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057★新たなアイテム



 ガラムは、和也の確信に満ちた指摘に、はっとした。 

 そして、自分の周りを見回して、人数の確認を始める。

 次に、馬車?の確認をする為か、和也の前から走り去った。

 それに引きづられるように、天幕の回りにいた者達も、ガラムの後に続いて走り去った。


 そして、しばらくすると、ガラムは、明らかに表情に明るさを取り戻して、和也の前に戻ってきた。


 「オアシスの主様……私の妻と子が乗った馬車一台と、部下の家族の乗った馬車が一台、ここにありません……それを護っていた奴隷戦士が数名、馬と一緒にいません」


 和也はゆっくりと頷いて、優しい表情で希望の光となることを口にする。


 「そう…馬車2台分の人間は、生きているんですね………」


 「オアシスの主様……ここに……金と商品がございます」


 和也はガラムの言葉に、ちよっと首を傾げる。


 えっとぉ~……なんで、唐突に金と商品?

 家族と部下は?


 和也は疑問に思いつつも、黙ってガラムの言葉を聞くことにした。


 「…………」


 ガラムは、和也に土下座?して頭を下げて言う。


 「ここにあるモノが、我がキャラバンのすべての財産です。これを差し上げますので、行方不明の者達を助けて頂きたいのです」


 必死な様子のガラムに、何と言うべきか和也はとっさに思いつかなかった。


 「…………」


 「オアシスの主様には、はしたがねだと判っておりますが……私には…他に差し出せるモノはございません…どうか我が家族を助けて頂きたく…伏してお願い申し上げます………」


 あまりにも必死なガラムに、和也は困惑する。


 「行方不明になって、どのくらいかもわかりませんし…他の動物や盗賊に襲われたかもしれません……ボクが…探しても見付からない可能性があります」


 「それでも、お願いいたします」


 「では、ガラムに聞きます、もし、見付かって助けたとして、そのまま近くの都市に届けるだけで構いませんか?」


 「はい、探してくださるだけで充分です……でも、欲を言えば…オアシスの主様に仕える使用人にして頂きたいのです…」


 「どうして?」


 「私の一家は、すべてここにいます。ですから、商売する方法を教える者がいません……商人ギルドとの…付き合いもできません…ここから1番近い都市は、滅多に訪れ無い場所なので、あれらには知り合いもおりません……誰かに雇われることも…難しいのです……どうか…オアシスの主様……お願いします……」


 「探すだけですよ……」


 和也は、面倒ごとは嫌ですというニュアンスを込めて言う。

 その言葉に、ガラム達は集まって相談していた。


 「長殿……我らは死人です…どんな場所にも入れますというのは…」


 「オアシスの主様の敵に祟るというのは…………」


 「死霊として使えるから…………」

 

 会話を聞いていた和也は、焦っていたりする。


 ……ちょっとぉ~……なんの相談しているんですか?

 ボクは、死霊使いのスキルなんていりません

 精霊使いなのに……真逆な……穢れモノを部下になんてできません

 こんなときは、どうしたらイイんでしょう

 この世界の常識って…………

 ああそうだ……銀嶺の記憶……


 和也は慌てて銀嶺の記憶を検索した。


 ……死霊の願いを聞く……代わりに…………

 ……ふむ……人間だった頃の記憶のみを…呼び出して聞くねぇ~………

 確かに…これだったら……周りの迷惑になりませんね……

 ただし……〔黒い鈴〕と〔水晶鏡〕……が……必要ねぇ~……

 それを、人間が呪で作り出して……死霊を使役している……

 コレって……〔黒の鈴〕と〔水晶の鏡〕の劣化コピーだったりして…

 

 銀嶺の記憶を検索した和也は、首を傾げて言う。


 「呪で作った〔黒い鈴〕〔水晶鏡〕と似た働きを〔黒の鈴〕と〔水晶の鏡〕が、出来るんでしょうか?」


 和也の一人ごとに、突然現れたヴァルキューレが答える。


 「死霊の記憶を聞き出すだけなら、これを使うがイイ」


 言葉とともに、和也に手渡してくれたのは、小さな黒い鈴が幾つも付いている黒い手鏡だった。 

 手渡されて不思議そうに手鏡を見詰める和也に、ヴァルキューレはクスッと笑う。


 どうして、唐突に現れるんです…………びっくりしました

 けど、何かいって藪蛇はゴメンです

 ボクはコレを終わらせたら、寝たいんです


 和也の心情などお構いなしのヴァルキューレは、笑顔のまま言う。


 「これは、私が造ったもので〔黒い手鏡〕という。この手鏡に、そこにいる死霊を独りづつ姿を写せ。さすれば、知識が必要な時、手鏡に向かって名前を呼べぶだけで、冥府と繋がる。まっ…水鏡とおなじようなモノだ…冥府の秩序にも影響は無い」


 「ありがとうございます……でも…これを頂くほどのコトを……ボクは……」


 和也がお礼を言いながら、言葉を続けようとするのを、ヴァルキューレはぶった切る。


 「これは、あの【すなわに】の命の焔石に対する礼だ。受け取ってくれ……何かあったら、私を呼べ……《いちの戦乙女》とな……いずれ…名を教えよう…」


 ヴァルキューレは、和也に言いたいことを言うと、唐突に消えた。


 えぇーとぉ……新しい……特殊アイテムってことですか?

 チャッチャララー


 和也は、特殊アイテム〔黒い手鏡〕を手に入れた

 死霊を冥府から呼び出し、ありとあらゆるコトを聞けるようになった

 〔黒の鈴〕と違って、MPもHPもさほど消費しないらしい

 

 ただし、〔黒の鈴〕を持ち死霊と知り合わない限り、使えないアイテムである

 と言ったところでしょうか…………

 ボクには、ありがたいアイテムです 


 和也は、手鏡を手に軽く首を振る。








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