表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/165

035★やっと、ごはん?3



 お腹の空いていた和也は、とにかく飢えを満たすために、何も付けずにかぶりついて咀嚼する。

 口の中に広がるうまみに、和也はうっとりする。


 うわぁぁ~……本物の伊勢えびより、美味しいかも…………

 そういえば、千葉の…………で、食べた時も感動したっけ…………

 アレよりも、更に新鮮だからかな? なお、身がプリプリしてて最高ぉ~

 まして、とぉ~っても大きいから、食べがいがあります


 もぐもぐと、伊勢えびもどきの身を味わう。

 和也は、素材そのものの味を堪能していた。

 が、流石に、飢えがおさまってくると、周りを観察する余裕がでる。

 そして、視線を感じて、和也ははっとする。

 銀嶺達が自分の食べ方を呆然と見ているコトに気がついた。


 ははは……どん引きしているなぁ~……

 翼竜の銀嶺もかぁ~……

 銀嶺なんかは、自分で獲物を狩って食べているのにぃ……

 どうして……ボクが、エビやカニを生で食べているのを……

 そんな目で見るのかなぁ~………


 …あっ……このゲームの設定に、日本人以外が入っているってコトかぁ~

 はぁ~生きているエビやカニ、貝や魚をそのまま食べるのって…………

 民族的に少ないんですよねぇ~………


 でも、食べた命に感謝して、エビ供養とかしてるしぃ……

 くじら塚とかの慰霊碑を建てて、供養しているんですけど……

 まっ……考え方は人それぞれですしね……

 知らないふりしておきましょう……

 本当に気になるんだったら、質問するでしょうから……


 じぃーっと、自分を見詰めている銀嶺や精霊達を、あえて無視して、和也はひとしきり生のエビなどを堪能した。


 ふぅー…生のエビやカニは、ほんとぉーに美味しいですねぇー

 次は、怪魚を焼いて食べてみたいですね

 エビやカニも焼いてみようかな?

 蒸してみるのも、油でカラっと揚げるとか、鉄板焼きとか、あと、網焼きもイイですねぇ~…………


 でも、料理するんだったら、調味料が、欲しいですね

 ここでも、お塩や砂糖、お酒は存在しているでしょうし……

 お酢は、すっぱい果物で代用が利きますし………

 問題は、お醤油ですね


 ふむ、魚醤ぐらいは………って、ここは、水の少ない場所……

 魚が取れなければ、魚醤は無理……ですよね…………

 大量の塩とお魚が必要ですもんねぇ…………


 う~ん……残念だけど……お醤油は諦めるしかないかな?

 さて、どんな調理器具があるんでしょうか?

 ちよっと聞いてみようかな?


 和也は、ツイッと唇を指先で拭き、自分を見詰める、チケイに声を掛ける。


 「ちょっとイイかな? メグ」


 呆然としていたが、和也に声を掛けられたので、嬉しそうに答える。


 『はい…ますたー……何か? メグに、お仕事?』


 「いや、お仕事になるかは………で、さっき、持って来た調理器具の中に、料理の調味料は入っているかな?」


 その問い掛けに、全開の笑顔で答える。

 がんばったんだよぉ~……という表情で、集めて来たモノを言う。


 『入ってますぅ…お塩も、ユンガ山の光塩、ギランガ湖の赤塩、アリシナ地方の雪塩とか、色々な種類を持ってきました。それと、甘味として、蜜虫のユリアの蜜、サラナの蜜に、ケナンの蜜でしょ。天名花の甘味、甘蜜の甘味、紅華樹の蜜も、甘味としては、美味しいと思います。お酒は、ミューム酒、イエール酒、アワール酒とか香りと強さと味など色々揃えてみました。辛味は、サンガ、キュア、ワッサ、コンシェとかたいていのモノは持ってきました。酸味は、カポ、レモ、スッスとか、後は、人間達が、好んで食べる甘い果物とかを持ってきました』


 えっとぉぉぉ………何がどれで、どういうモノかわかりません

 かろうじて、お塩とお砂糖系とお酒、辛味に酸味が何となくわかるだけです

 やっぱり、お醤油みたいなモノはなさそうですね…………残念


 ぅん? あれ、油は? らしきモノが…無かったような気が………

 いや、もしかして、油って調味料に入らないのかも………

 あとで、どれが何かを詳しく聞いてみよう

 それに、自分の舌で味わって、確認してみなきゃ…………


 それにしても、このRPGって凄く凝ってますよねぇ…………

 変なところで、マニアクラスの設定が点在してますね

 やっぱり、ボクたちみたいに、アルバイトに来た人達の寄せ集めの知識が、色々と詰め込まれているセイでしょうかねぇ?

 

 じゃなくて、とりあえずお礼は言っておきましょう。


 「へぇ~色々と持ってきてくれたんだぁ………ありがとう、メグ」


 褒められるチケイを見て、チホウが和也に呼び掛ける。


 『ますたー…チホの天幕の中も見て欲しいのぉ…………』


 とりあえずの飢餓感がさった和也は、にっこりと笑って答える。


 「うん、中の確認をしようか……ありがとう、チホ…」


 そう言った和也は、立ち上がり、用意された天幕の中を確認する。


 あぅぅぅ……やっぱり……すごい…………


 そこには、和也の予想通り、豪華な絨毯や壁の色鮮やかな布、天蓋付きベット、凝った彫刻が施されたテーブルセットやタンス?の類いや棚?の類いまであった。

 もちろん、食器棚もどきには、ギンギラギンに輝きを放つ黄金の食器が………。

 他に、どうみてもクリスタルガラスで作られたグラスではなく、水晶を削って作ったと思われるクリスタルグラスなどが、がっつりと収まっていた。


 天幕の中に入った和也は、とりあえず長持ちもどきを開ける。

 その中には、色鮮やかな羽根布団?が入っていた。


 うふふふふ………想定以上に…ギラギラですね…………

 じゃ、こっちは?


 洋服タンス?の扉を開くと、色々な色柄の洋服が入っていた。

 どれも、丁寧に色々な柄と色で染められているか、刺繍で埋め尽くされているかというもの凄いモノだったりする。

 そう、和也の感性では、誰が着るの?…コスプレ用の服?…百歩譲っても仮装パーティー用の服としか思えないような城モノ(=明治時代以前の豪華で派手でごてごてしたもの)ばかりだった。

 

 ボクが、中身を指定しないと、地の精霊達の好みの品々が入れられるんだぁ

 確かに、エン達が言った通り、作りてぇーモノばかり…………

 作って楽しいモノって……手が込んだモノですよねぇ………はぁ~…

 きっと、簡単なモノは、やっつけ仕事って感じるんでしょうねぇ

 はぁー……旅人の服には、不似合いなモノばかりです


 あとで、もっと簡素な服を頼みましょう

 食器とか内装関係は諦めます

 少しは、譲歩しないと……いうコトを聞いてくれなくなりそうだしね










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ