053★助力者登場?
直ぐに、気を取り直し、心の中でめぇーいっぱい叫ぶ。
どぉぉぉぉぉして…………このゲームは…………はぁ~………
一般的なゲームの内容にそって、進むって選択肢が無いんですか?
登場人物は、ボクだけですよ…………
いや、精霊達もいますけどぉぉ…………
奴隷の姉弟は、守護結界のなかで眠っているだけですし…………
ガラム達のキャラバンは、幽霊だし…………
パーティーのカタチに、ぜぇーんぜんなってないのにぃぃぃ
どぉぉぉーして…………こんなに、面倒なモンスターが、何匹も出るんです
独りで、失敗したら…………
あのドラク○のデロデロデロデンデデンですよ
まったくもぉー…………ここには、教会に連れて行ってくれるような、人間がいないんですから…………
……ったく……RPGとして……ダメですよね
はぁ~……ネット接続系のオンラインゲームじゃなくて…………
家庭用の閉じた、世界系のゲーム(初期の頃のドラク○など)の方が良かったです…………まったりできるし…………
時間の都合を考えると、オンラインでパーティー作ってっていうのは、ボクたちには無理が多いから…………
はぁ~………明日の練習メニュー…相沢センパイってば、どう組んでるのかなぁ?
また、他校と突然、練習試合っていうのはカンベンして欲しいです
この調子じゃ……明日のボク…イライラが残って………
……怖がりな緋崎くんを、イジメちゃいそうです…………
じゃなくて、今は目の前のコトを対処しなきゃ………
予定と違う事態に、和也がイラッとしている間にも【すなわに】の数はどんどん、おかまいなしに目の前で増えていく。
そんな中、天空の門より、黒衣をまとった美女の集団が、真っ白なユニコーンペガサスに騎乗して降りてくる。
どうやら和也のもとに、駆け下る予定らしい。
黒衣をまとった美女の集団は、腰に長剣を佩いて、その上で黒一色の槍〔槍の刃も黒、柄も黒〕を持っていた。
近くになってよく見えるようになって、わかったのは彼女達の身長が、4㍍にちょっとかけるぐらいで、巨人族? ぐらいに大柄だったりする。
その美しいが大柄?な黒衣の武装した集団を、和也は北欧神話みたいだなぁーなんて思いながら見ていた。
戦乙女というか、ヴァルキューレという感じですねぇ…………
このゲームの良いところは、色々なタイプの美女がとぉーってもリアルな姿と表情をしているコトですね
基本は、ぼんきゅっぼんって感じて…………
ローマ風に近い鎧と兜ですねぇー……
色は……聖なるもの銀って色合いですね
黒衣に見えたのはマントでしたかぁー
でも、ちらりと見える中に着ている着衣〔ミニのワンピースもどき〕は、好き勝手な色合いですね
階級らしきものは……兜の飾りの色と長さでしょうねぇー……たぶん
ふふっ眼福って感じでイイですねぇ
って……何しに来たんでしょうか?……
ヴァルキューレが、ヴァルハラ〔天国〕連れて行くのは、戦士のみのはず……
ボクは普通のその辺にいる高校生だし…………
ガラム達は、商人だし…………
誰を連れて行くんでしょうか?
悩んでいる和也の目の前で、ヴァルキューレ達は、それぞれに黒い槍を構え、次々に、【すなわに】に投げつけていく。
ヴァルキューレ達の槍は、的確に【すなわに】を大地に縫いとめて、その動きを確実に押さえ込んでいくのだった。
その姿と行動を見て、和也は先ほどの冥府の女神の言葉を思い出す。
なるほど、加護と助力として、娘達=ヴァルキューレってことですか…………
剣じゃなくて、槍を使ってますけど?
でも、投げて直ぐに、手の中に新しい黒い槍が現れるのは…………
流石、神々の眷属ですねぇー…………便利でイイなぁー
ちょっと首を傾げている和也のもとに、数人のヴァルキューレが騎馬のまま駆け寄って来た。
和也の前で、ヴァルキューレ達は、ユニコーンペガサスから降りた。
ひときわ麗しいヴァルキューレが、和也の目の前に立つと背後に控えていたヴァルキューレから細長い銀色の箱を受け取る。
そして、和也に、銀色の箱を持ったまま話しかける。
「翼竜を、その身に宿す少年よ
我が母より 黒の剣を与えん」
「ん……?…黒の剣って…なんですか?」
「黒の剣とは、冥府の女神や冥府王神などの力が、付与された剣のことだ」
「……人間が…持って良いものとは思えませんが? …………」
「その身に 神獣たる翼竜を 宿している故
貴方を 人と言うのは 問題があると思うが?」
「……ヴ…でも…」
「この黒の剣は 今宵 1度きり
貴方に 貸し与えるだけだ
【すなわに】を 一撃で倒す為に 」
「もしかして……黒の剣で…【すなわに】を斬ると同時に…命の焔を奪い取れるんですか?」
「そうだ ただし、斬るだけでは
結晶化はしない」
「もしかして、全部の【すなわに】を黒の剣で斬って、その後に、命の焔は我が手に、結晶化せよ……って……言わないといけない?」
「その通りだ 今回は 我らが
【すなわに】の動きを封じているから
貴方は その首を切り落とし
命の焔を 結晶化させれば良い」
「すべての【すなわに】の首を一撃で切り落とし……結晶化させるんですね……はぁー……ご助力…感謝いたします…」
「では、この黒の剣を受け取れ」
「はい…お借りします」
和也に、銀色の細長い箱を手渡すと、ヴァリキューレ達は、真っ白なユニコーンペガサスに騎乗し去って行った。
それを見送った和也は、銀の箱を近寄ってきたエンキに持たせた。
次に、箱を開けて、銀色の鞘に、銀色の柄の細身の長剣を取り出した。
着替えた和也の着衣には、剣を佩く為のベルトが付いていた。
そのベルトに、長剣を差し込む。
そして、和也は、長剣を鞘から抜き放つ。
長剣の刃は、黒々とし、内側からかすかな輝きを放っていた。
エンキに箱を預けた和也は、空中へと空歩で駆け上がる。
そして、1番手近にいた【すなわに】の元に、一気に駆け下りる。
その次の瞬間には【すなわに】の首を切り落としていた。