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044★キャラバンと宴

 


 和也は、天幕の外に設えた場所に、奴隷の姉弟とガラムをはじめとするキャラバンの人間達を改めて招待した。


 「料理やお酒を、独りで楽しむより、大勢で楽しみたいので、全員、ここに招待します。新たに、料理を作りたければ、あちらに、材料や調味料などは、揃えてあります。もちろん、調理器具も…………」


 和也の申し出に、ガラムはしっかりとのった。


 あの砂嵐のセイで、食料が、予定よりはるかに少なくなっているから…………

 この申し出はありがたい…………

 珍しく、豪勢で美味しい料理を、家族に腹いっぱい食べさせてやれる

 それも、タダで…………


 水も安全に手に入った…………

 無償で泊まることを許可してもらった…………

 貴族の姉弟を奴隷として押し付けられて、困ったが…………

 かなり役に立ったな…………


 酒は全部売れたし、衣類は、あの姉弟がかなり買ってくれた

 後は、おいおい売ればイイ…

 しかし、この量の料理をいったい誰が作ったんだろう

 御付の者は、まったく見当たらないのに?


 でも、お客様になってくれたし…………

 こんな場所に独りで居れるというコトは、力のある魔術師、魔道師、魔法師、呪術師、使役師などだしなぁ~


 どれも、機嫌を損ねるとロクなコトにならない相手だし…………

 何が有っても、見てみぬ振り、知らない振りをするのが1番 

 何も聞かない…………知らなきゃ何も報告する必要が無いからなぁ~

 とにかく、お礼を言っておく…………


 和也が、オアシスに独りで居るコトにかぁ~なぁ~り疑問を持ちながら、ガラムは質問することはなかった。

 和也の機嫌を損ねるコトを極度に嫌ったから…………。


 「はい、ありがとうございます」


 ガラムは、和也にお礼を言うと、家族に顔を向ける。


 「お前達、オアシスの主様に、失礼の無いように…………」


 和也に失礼なコトをしないようにと、色々と注意をするガラムだった。


 その言葉に、キャラバンの人間達は、頷きながら返事をする。


 「「「はい」」」



 そして、宴が始まった。


 最初は、珍しい料理に舌づつみを打っていた為に、大人しかった彼らだった。

 が、和也が、色々なお酒を利き酒しては、進めるので…………。

 大人達は、ついついお酒を呑んでしまう。


 それと対照的なのは子供達で、お腹がいっぱいになると疲労と安心感で眠くなる。

 子供達を寝かしつけるために、年寄りと女達は、キャラバンの天幕へと戻って行った。

 たぶん、一緒に眠る予定なのだろう。


 だが、お酒の飲める大人達は、ついつい飲んでしまう。

 和也は、銀嶺と同化しているので、効率の良いお酒が欲しくなるし、ガラム達は緊張感が切れて、美味しいおつまみとお酒に、ついつい飲んでしまう。


 知らない国の知らない特産品や風習、不思議な動植物、おもしろい地形や自然環境などの話しに夢中になり、飲んで歌って踊って…………。

 和也とキャラバンの人間達は、ちょっとズレた空間に居る精霊達を、おもしろがらせていた。


 そんな中、地の精霊達が、突然、顔色を変えて、耳を澄ませる。

 真剣な様子に、風の精霊も耳を澄ませるのだった。


 『大変……この…音って…』


 『うん……大地の栄養を吸い取る…アイツらだ…』


 『ねぇ…オト……ますたー達の音を廻りから…遮断してる?』


 『もちろん、ますたーの安全の為に、音が伝わらないようにしてるよ』


 『あのさ………』


 『なぁに……アヤ……』


 『ここって、水があるでしょ』


 『うん……だって……オアシスだもん』


 『アイツらも、水分が欲しいときは…………』


 『ここに、水を飲みに来るの?』


 『直接じゃないけど……地面の湿気を…嘗めに…近くまでは…………』


 『それって……ここまで……来ちゃうかも?』


 『うん……来るかもしれない……』


 『じゃ…何とかしないと…………』


 『……んっ?……』


 『何か……止まってる?……』


 『警戒してる?』


 『アイツらが…警戒するって………』


 『それって……アレしかいないでしょ……』


 『でも、アレがこっちに来るんだったら…………』


 『絶対に、翼竜が、食べたいって……言うよね……』


 『…うん……絶対…ますたーに……おねだりするよね……』


 『するねぇ~……だって……翼竜って……ゲテだもん……』


 『ますたーって……めちゃくちゃ…強いからぁ~…』


 『はいはい……提案……』


 『チカ……何が…言いたいの?…』


 『アイツらやアレを、マスターに処分してもらっちゃおうよぉ~』


 『それって……イイねぇ……』


 「何かあったら、知らせてね」と和也に言われていたのに…………。


 精霊達は自分の欲望に従い、なぁ~にも注意しなかったのだ………。


 こうして、和也は、何の情報も無く、ある危険で巨大なモノと戦うことになったのだった。


 それは…………。

 








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