043★キャラバンと宴の準備
和也は、キャラバンの人間達が、ひたすら水を汲み、何度も何度も運んでいる姿を見ていた。
特に驚いたのは、馬?ラクダ?チョコ○?が、大量の水をガブ飲みしている姿だった。
ラクダが、1度に大量の水を飲むことを知識で知っていても、実際に見る迫力はすごいと思ってみていた。
このRPGって、設定が妙に凝っていますねぇ~
砂漠を渡るラクダが、水を取らないでかなりの時間過ごせることを知っていても、その後に、大量の水を取ることを知らない人が多いのに…………
こんなシーンをあえて入れるなんて…………
なんか、変わっていますねぇ~
実際のラクダは、軽く50年は生きるし、けっこうな乳量があるから…………
アラブの遊牧民は、ラクダを不動産扱いするって言うことも、後でゲームの設定とかに、影響させる気なんでしょうか?
もしかして、ラクダに順序よく水を飲ませることが、出来なくてスタンピートさせて、荷物や装備がラクダと共に無くなるなんて…………
うっ……エグイ設定です……
でも、けっこう、抜けている緋崎くんだったら、ありそうですね
そう言えば、ボクがもらった奴隷の姉弟は、なんて名前なんでしょう?
後でも聞いておきましょう………
墓標に、名前を刻んであげる為にも………
ガラムやサウルの他の人間達の名前も知りたいし…………
ふむ、余った料理を食べましょうと誘って、彼らがどこの出身で、どこへ行く予定だったのかも聞かないと…………
きっと、その情報を元に、次のイベントが始まるはずですから…………
しっかし、ガラム達の家族なんでしょうか?
小さな子供や女の人、お年寄りも確かにいますねぇ~
一族で旅をしているんでしょうか?
それとも、国で待っているんでしょうか?
一族が、全員で旅をしているのか?
でも、それだと一族が滅びる可能性が出てきますね
待ってる者がいるなら、一族の一部が残ることになりますが…………
でも、女と子供と老人ってコトになりますから…………
どっちにころんでも、滅びを内にはらんでいますね
さて、このキャラバンはどちらなんでしょうか?
行き詰ったボクのために、プレーヤー支援システムが発動した結果が、オアシスにキャラバン隊来訪ですからねぇ…………
それを考えると、一族の元へ、彼らの残したモノを届けるとかいう、ちょーベタなイベントなんでしょうか?
はたして、幽霊の彼らにその記憶はあるんでしょうか?
それに、幽霊になった原因は?
その時期は?
いったい、何処で、そうなったのか?
う~ん、どうやって調べたらイイんでしょうか?
きっと、これが、次のイベントの鍵でしょうから…………
ここは、ごはんとお酒で、何とか聞き出しましょう…………
しっかし、水汲みやラクダ?達に水を飲ませるのは…………
以外に時間がかかるものなんですねぇ~…………
なお、現実のラクダ達は、50㍑ぐらい飲みます。
特殊な胃を持っていて、それだけの量の水を飲んでも大丈夫なんです。
※人間は、1度に飲みすぎると、場合によっては命の危険になったりします。
ただし、いくらたっぷりと飲める機能を持っていようと、1度にそれだけの水の量を飲むのは、けっこう時間がかかります。
ちなみに、ラクダは馬と違って、人間の命令をあまり聞いてくれませんので…………。
馬とラクダはかなり違う動物です。
奇蹄目は、 馬、獏、サイ3科23種
馬などは、胃が1つしかありません。硬いひずめがあります。
偶蹄目は、イノシシ、カバ、ラクダ、シカ、キリン、ウシ、ヤギ、ヒツジなど9科185種
イノシシ(豚など)以外は、4つの胃を持ちます。
ウシが、反芻するのは、皆さんも良くご存知だと思います。
作者は、偶蹄目の方がより環境に適応しているので、野生動物としての種類も豊富だと思っております。
端的に言うと、ヤギやラクダが食べられる草でも、馬が食べられないってコトはけっこうあります。
硬いとそれだけで食べられなかったりします。
また、馬は、木の枝や皮は基本食べられません。
消化できないので………でも、偶蹄目は反芻する能力が有るので食べられます。
だから、人間に懐きが悪くなります。
だって、人間に懐かなくても、色々と食べれるんですから…………。
だから、ラクダは、人間に逆らいます。
なお、馬は、水を必要とする動物なので、一定以上の砂漠地帯の移動手段としては使えません。
砂漠は、ラクダの独壇場なのです。
その代わり、雨や湿気は苦手です。
どの動物も一長一短ですね。
閑話休題。
和也は、しばらく、黙ってキャラバン隊の日常?を見ていた。
そして、キャラバンの人間達の、水を汲んだり、ラクダ達に飲ませたり、商品を出したり、仕舞ったりがひと段落したように、和也には見えた。
さてと、サウル達の動きもだいぶ収まったようですね
姉弟の買い物も終わったみたいだし…………
ボクのお酒も、見本の他に、本体が手渡しされましたし………
ということで、誘ってみますか…………
ガラムやサウル、それに、姉弟、他に占い師あたりがイイんでしょうか?
まっ、一緒に食事する人間を、ガラムに選ばせるのも一興ですし…………
和也は、納品するお酒を並べ終わったガラムに声をかける。
「お酒は、それで全部ですか?」
和也の問い掛けに、ガラムはお酒の壷や樽やカメを、指差し確認してから答える。
「はい、これで、全部です」
改めて、和也は、砂金の入った袋をガラムに見せてから、放り投げる。
「支払いは、この砂金で…………」
和也に砂金袋を投げられたガラムは、すかさず受け取る。
次に、サウルが用意していた秤の皿に、おもりをのせる。
そして、そのおもりとつりあうように、サラサラと砂金をもう一方の皿にのせていくのだった。
その動作を数回繰り返して残った砂金を、ガラムは和也ではなく、奴隷の姉弟の姉に手渡したのだった。
もちろん、姉弟の買い物の対価を得る時も、同じ作業をしていた。
その時も残った砂金は、姉弟の元に返された。
和也に、直接、返すのではなく、姉弟に返したのは、和也に返すよりも、楽だったからです。
行儀作法は、それぞれの国や地域によって様々なので…………。
和也の服装は、ガラムの知っている服装ではなかったから、風習もわからないので危険(和也を怒らせる)は、出来るだけ避けるという商人の考えによります。
どうして……ボクに、返さなかったんでしょうか?
でも、姉弟に返したなら、それでイイですね
どうせ、幽霊ですから…………
あとで、回収すればイイんですから………
とりあえず、食事とお酒を一緒にと言いましょう
幸い、精霊達が、暖かい料理は温かいままに…………
冷たいお刺身などは、冷たいままにしてくれていますから…………
食べるには、何の支障もありません
それに、残して置いたマグロの柵を出して、好きに料理しなさいと言えばイイし
果物も野菜も出せばイイんですから…………
あとは、ボクが、招待すればイイですねぇ……
きっと、お腹が空いているはずです
食べたら、旅の話を聞きましょうか…………
和也は、奴隷の姉弟とガラムに声をかけた。
「ボクと、食事をとりませんか? どうですか?」
「ご主人様、私達がご一緒しても宜しいんですか?」
「単なる商人が、御領主様と食事ですか?」
「ダメですか? ……珍しい旅の話が聞きたいんで……」
「私達の国の話しで、宜しいのですか?」
「ええ……どんな王が治めているか……特産品は? ……色々と知りたいな……」
「はい。それでしたら、色々と話すことはできます」
「キャラバンの長として、色々な場所を旅していたのでしょう? その時の苦労話しとか、どんな危険を乗り越えたか? を……お礼に魚の肉を出しますが?」
「それでしたら、妻の得意料理を出させます。それと、色々な話しもいたします。それ故、二三日滞在させて頂けませんか?」
「いいでしょう……では、長殿、お勧めのお酒を…………」
「これが…………」
こうして、和也と幽霊?キャラバンの宴?が始まった。