048★RPGの定番? さんど・わーむとの戦闘3
精霊達は、和也のお願い? 依頼? 命令? に従って、奴隷の姉弟達に守護の結界? を作った要領で、さんど・わーむの行動制限の結界モドキを作った。
さんど・わーむが逃げない……逃げられない状態になったので……。
和也は、安心して、冥府の女神に呼び掛けることにした。
が…………。
えぇーとぉ…………さっき、なんて言って呼び掛けたっけ…………
あははぁ………ちょっと、あやふやな部分が…………
だったら、もう1度、呼びかけの言葉を…………
紡いでみよう…………定番の言葉は無いようだから…………
そんなコトを考えながらも、和也は冥府の女神をおわす方位に向き直る。
もちろん、和也にとっての西の方向に向かってである。
和也は、銀嶺の剣を足元の砂に突き刺したうえで…………頭を下げて言う。
「 生きとし生けるものが いずれは必ず還る場所を統治せし
慈悲深く 愛情深い 心優しく 深遠なる智慧と美貌を併せ持つ
偉大なる冥府の女神様に 再度の 助力を
こいねがいたてまつります 」
和也の呼びかけに、あっさりと冥府の女神が応える。
『 我が 加護を授けし 少年よ 我に
何を 望むのじゃ? 』
本日、2度目の呼びかけに、冥府の女神は機嫌よく応えてくれたので、和也は、ほっとして、願いを口にする。
「 我が身の内に同化せし翼竜の角の剣を使い
さんど・わーむを 切りましたが…………
再度 癒着し 再生してしまいます
そこで、怪魚の時のように
我が 倒せしさんど・わーむの命の焔を
我が手に集め結晶化し 命の焔石を造りたいのです
ご助力を頂けますでしょうか? …………」
『 ほほほ……少年よ……我の助力は
いつでも そなたの上に あります
そなたが 命の焔石を造りたいと
言葉に 出すならば いつでも
加護と助力を与えましょう
その代わり その度 ごとに
命の焔石を1つ 我に 奉げよ 』
自分の願いを簡単に叶えることを了承してくれた冥府の女神に、和也は深々と頭を下げる。
「 冥府の麗しき支配者たる女神様 加護と助力を感謝いたします
さんど・わーむの命の焔を結晶化し 命の焔石となったとき
1番大きなものを 御身に奉げます 」
欲しかった冥府の女神の助力をもらえることになった和也は、手の空いている水の精霊達に言う。
「ナミ、アヤ、チエ、ボクが、さんど・わーむを斬ったら、癒着しないように水でおおって欲しい……頼めるかな?……」
『ますたー……お仕事なのぉ~……アヤ出来るよぉ~』
『ナミも出来るぅ~……水刃で…さんど・わーむも切るぅ?』
『チエねぇ~さんど・わーむを水球で溺れさせようかぁ?』
「斬ったさんど・わーむを水で癒着しないようにして下さい。それだけでイイんです。また、命の焔石を造りたいので……イイですか?……」
ああぁ~もう……エンの…言う通り…精霊は、自分のしたいことをするですね
はぁ~……きちんと……やって欲しいコトを言っておかないと…………
ろくなコトをしませんねぇ…………
でも、今回は、命の焔石を造る都合がありますから…………
和也のきつめの言葉に、水の精霊達は、頷く。
『『『はい。ますたー……命の焔石…欲しいなぁ…』』』
自分の欲望に正直な水の精霊達に和也は苦笑する。
「命の焔石が、たくさん造れたら、みんなにあげます。ですから、頑張ってお仕事してくださいね」
『『『はい。ますたー』』』
良い子の返事をする精霊達に、和也はこっそりと溜め息を吐き出す。
ファンタジーの定番の精霊魔法とか、精霊を使役するって…………
もっと簡単だったような気がします…………
どうしてこう大変なんでしょうか?
やっぱり、バグったセイなんでしょうか?
ふっ………いくら、考えてもムダですよねぇ…………
ここは、さっさと……さんど・わーむを倒しましょう
なにかを捨てた和也は、剣を握り締めて、瞳を閉じて深呼吸をひとつする。
そして、次に瞳を開けた瞬間に、さんど・わーむに向かって走り出す。
火の精霊が作った炎壁と空断を、剣で切り裂き、1番手じかにいたさんど・わーむを一刀両断にした。
縦に真っ二つになったさんど・わーむは、すかさず半身づつ水球でおおわれた。
が、生命力に溢れているので、水球の中でうねうねと動いている姿が見えた。
うっ……なんか……キモイ…………
けど、大丈夫そうですね
ならば、さっさと決着をつけましょう
和也は、剣で切断したさんどーわーむが、水の精霊の水球でおおわれるのを確認すると、次々にさんど・わーむを斬っていく。
和也が剣を振るう度に、さんど・わーむは縦斬りにされていった。
いつもなら、逃げ惑う獲物を追い回していた砂漠の捕食者は、和也という天敵?に逃げ惑って泣き叫んでいた。
シィギャー………グシュー…フシュー
ギィィィスー……ギシュュュ……
訳すなら、いっやぁぁー、助けて、殺される、食われるぅぅぅ…………などというところでしょうか。
さんど・わーむをすべて斬り捨てた和也は、改めて水球を見る。
うっぇぇぇ……やっぱり…………水球の中で……
半身のままで生きているぅぅ…………
うっ……マジでキモイ………流石は……生命力に溢れる…
…………さんど・わーむですね
ならば、命の焔石もたくさん造れるでしょう…………
冥府の女神様に奉げるって約束したし…………
色々と使役? した精霊達にも上げたいし…………
銀嶺にも…………頑張って……造りましょう……
和也は、まださんど・わーむが生きていることを確認すると、銀嶺の剣を仕舞う。
手首に、左腕輪の感触を感じ、和也はホッとする。