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058★やっと帰還


 

 手渡された手鏡を改めて、マジマジと見る。

 そんな和也を、じーっと見詰めていたガラムが思いきって声をかける。


 「オアシスの主様、どうか、我らを使役して下さい。代わりに、助けて頂きたく伏して願い奉ります」


 再度、土下座?して言うガラムに和也は苦笑する。


 ガラム達のことで、悩んでいたから…………

 ヴァルキューレ様からコレを、もらえたんです

 ここは、ガラムの願いを叶えてあげましょう


 どーせ……ゲームの中のコトですから……

 これで、この世界の人間の知識も手に入るんですから…………

 後は寝ましょう…………

 起きれば……きっと……戻れるはず…………

 

 和也は、ガラムに、無意識で微笑みながら話し掛ける。


 「ガラム、話しは聞いていましたね……手鏡の前に……」


 ガラムは、感謝と喜びの涙を浮かべながら、和也に何度も頭を下げる。


 「ありがとうございます……転生の環に入るまで……我が忠誠を、オアシスの主様に奉げます」

 

 ガラムが終わると次々にキャラバンの人間達は、和也の前に立ち手鏡に姿を写してもらった。

 全員の姿を〔黒い手鏡〕に映し出した和也は、手鏡を着衣にしまう。

 そして、和也は〔黒の鈴〕を取り出して、軽く振る。

 するとあたりには、涼やかな鈴の音色が響く。

 と同時に、天空の門のミニチュア版が、和也達の目の前に現れる。

 そして、音も無く、扉が開き、ガラム達を飲み込んで行った。

 全員を飲み込むと、扉は閉じ、門は消え去った。

 ほっーとひとつ息を吐き出すと、和也は風の精霊に声をかける。


 「オト、カオ、ハナ……ガラムの家族の乗った馬車を探してください……」


 『『『はぁ~い』』』


 疲れた顔で座り込む和也に、エンキが声をかける。


 『ますたー……あの死霊の家族は…我らが探し出し…守護します。ですから、お休み下さい……はっきり言って……顔色も悪いですよ』



 「ありがとうエン……じゃ…みんなに頼むよ…ボクは…眠る…おやすみなさい」


 『『『おやすみなさい…ますたー…』』』


 和也は、天幕の中にあるベットに横になったと同時に、張り詰めていた糸がきれ、ガクッと意識が落ちた。







 深遠のような闇に意識を落とした和也の意識は、唐突に浮上する。


 「お疲れ様、和也君」

 

 和也の耳に、藤田主任のあっかるい声が聞こえた。


 やっと帰れたぁ~…………

 3時間は長かった


 こうして、和也の第1回目のアルバイトは終わった。

 が、和也は知らない。

 ゲームと思っていた世界が、異世界だったことを…………。




  




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