024★精霊たちと契約6
自分の現状に、ハッとした和也は、ぐるっと辺りを改めて確認する。
とにかく、普通に食べで身体の栄養になるモノが必要ですね。
こういう時って、通常のRPGゲームでは、なんか獲物を獲って食べるってパターンですよねぇ…………。
基本は、そこまで強くない動物の肉ですよね…………。
鳥系とか獣系の…………。
ボクの今の武器って………。
銀嶺の角で出来た細身の剣だけですよねぇ…………。
防具は《バグ》ったセイで無いし…………。
精霊達を使っての攻撃は…………止めておこう…………。
きっと、リスクが多いに決まっている。
ふむ、ここは地道に、湖で魚とか…………。
ちょっと考えながら、和也は湖へと無意識に歩き出す。
和也が契約した精霊達は、水の精霊達を呼び出す時に歌った歌をエンドレスで歌いながら、楽しそうに踊り狂ったままだった。
勿論、水の精霊達も、相変わらず、湖面で楽しそうに飛び跳ねていた。
湖の縁に立った和也は、3人に呼びかける。
「ナミちゃん、アヤちゃん、チエちゃん、遊んでいるところ悪いんだけど、ちょっと良いかな?」
和也に呼びかけられ、3人は喜び勇んで跳んで来る。
文字通り、湖面を飛び跳ねるようにして…………。
『『『はぁ~い…ますたぁ~………』』』
嬉々としている3人をクルッと見てから、和也は問い掛ける。
「ここの湖って、人間が食べられるような、お魚………ん~と、ボクが食べても良いような、お魚っているかのなぁ?」
『人間が食べられる魚? いるよぉ~…………』
『いっぱい…いるよぉ~………』
『ちっちゃいのからぁ………すっごく…おっきい~のもいるよぉ~…………』
3人の言葉に、和也はなるほどという表情になる。
ふむ、ボクが食べきれる大きさのいそうですね。
…………って、銀嶺は食べるのかな?
銀嶺…銀嶺………お魚食べる?
身の内に潜んだ銀嶺に、和也は問い掛けた。
少し間があってから、銀嶺が応じる。
〔……お魚……食べる…………〕
すこし内で響く声が、もったりとしていた。
ん? もしかして、銀嶺ってば寝ていたのかな?
そういえば、最初に遭遇した時 なんか呪詛? 呪術? らしい、なんかが銀嶺の身体に巻きついていたっけ…………。
もしかして、疲れているのかな?
ぅん? そういえば、銀嶺の身体に負っていた傷はどうなったんだろう?
「銀嶺、呪詛?呪術?は完全に解除れたの?」
〔マスターと契約した時点で、我は1度消滅し、再構成されているので、解除されています〕
ぅん? なんだろう? すごく、銀嶺との意思疎通が楽になっている?
和也は、銀嶺とのコミニュケーションがスムーズになっているコトに、ちょっと疑問に思いつつも、当座の目的の為に心の中での会話を続ける。
「火傷みたいな?痕があったけど……それは?」
〔ほぼ治りました。ただ、あの呪詛の為に、傷痕を治したり、疲労した分を、回復するには、大量に食べて眠るしか方法はありません〕
「そういえば、デーツは役にたったの?」
〔はい。初めて食べてみましたが、非常に有効でした〕
「う~ん……だったら、地の精霊さん達に頼んで、デーツを使ったお酒を作ってもらおうか」
〔えっ……あの……果物で作ったお酒ですか?〕
「飲める?」
〔飲みたいです。我と相性が良いと思うので、回復も早まると思います〕
「ふぅ~ん、相性の良いたべものねぇ~……あっ……テ○ルズで、色々な食べ物を組み合わせて、より効力のある食べ物に変えるって……あったよなぁ……例のフライパンは無いけど…………」
〔マスター?〕
「ごめんね……変なことを言って……」
呟いた和也に、大地の宝はいいからと言われて困惑していた地の精霊が問い掛ける。
『ますたー……チカに……お仕事?』
「うん、ここにあるデーツを使って、お酒を造って欲しいんだけど、作れる?」
『ますたー……チカはね…お酒造るの得意なの……だから、直ぐにできるよぉー……今から、お家に戻って、お酒を造るから、ちょっと待ってね……』
言った次の瞬間に、大量のデーツとともにチバナはフッと消えた。
お仕事をもらって消えたのを見た2人が、自分達もと、和也に問い掛ける。
『ますたー……メグのお仕事はぁ~?』
『ますたー……チホのお仕事はぁ~?……』
う~ん……お仕事ねぇ………ふむ、湖の魚を獲る……投網とか……魚を刺す……銛でも作ってもらおうかな?
魚がいるなら、貝もいる筈だから、熊手とかも欲しいな。
魚や貝や海老や蟹とかを入れる網袋とか…………。
手を護る手袋も欲しいなぁ…………。
釣竿もあったら便利ですねぇ。
いや、調理する為の包丁、まな板、焼き網、串焼き用の串、鍋とか、いっそ鉄板焼きにすれば…………。
和也は、地の精霊達の言葉に、無意識で指折りしながら、欲しいモノを口にしていた。
チケイやチホウは、和也の欲しがるモノを創りたかった。
が、道具として、見たことも、聞いコトも無いモノが、幾つかあったので……。
勝手に、造るコトができなかった。
『チホ、ますたーの欲しいモノが……わかんない』
『メグもわかんない』
困ったチホウは、呼び出された水の精霊3人を振り返って問い掛ける。
『投網ってなぁ~に? 魚を獲るモノなら……水の精霊さん達なら……わかるの?』
その問い掛けに、水の精霊も困惑する。
和也の持つ知識と相互性が無いので…………。
『聞かないでよぉ……人間達が……魚とかの水のモノを獲っていた頃を、あたしたちは、知らないんだもん』
『えっそぉ~なのぉ~…………』
『………って言ってもぉ、あたしたちも、そんなふっるぅ~い頃、生まれてないからぁ………知らないけどぉ~…………』
地の精霊の言葉に、水の精霊は肩を竦める。