165★ロ・シェールの街28 地の精霊は和也が大好き
高速で動く為の移動手段を持たない為、まだ合流できていない仲間達の為に、和也は最良を考える。
「確かに、そうですねぇ~……
移動の手段が一緒じゃないと
ユキヒョウ探しが大変になってしまいますね
銀嶺に聞いて、幾つかの営巣地を調べましょう
…と言うことで………
チカ…レオンと…ユリアとリリアに
飛竜に乗る為の衣装を作って欲しい
今…直ぐに…お願い出来るかな?」
和也の言葉が終わると同時に、地の精霊達が現われた。
「ますたーお仕事…嬉しい」
「この3人に作ればイイの?」
チカの質問に和也は笑って応える。
「この3人の他に、レオにも作って欲しいんだ」
「うん、作るよ」
頷きながら了承するチカに、和也は浅黄の剣を特注で作って欲しいと言う。
「ボクと同じように
レオンに剣なども作って欲しいんです」
和也の言葉に、浅黄は自分の得意な和弓に似たようなモノを作って欲しくて、つい質問する。
「アレックス
俺だけの特殊な弓って創れるのか?」
「作れると思います…出来るよね?」
浅黄の質問に和也は、チカ達に確認する。
「「「できる~よぉ~ますたー…
じゃ…行ってきまぁ~す……」」」
和也に仕事をお願いされてご機嫌な地の精霊達は、言葉の途中で姿が消えていた。
なお、地の精霊達は、ずっと和也を見詰めていた(ストーキングしていたとも)為に、勝手に浅黄やレオの衣装と装備を作っていたのだ。
そして、退屈していた為、あっという間に作っていたりする。
今回は、浅黄に特別な弓を作って欲しいと言われたので、オジジ達が張り切っていたのは確かなコトだった。
レオの装備する剣は、飛竜騎士の血を引くエルリックと同じくらいのモノだった。
それは、獣人だったから……。
ユリアとリリアは、ミスリルだけで作られたレイピアを装備することになっている。
それは、侍女の役割として、仕える主を一時的でも護れるように、剣の訓練を受けていた為だった。
閑話休題。
和也が、2杯目の紅茶を飲んでいる時に、浅黄が声を掛ける。
「アレックス、ちょっとイイ?
レオが連れて来る人間達に
履歴書を書いてもらうのはどうだろう?
それを元に面接するのは………」
「履歴書と面接ですかぁ…
確かに…就職には付き物ですね……」
浅黄は、和也の目の前でハンターカードを手に入れる為に書いた用紙を、ひらひらと振って見せながら言う。
「だろう…ってコトで…さっき書いてもらった
この用紙をコピーして、全員に書いてもらうと
良いんじゃないか?」
浅黄の提案に、和也も確かにその方が良いと頷く。
「そうですね…後での対応にも使えますし……」
和也が提案を受け入れてくれたので嬉しくなった浅黄は、早速コピーをと思ってから、ここが現実世界ではなく、RPG世界であることにハタッと気付く。
「あっ…ここって…コピー機…無い…」
浅黄は、残念そうにうなだれて言った。
うなだれる浅黄に、和也はにっこり笑って言う。
「大丈夫ですよ
チカ達に頼めば、直ぐに作ってくれます」
「作れるの?」
眉を顰めて言う浅黄の言葉が終わると同時に、地の精霊達が現われて言い返す。
「「「作れるモン」」」
和也が呼んでいないのに現われた地の精霊達に、ちょっと驚きながら手に握っていた用紙を差し出す浅黄だった。
「じゃ、これを100枚…
作って欲しいんだけど」
浅黄から用紙を受け取ったチホは、和也を見詰めている。
どうやら和也からの命令を待っているらしい。
それに気が付いた和也は、浅黄に苦笑しながら微かに頭を下げてから言う。
「チホ、その用紙を100枚作って欲しい
もちろん、そこに書いてある文字も
写して欲しいんですが」
「「「はい、マスター、直ぐに作ります」」」
用紙を握って返事をしたチホ達は、嬉しそうに消える。
それを送った和也達は、いまだに来ないレオを気にしていた。
そして、これからの予定を考えて、浅黄が和也に話し掛ける。
「アレックス、この後の面接を終えたら
俺達とレオはオアシスに行くけど…………
残りの彼らの泊まる場所は
手配したほうがイイのかな?」
「宿泊する宿については、レオに与えるお金で
各自好きにさせてもイイと思っているんですが?」
「色々な装備を、この街で揃えさせるんだったら
すぐに一緒に行動出きるように
全員が同じ宿に泊まったほうがイイと思うけど」
浅黄の提案?に和也は、ちょっと考える。
〔確かに、全員一緒にいたほうが
明日の行動を速めますね
それに宿の方も団体割引が可能かもしれませんし
とりあえず…レオが着いたらですね……〕