表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/165

038★やっと、ごはん?6 食後のデザートは?



 和也が、水球から出て来ると、すかさず銀嶺が肩に飛んできた。

 ただし、素早い動きではなく、ヨテヨテと表現したほうがイイような動きだった。

 眠くて眠くてたまらないという表情で、銀嶺は和也に話し掛ける。


 『ますたーなかに入って眠ってもイイですか?』


 瞳を小さな手で眠そうにこすり、ちいさなあくびをしながら、話しかけてくる銀嶺に和也は、ふんわりと笑う。


 かっ……可愛い…小さな身体で……小さなお手てで、瞳をこすってるぅう……

 ボクでさえ……きゅんきゅんきてるんだから………


 ここに……相沢センパイがいたら……銀嶺を抱き上げて…………

 きゃーかわいいぃーもうたまんなぁーいって言いながら……

 くるくる廻ってしまいそうな愛らしさだなぁ~……


 う~ん……このゲーム……女の子や可愛いモノ好きな人間に受けそう……

 ボクも好きだなこのゲーム……色々と嫌な部分もあるところが……

 設定としては、リアルっぽくてイイのかな? とも思うなぁ……

 じゃなくって……ボクのなかに入って休みなさいって言わなきゃ………


 銀嶺の愛らしさに、動物好きな和也は、クラクラしながら答える。


 「いいよ……はやく……なかで……やすみなさい……おやすみ、銀嶺」


 『はい、ますたー……おにゃすみなさい……』


 既に、頭が眠っている銀嶺の答えに和也はくすくす笑った。 

 が、そんな和也に気付く余裕のない銀嶺は、肩から一瞬で消えた。

 そして、和也は、銀嶺の寝息を身の内で感じるのだった。


 完全に夢の国に行ったみたいですね

 銀嶺は、やっと本当の意味で眠れたんでしょうね……

 でも、後で、銀嶺に呪?をかけたモノの話しを、聞きだす必要がありますね

 このRPGの敵キャラの1人に、違いないんですから…………


 それと、精霊達を捕まえて、使役する為の呪についても、聞く必要がありますね

 ゲームをプレイする人間達の最終目標を叶える為の冒険は、いったい何なのか?

 ラスボスは、どんな生き物なのか?

 敵キャラはどんなモノなのか?

 敵モンスターは?


 ぜんぜん出会って無いから、まるっきりわからないんですよねぇー……

 まっ……ごはんを……食べてから考えてみましょう……

 料理は、火加減が大事です

 火加減には、火の精霊と風の精霊を使えばなんとでもなる……たぶん……

 とりあえず、マグロ? を解体しましょうか………


 考えがまとまった和也は、天幕の中を見回して、1番大きなまな板?もどきと細身の包丁?もどきを取り出す。

 

 うふふふ…………大理石のまな板ですか?

 まっ……使えるなら……よしとしましょう……

 この包丁? だったら、マグロ? を三枚に下ろせるかな?

 とにかく試してみましょう…………


 200㌔超えるマグロ? を、普通の腕力しかないボクが、ひょいひょいと動かせる風の精霊の魔法?は便利ですねぇ……

 

 内心で色々と考えながら、和也は黙々とマグロ?を解体する。

 内臓とウロコなどを取り除いた可食部分を、柵になるように再度切り分ける。

 

 今回、食べる分以外は、氷室に入れればイイと思うと便利でイイですね

 血合いの部分は、油で揚げて、油に漬け込んで、ツナにしましょう

 あとで、色々なものに使えますから………


 粉を付けて、マグロ? のから揚げもイイですね

 軽く焼いたマグロ? のステーキ

 食べやすい大きさに切って、マグロ? の刺身の盛り合わせもイイなぁ

 さっき、取り分けたエビなんかも盛り合わせに…………

 

 にこにこ笑って和也は、料理をしたのだった。

 それを手伝ったのは、火の精霊と風の精霊と何故か水の精霊だった。


 火の精霊と風の精霊を使って、焼き物を…………。

 火の精霊と水の精霊を使って、蒸し物を…………。


 と言うように、和也は、精霊達を使い分けて料理をしたのだった。

 

 電子レンジのヘルシ○とか、コンベクションオーブンとか、電気フライヤーとか色々な調理器具と同じような使い方をしたのだった。


 地の精霊達は、何でも用意したくなる性質があったので、色々な粉や色々な種類の油や野菜や果物などをたぁーっぷりと天幕に入れてあった。

 こんなに食べれませんというような量だったのは言うまでもない。

 が、身の内に、翼竜の銀嶺を入れていた和也には、助かったなぁ~と感じられる量だったりする。


 身の内に、大きな力を持つものを入れると、人間はその分よけいに食べる必要が出るので…………。

 和也も必要にせがまれて、沢山食べれる体質にかわっていた。

 が、本人は無自覚だったりします。

 もちろん、沢山食べても大丈夫なのは、和也の胃が銀嶺の胃と重なっているので、桁違いの許容量と消化力、吸収力を使えるからです。

 

 大量に作った料理を並べながら、和也は孤独感を感じていた。 

 和也の周りには、精霊がたぁ~くさん居ても、人間は1人もいない。

 大家族で育ち、大人数のバスケットボールのクラブに所属していた和也は、人の気配が無いことに、かなぁーり辛くなっていた。


 はぁ~………人間と会話したいですぅ…………

 なのに、このオアシスには、1人もいないんですよねぇ…………

  

 精霊との契約の後、このオアシスに来た人間はますたー(和也)が始めてだと聞いたときは、かなりショックだった。


 このオアシスは、人間達のキャラバンの通り道から外れているんですね

 確かに、ここに来る途中、そういう道らしいモノはありませんでした

 さらに、ここは、人間に見付からないように、結界が張られているようですし

 もし、このオアシスに人間が来るならば………


 それは、死霊、悪霊、幽霊のたぐいでしょうねぇ……

 光と闇の精霊が居るから、人間の幽霊程度は簡単に追い払うことは出来ます

 だから、ボクは、このオアシスを明るくしてもらいました

 遠くから見えるように…………


 えぇ~え……このさい、幽霊でもイイんです

 ボクは人間と喋りたいんです

 こんなに沢山の料理を1人で食べるのは、寂し過ぎます


 はぁ~…………一緒にアルバイトに来たのにぃ…………

 緋崎くんや浅黄くん、緑川くんにも会えないなんて…………

 今、みんなは何処にいるんでしょうねぇ…………

 あぁ~あ、緋崎くんがここに居たら、いっぱい作った料理を無駄にする心配なんていらないのに…………

 言ってもどうしようもないですね…………

 せっかく、作ったんです…………とにかく、食べなきゃ…………


 和也は、内心の嘆きをポイッして、まず刺身を食べ始めた。

 そんな和也の耳に、馬?のいななきや人の声?ざわめきや物音が聞こえてきた。

 

 あっ…今の音………キャラバンですね

 このオアシス全体を明るくしてもらって良かったなぁ…………


 和也が、嬉しそうに笑って立ち上がると、光の精霊のヒナが慌てて話し掛ける。


 『ますたー……あれは……悪霊です…』








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ