表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/165

052★RPGの定番? 新たなる戦闘3



 和也の疑問をよそに、精霊達はどんどん楽しそうに話し続ける。


 『妖魔族や魔族達なんかにも…滋養強壮って使えるの』


 えっ……えぇぇぇ………妖魔ぁ? 魔族ぅ?

 そんなモンまで…いるんですかぁ…………

 って、いってもファンタジーだから、アリですか…………

 いや、そんなモノに、滋養強壮に使える【すなわに】って…………


 困惑する和也をよそに、更に話しは転がる。


 『味も、すっごぉぉぉく…美味しいんだって…………』


 えっ……あの顔がブサイクな【すなわに】って、美味しいんですか?

 でも…それって、人間の味覚での話しですか?

 それとも……妖魔族や魔族の味覚での話しですか?

 一応、見た目はワニですから、やっぱり、鶏肉みたいな味なんでしょうかねぇ~


 困惑する和也は、ガチガチと鋭い牙?を口惜しげに噛み鳴らす【すなわに】をチラリッと、その姿を確認するように見る。

 そんな和也をよそに、精霊達は自分達の持つ【すなわに】の情報を言い合う。


 『ついでに、100年ぐらいは、味に変化がないんだってぇー…………』


 『ウワサじゃ……もっと、もつらしいんだよねぇ…………』


 ふむ……人間でも美味しく食べられるなら、長期保存食に向いてますね

 もしも、本当に人間でも美味しく食べられるモノなら、旅の携帯食で売り出すというのも手ですね…………

 さんど・わーむの油と【すなわに】の保存肉で一儲け…………

 いやいや…………人間に食べれるならの話しですけどねぇ…………


 ちょっと現実逃避ぎみの和也の耳に、更に【すなわに】の情報が流れる。


 『人間だったら、万病に効くって言われてるんだよぉ』


 『『『へぇ~…………』』』


 【すなわに】の肉って、食料じゃなくて、薬ですか?

 ふむ、そうすると、このRPGの設定の中では、万能薬っていうところですか

 確かに、それなら入手難易度が高くて当たり前ですね


 『いやいや…毒も、妖魔族や魔族は、薬にしているって、聞いたことがあるよ』


 『『『【すなわに】の毒って、薬になるんだぁ………』』』


 どんな薬になるのでしょうか?

 いや、あの毒で有名なトリカブトだって、適切な処置さえすれば、立派な心臓の薬になるんですから、ソレもありですね

 かなり凝った設定ですねぇ…………


 『毛皮は、千年どころじゃなく変化しないって』


 『いつまでも、キラキラしていて色あせなくて、触り心地も獲ったときから、変化しないって…………』


 確かに、あの毛皮は燃やしてしまうのは惜しいモノです

 触り心地が変わらないなんて最高ですね


 『極まれにだけど……妖魔族や魔族が…愛の証に…【すなわに】毛皮を相手に送るっていうの聞いたことあるよぉ…………』


 「ちょっと……聞きたいんだけど?」


 『なんですか?…………ますたー』


 「妖魔族や魔族は…どうやって……倒すんですか?…」


 『ますたー……あたし達は…精霊だから…』


 「……ぅん? ……」


 『血と性と悲鳴なんかを好む……妖魔族や魔族……と、付き合いは無いんです』


 『だから……どうやって…倒しているかなんて…わかんない』


 だぁぁぁぁ…………そして、振り出しに戻るですか?

 戦い方とかの参考になるかなぁ……って、思ったんですけどねぇ……はぁ~

 やっぱり、ここは神頼みしかありませんか…………ガックリ…………


 ふふふふ…………万能薬になる肉っていうとぉ…………

 ブレス・オブ・ファイ○の狩りで獲る肉を思い出します

 色々な食材の組み合わせで…………というと、ティル○ですかねぇ~

 流行ったRPGの内容を、組み込んでいるんでしょうか?


 どうせなら、もっと、単純で、簡単で、お手頃にして欲しいものです

 はぁ~……冥府の女神様に、また、お願いしますかぁ~

 でも、なんて名前をお持ちなんでしょうか?

 後で、藤田主任に聞いてみましょう…………



 色々と考えてもしょうがないと諦めた和也は、深い溜め息をひとつ吐き出して空を仰ぐ。

 満天の星々を仰ぎ見て一礼してから和也は、冥府の女神に呼び掛ける。


 「 天よりなお高みにおわす、麗しき冥府の女神よ

   この地とこの地に住むものすべてに

   仇なす【すなわに】の猛き命の焔を

   奪い取り 結晶化し 命の焔石となすために

   その強大なお力の1部を 我に助力とし

   ひとときお貸し下さい 【すなわに】の命の焔を

   完全に 結晶化し 命の焔石となす為に

   なお 結晶化せし 【すなわに】の命の焔石の

   1番大きなものは 約定に従いて 奉げん    」


 あれ? えっとぉぉぉ………いままでのと……なんか違う言葉が…………

 どうして? ……もしかして……より……強力な助力が必要? ……とか

 ……それって……人間の手に……かなぁーり……余るんじゃ?

 

 自分の口から意識しない言葉が、勝手にあふれ出たことに和也は首を傾げる。

 そんな和也に、冥府の女神よりの応えがあった。


 『 その身に 翼竜を宿す少年よ

   貴方に 加護と我が力の1部を

   我が娘の振るいし 黒き剣と共に

   貴方に 与えましょう      』

 

 冥府の女神の言葉と共に、満天の星々を背景に、光輝く黒き門が強大な扉と共に表れる。

 ギギーッという音と共に、その扉は開く。

 その向こうには…………。


 何かが……来る気配が……なんでしょう?


 瞳を凝らして、天空の門を見ていた和也の耳に、あのいやーんな音が…………。


  バリバリッッ ガリガリッッ ガッシャシャーン

  ギィィン ガシャーンッ バァリッボォリッ ガチッガッチッ

  しぎぎゃぁぁぁ………… ぎがぁー………がぁぁぁぁぁっっ…


 異音に振り向いた和也の目の前には【すなわに】が、何体も水晶化した大地を食い破り現れる姿が映った。


 ふふふ……かんべんして欲しいですぅ……

 さんど・わーむの群れを倒したら…………

 今度は【すなわに】の群れですか? ………はぁ~…


 和也は目の前が暗くなるのを感じた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ