047★RPGの定番? さんど・わーむとの戦闘2
和也は、さんど・わーむの姿が、はっきり言ってキライだったので、容赦なく銀嶺の剣を振るった。
ザンッ ざくっ ザクッ ずばばっ
銀嶺の剣は、切れ味がとてつもなく良かった。
その為、さんど・わーむの体液が飛び散ることは無かった…………。
1匹、2匹と切っていく和也だった。
バスケットボールを素早く扱い、パスカットなどのパスワークを得意とする和也の動きは、迷いも無く素早かった。
その他に、趣味で真剣を扱う居合いもやっていた和也の剣は、とても正確だった。
が、その正確さの為に、ある事態が起きてしまう。
そう…それは、あまりに綺麗な断面だったので、断面同士が倒れた弾みで癒着してしまったのだ。
ズズゥーンという音と共に盛大に倒れたさんど・わーむの一部の胴体がピタッとひっつき、生き返ってしまった。
シギァァァ……ギャキュ~…………ギャギャァ~……
鳴き声をあげながら、剣を持つ和也から逃げようとして、さんど・わーむは、地面に潜りこもうとする。
それに気付いた地の精霊達が慌てて、地面を最高強度の水晶で覆う。
『ますたーの正確無比な腕と……その剣があいまって…切れ味が良すぎです…』
『切られたさんど・わーむが、再生していますぅぅ』
『今は、水晶で地面を覆いましたけどぉ…………』
『どのくらい…………さんど・わーむを逃がさないでいれるか…………』
『『『わかりませぇーん』』』
地の精霊の悲鳴? にも似た訴えに、和也は困ってしまう。
えぇ~とぉ~…………そんなに、切れ味がイイんですかぁ~
銀嶺の角が変化した剣って………
だぁぁぁ…………どうしましょう?
まだ、酔いの残る頭で、和也はウニウニと首を傾げる。
うぅーん…………さんど・わーむが、再生しないように…………
どうしたらイイんでしょう?
………あっ………いっそ、この剣でスパッと切ったら…………
切った時点で、エンに燃やしてもらっちゃうっていうのはどうでしょうか?
「エン、切り口を焼いてくれますか?」
和也の言葉に、エンキは困ったような声音で答える。
『ますたー……さんど・わーむは…その身の内に…大量の油を含んでいます……おれが…切り口を…燃やすと……さんど・わーむは…勢い良く燃え上がります…それでも宜しいですか?』
許可をくれるなら燃やし尽くすという意味を含んだ言葉に、和也は急速に酔いが醒めるのを感じながら、最良を探す。
えっ…えぇぇぇ……って…そういえば……
小さいサイズのさんど・わーむからは…良質な油を取るって………
銀嶺の知識に………そういうのあったっけ……………
さんど・わーむの油は………人間にとって有効なモノですけど………
この大きいさんど・わーむの油も同じモノなのでしょうか?
……もし、そうならもったいないですねぇ…………
燃やしてしまえば、絶対に再生は無いから………
できれば………違って…欲しい…ですけどぉ…………
でも……いやな……予感って当たるんですよねぇ…………
「チホ…………さん…ど・わーむの油って………大きいサイズのものと、小さいサイズのものって、成分は同じですか?」
和也の問い掛けに、チホは嫌そうに答える。
『昔ぃ…長老様に…聞いたけどぉー……さんど・わーむって……1種類しか…いない…って……だから……成分も一緒だと思うのぉ~…………』
うげっ………だぁぁぁ………それじゃ……もったいなくて……
燃やせないじゃないですかぁぁ………はぁ~…………
さんど・わーむの油は、極寒の地に住む者達にとっては、大切な資源ですし………
だったら……いったい……どうしたらイイでしょう…………
なにをしたら、最良かを考え、和也は心の中でポンッと手を叩く。
………あっ…そうだ……怪魚の時のように……するっていうのはどうかな?
ここは、冥府の女神様に…助力を願おう………
………そうすれば、もったいなくないですね…………
その間、さんど・わーむが地中に逃げないようにしないと………
…ふむ……炎の壁をエンに作ってもらえばイイですね…………
自分が燃えると判っていて、わざわざ飛び込む可能性は低いですからね…………
今度は、魂魄の結晶が……命の焔石が出来たら、銀嶺の剣に付けてあげましょう
少しは銀嶺の再生に役に立つでしょうから…………
はぁ~…………冥府の女神様の力を付与というか…………
剣にエンチャント? があればなぁ…………
出来れば、簡単に命の焔を奪えるなんて、チート能力なんてモンがそなわっていたら………って…無理ですよねぇー…………
でも、ミスリル銀の剣ならそこそこ出来るかも……………
はぁー……ろくでもないコトが思いつくだけですねぇ………
さて、冥府の女神様に呼びかけする間、さんど・わーむをどうするか………
このまま地の精霊と火の精霊に、頑張ってもらいましょう
和也は、さんど・わーむを足止めする為に、地の精霊と火の精霊に話し掛ける。
「チホ、チカ、メグ……ちょっと……いいかな?」
『なぁ~に、ますたー……お仕事?……』
「そう……頼みたいコトがあるんだ……」
『ますたー…の……お願いなら…なんでも…するぅー』
「ありがとう……冥府の女神様に、お願いをする間…さんど・わーむが地中に逃げられないように、水晶で地面をおおっていて欲しいんだ…出来るかな?」
『『『出来るぅ……お仕事ぉ……嬉しいのぉぉ』』』
ハモッて、3人同時に両手を地面について、詠唱する。
『『『大地の子 地の精霊の名の下に
地表よ 硬化し 透明化し
結晶化せよ 水晶壁 発動っっ 』』』
一瞬で広範囲に、水晶を結晶化させて、さんど・わーむが地中へと逃げ込むのを妨害する。
和也は、それを確認し、無意識に頷く。
これで地面を水晶でおおえたから、後は水晶の上を這いずったり、飛び越えたりして、水晶壁から逃げないように、炎の壁をエンとカカに作ってもらいましょう………
…………あっ……そうだ…ハナ……オト……カオに、空断した上で、風の刃、空牙で、さんど・わーむを抑えておいてもらいますか…………
念には念を入れておきますか
色々と考えて和也は、精霊達に依頼する。
「エン、カカ、さんど・わーむが逃げないように、炎の壁、炎壁を作って欲しいんだけど……出来ますか? ……」
『出来ます……でも…下手したら…さんど・わーむが、燃えますけどぉ……間違って、炎壁にさんど・わーむがぶつかって燃えても……イイですか?』
「炎壁とさんど・わーむの間に、オト達の空断を入れておけば、大丈夫です………お願いします…オト、カオ、ハナ……できますね」
『『『はい、ますたー』』』