表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/165

039★お客様は……人間?それとも……?

 


 ヒナの発言に、和也はその言葉の意味をわかっていながら、シレッと答える。


 「……うん……そうだね……」


 『今…追い払いますね……』


 「いや……このまま……ボクの前に誘導して……」


 『ますたー……なぜですか?…危険が…』


 「幽霊でも、もとは人間…話してみたいんだ」


 『でも……』


 「危なくなったら、ヒナが追い払ってくれるでしょ?」


 『……はい』


 和也の意思に、ヒムカは引き下がってしまう。

 これではマスターの和也に危険が及ぶと思った火の精霊達だった。

 

 『あの……』


 口を開きかけた2人に、和也はにっこりと笑って言う。


 「いざとなったら、エンとカカの浄化の炎で、送ってあげればイイでしょ」


 『出来ますが…………』


 火の精霊が言いよどむのをみて、ツクヨが決意をもって言う。


 『ますたーに、アレらが危害を与えたら…………』


 が、和也は意に介さない。


 「ツキが、隠してくれるでしょ」


 『ますたー……もしかして……』


 「……うん?…」


 『アレらから、人間の情報を取りたいの?』


 「出来ればね」


 『あたし達のお話じゃ……ダメ……なの?』


 「ダメじゃないけど……ボクの国では…『百聞は一見にしかず』っていうことわざがあるんだ…」


 『それって……どういう意味?……』


 「どんなに沢山の本を読むよりも、実際にモノを見たほうがイイって意味なんだよ…だから……確かめたいんだ…」


 『…………』


 「だって、ボクには、アレらを追い払えるヒナと、アレらからボクを完全に隠せるツキと、浄化の炎を持ってるエンとカカが、いるんだよ。大丈夫って思ちゃうでしょ…………誰だって……ねっ」


 和也の意思が、どうやってもくつがえらないことを理解する。


 『ますたー…分かりました…追い払うのは……ちょっと…待ちます』


 『ますたーが、ちょっとでも危なくなったら、隠しますよ』


 『おれは、勝手に判断しますイイですか?』


 「うん……イイよ……」

 

 和也は、幽霊でもイイからお話ししたいという欲望の為に、精霊達を強引に黙らせたのだった。


 和也と精霊達が会話している間にも、幽霊達は近付いて来る。

 和也の目には、幽霊達のキャラバンが、はっきりと見えるようになった。

 

 なんで? …これが……幽霊だって…わからないんだろう?

 影のつき方がいい加減です

 だいたい、馬? ラクダ? の映像に乱れがあり過ぎです

 歩くたびに、足が多かったり、少なかったりして、足の数があっていません  

 CG担当したの誰ですか?


 あぁ…もう………映像がブレてるし……ムラがあり過ぎです

 これで、見分けられないのは、幽霊をガチで怖がる緋崎くんぐらいです

 あとで、藤田主任に言いましょう


 もっと、CG映像に予算を割り振ったほうがイイですね

 人間とまるっきり見分けがつかないぐらい、精密に作って欲しいです

 その方が、驚きがあっておもしろいんですけどぉ…………


 ほんと、RPGの幽霊って、どうしてこういい加減なんでしょう?

 そう言えば、あのドラク○のは、あまりにも酷かった…………

 予算が無いわけじゃないだろうに…………


 それにしても、今回のもかなぁーり映像が手抜きですね

 砂漠の民っていうか、イスラ○教徒の白い民族衣装に似すぎです

 もっと、凝った服装にして欲しかったなぁ~


 それとも、アラビアのロレン○の映画のオマァージュですか?

 民族衣装(白いアラブ服=トーブ、頭の白い布=シュマーグ、頭部り黒いワッカ=イガール)に、本当によく似ているなぁ………


 まっ、ボクは、お祖父さんやお祖母さんと一緒に、古い映画を見ていたセイでそう思うのかも知れないけどぉ…………

 でも、白一色の民族衣装は、つまんないなぁ…………

 もう少しカラフルでもいいんじゃないかなぁ?


 あっ…白だと、影を入れるだけだから、映像作成が楽だから…………

 こういうところの予算をケチったらダメでしょ

 RPGは、映像が命なんだから…………


 和也が、幽霊達の服装にダメだしをしている間に、精霊達は全員姿を消していた。

 幽霊に、姿を見られるコト自体を穢れとして忌み嫌うから…………。

 精霊達は、和也を独りにすることを嫌がったが…………。


 和也の居る現世うつしよから、ちょっとズレた現世α(うつしよアルファ)に、精霊達は移動したのだった。

 和也に何かあったらすぐに行動できるように…………。

 我が儘になっている和也に、何を言っても無駄と諦めたセイだった。


 和也が、こんなに自分の欲望に従ってしまったのは、調理の為にお酒の味見を何度もしたセイだったりする…………。

 それと、銀嶺が怪魚を食べたときに、デーツのお酒をぜぇーんぶ飲んだ為だった。

 身の内に、銀嶺を宿している為に、酔っている銀嶺の影響をもろに受けるのだ。


 ようするに酔っていたりする。

 その為に、何時もの理性的な和也は、どこかに行って…………。

 我が儘な欲望に忠実な和也が出て来たのだった。


 和也の前に到着した幽霊達のキャラバンは、乗っていた馬? や、ラクダ? ちょ○ぼ? から、全員が降りる。

 そして、キャラバンの隊長?長?が、和也に挨拶する。

 まるで、生きている本物のキャラバンの人間のように…………。


 「始めまして、オアシスの主殿よ……私は…このキャラバンを…率いるガラム=ムーシェルと申します」


 頭を下げて礼をとる姿は、映画のワンシーンのようだった…………。


 えぇ~…とぉ……なんで、ボクが…オアシスの主なの?

 って………そっか…地の精霊が出したモノ達のセイか…………

 なんて答えたら良いのかな?


 「…………」


 何と答えていいか分からなかった和也は、黙って頷くだけにした。

 そんな和也に、ガラムは、再度、頭を深く下げて礼をとりながら言う。


 「日も落ちきり、月が上り、風も凪いで、砂漠の旅に、良き夜に、何ゆえ来たかとお疑いでしょうか?」


 和也はちょっと首を傾げてから、その顔を見たいと思ったので、声を掛ける。


 「…あ……あのぉ………頭を…上げて……喋って下さい…………」


 和也の困ったが含まれる言葉に、頭を上げて言う。


 「砂嵐に会い、われらの持つ水があと二日で尽きてしまうのです。それ故、オアシスを探しておりました」


 そのセリフに、和也はちょっと眩暈を感じた。


 うわぁぁぁ~………すっごい…ベタな言葉…キタァー………まさにテンプレ………

 はぁ~………もう少し…考えたセリフが欲しいですねぇ~…………

 せっかくの異世界感バリのRPGなんだからさぁ…………

 ここは、ボクがヒネッたセリフを入れてあげましょう


 「先触れは無かったが…………」


 和也の問いに、ガラムは年老いた男を手招きして言う。


 「ここに、おります。占い師が、水晶に映るこのオアシスを探し出しました」



 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ