く肩を竦めて緑川が言う。


 「以外…なのだよ……あんなに…ロコツなのに…」


 赤沢ツインや緑川に、いつも軽くあしらわれている浅黄も軽く頭を振って、哀れみの目で2人を見て言う。


 「……俺らの間じゃ……有名なのに」


 さらに、トドメを刺すように、紫島が、のほほんと言う。


 「あぁーれぇー……氷川ってぇー……にいーぶうーいぃー?」


 次々と言われる言葉と、あきれたなぁという表情に、緋崎と氷川は困惑し黙っていることしか出来なかった。


 『……?…?…』


 耳が音を捉えていても、意味のある言葉として脳が処理していないことに気が付いた青木が、バリバリと頭をかいて突き放すように言う。


 「あのな……サクラは……和也が……大好きなんだよ……」


 そのセリフで、思わず和也を振り返る。

 彼らの頭の中でも和也の評価は…………。


 頭は良いけど、秀才とか出来るヤツという雰囲気は無いし…………

 バスケでも、気配が薄いのが特徴という微妙な和也が…………

 どこから見ても、文句無しの超絶美少女に恋されているとは…………


 青木のセリフに、どうしても頭が拒否してしまう緋崎と氷川は、手を握り合って驚きの声を上げてしまう。

 きっと、真っ当な理性があったなら、和也の機嫌を悪くするような言動を取ることは無かっただろう。

 実際、普段の2人はそんな地雷は踏まない。

 が、理性が切れていたので思わず叫んだ。


 『……えっ…えぇぇぇぇぇ…』









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