056★神々達の本音?
奉げた手のひらに、ふわりと〔黒の鈴〕と〔水晶の鏡〕がのる。
それを見た和也は内心で、ゲーム音の幻聴を聞いていた。
チャラッャチャラァー…………
和也のレベルはいっきに10上がった
使えるスキルも増えた
解毒のスキル
浄化のスキル
ただし、スキルの使用レベルは1
どうやら、鍛錬が必要なようだ
特殊アイテムも手に入った
なお、特殊アイテムなので道具屋には売れない
アンデットモンスター〔元は人間〕を、天に還す〔黒の鈴〕
光が当たった大地を、水晶化する〔水晶の鏡〕
ただし、どちらのアイテムも使うときは、大量にMPとHPを消費する
というところでしょうかねぇ………
でも、とても使えます…
これで、ガラム達を天に還すことが、簡単に出来るようになりました
とても、助かります…………
お礼を言わなきゃ…………
和也は、神々に一礼してお礼の言葉を紡ぐ。
「 麗しの冥府の女神様 卑小なる存在に
神器〔黒の鈴〕を ご下賜いただき
ありがとうございます
冥府への道を見失いしものと出会いしときのみ
この鈴を使用いたします 」
「 美しき大地の女神様 ただびとに
神器〔水晶の鏡〕を ご下賜いただき
ありがとうございます
生き物に仇なす存在を 倒すとき 封じるときのみ
この鏡を使用いたします 」
「 世界を守護せし 八百万の神々よ
浄化の能力の付与 ありがとうございます
いきものを救うときのみ 使用いたします 」
あえて自ら使用の制約を入れる和也の応えに、神々は笑いさざめく。
『 我は、そなたが〔黒の鈴〕を
いかように 使おうとも
かまわぬゆえ 好きに使うが良い
そなたに 与えたのだから 』
『 大地を水晶化した後を
そのままにするも良し
元の大地にするも良し
そなたの心のままに 』
『 我らは そなたが気に入った
それゆえ そなたは好きにするが良い
我らは 既に忘れられ 民もすべて滅びた
今の人間が いかようになろうとも
そなたが 望むなら かまわぬ 』
神々は、和也の予想を超えてブラックだった。
人間達が、敬意を忘れ、あがめたてまつらない、忘れさる、などの理由から、自分達への敬意と信仰心をあらわし奉げる和也を、神々はこよなく愛したのだった。
が、そんな神々の心情を知らない和也は、内心で首を傾げていた。
こんなに、ブラックな設定で大丈夫なのかな?
敬虔な………は、いないようですね
タタミ化した者が、多数製作にかかわっているのはわかりますけど…………
あと、かなぁーりマッドなのが紛れているのも…………
じゃなくてぇ…………現実逃避しようと……累々ですからねぇ……
さぁーて……さんど・わーむ……と【すなわに】を、どこに置いたら…………
そうだ、チカ達に、預かってもらおうかな?
もういいや、そうしよう
いくら考えたって、他に良い解決方法なんてありそうにありませんからね
これで、片付けが終わったから……天幕のもどりましょう……やれやれ
なかなか、3時間って長いだすねぇ………はぁ~…
和也は、1つ大きく溜め息を吐いたあと、獲ってしまったモノの後始末を、地の精霊達に頼んだ。
「チカ…メグ…チホ…さんど・わーむと【すなわに】を、とりあえず仕舞っておいて欲しいんですが…できますか?」
地の精霊達は、和也に声を掛けられて嬉しいのぉ~という表情で応える。
『『『出来るよぉ~ますたー』』』
その応えに、和也はほっとする。
「良かった……出来るだけ、質が落ちないように…お願いします……」
実は、和也の目的がわかっているので、最良の保存方法?を、神々に感謝の言葉を紡いでいる間に、相談していたので、直ぐに地の精霊達は答える。
『はぁ~い。みんなに手伝ってもらって……氷室に入れて…おきます…』
『というコトで………さんど・わーむは、氷室にいれます…』
『えーと【すなわに】は、質落ちしないので、乾燥した場所におきます』
『全部、保存場所に置いてきまぁーす』
嬉しそうに応じる地の精霊に、和也はお願いする。
「それじゃ、頼みますね。時間に余裕が出来たら、さんど・わーむの油を搾ってみたいので………」
『『『いってきまぁ~す』』』
そう言ったと同時に、地の精霊3人と、大地に累々としていた、さんど・わーむと【すなわに】が綺麗さっぱりと姿を消していた。
和也は、地の精霊を見送ると、空歩を使って天幕までもどった。
そこには、ジタバタしているガラム達が、まだ存在していた。
ただその姿は、生きている人間の生気が失われていた。
輪郭が、微妙になっているし、気配が薄いです…………
緋崎くんなら、確実に、怖がる雰囲気がありますね……くすっ……
それに、人間らしい体温が、まったく感じられないですねぇ
これでいくと、自分達が死んでいることを自覚したって感じですね
とりあえず、どうして死んだか聞いてみましょう
何か未練があるなら……それも……
どうせ〔黒の鈴〕を鳴らせば一発で、冥府に送れるんですから…………
和也は、人としての形状が崩れているガラムに声をかける。
「ガラム、君は、自分がどうして死んだか…思い出しましたか?」
ガラムは和也の問い掛けに、虚ろな瞳でボソボソと答える。
「さんど・わーむに襲われて、キャラバンは全滅しました」
その絶望に満ちた答えに、和也は首を振って言う。
「全滅していませんよ………あの、貴族出身の姉弟は…生きていましたからね……確認してみなさい……生きて…逃げ延びた者もいるはずです…」