163★ロ・シェールの街26 他者から見た和也と浅黄の地位は?
それから、ハッとした和也がレオに問い掛ける。
「それじゃ…そこで話すんですか?」
和也の問い掛けに、レオは首を振る。
「いいえ、3階の会議室を借りていますので
そちらに移動してから説明したいと思います」
「そうですか」
「俺が、サルーンに行きますので
アレックス様達は
さっきの職員に案内してもらって
先に会議室に行ってください」
「わかりました。さきに行って待っています」
和也の前に、先程の職員が現われた。
「では、案内させていただきます
私は、アンナと申します」
アンナの案内で和也達は、5階の会議室へと向かった。
一方のレオは、素早く階段を降りてサルーンに向かった。
扉を開けると、食事を取っている者の他に、昼間にかかわらず酒を飲んで騒いでいる者が居た。
その為にサルーンの中はかなりの喧騒に包まれていた。
騒がしい中に、静かにお茶を飲みお菓子をつついている集団が居るのを見つけて、レオはつかつかと早足でそのテーブルに向かった。
彼らは、レオを待っていたのでほっとした顔になる。
レオはそんな彼らに話し掛ける。
「5階の会議室に行くぞ
そこにアレックス様が待っている」
「なぁ~レオ…俺達…雇ってもらえるのか?」
「その予定だ」
「ここに居る全員だよな?」
「一応、全員を雇う予定になっている」
「「「「「「「「やったー」」」」」」」」
「ただし、アレックス様の友人
レオンハルト様に嫌われたら
雇うのは無しになるから
言動に気をつけろよ
俺は、フォロー出来ないからな……」
「レオンハルト様?」
「ここで、合流したらしい
アレックス様と幼馴染みの御友人だ
階級は……おそらく……
アレックス様よりちょっと下って感じかな?
一緒にいた姉弟は
もっと下の階級って感じがした…」
レオの言葉に、ちょっと考えるような口調で聞く。
「なぁ~アレックス様って王族なのか?」
「たぶんな…」
「じゃ…レオンハルト様って…
公爵とか侯爵とかって感じなのか?」
「たぶん…だから…気をつけろよ……」
「うっうん」
「その代わり、1年は雇ってもらえるぞ」
「それって、気に入られたら
一生モンってヤツじゃねぇーの?」
「それは…お前等しだいだ…じゃ行くぞ……」
レオの答えに、俄然やる気をだした彼らは、とても良い返事をする。
「「「「「「「「おう」」」」」」」」
彼らが食べた食事代を、レオは素早く支払った。
そして、レオは全員を従えて和也達の待つ5階の会議室へと急ぐのだった。
一方の和也達は、職員が用意した紅茶セット(茶器、紅茶数種類、お菓子など)を使用して、侍女のユリアとリリアが紅茶を煎れて、お菓子や軽食を給仕していた。
紅茶の香りを楽しみ、次に味わった和也と浅黄は、にっこり笑っていた。
「う~ん、ユリアの煎れる紅茶は
美味しいですね」
「確かに、美味しいね
それに…ここのお菓子がよく合うし……」
和也と浅黄に侍女として合格?と言われたユリアとリリアは、内心でほっとしてとめていた息を吐き出した。
2人は、お互いに視線と指先で会話した。
〔リリア、これで、エリカ様やエルリック様も
私達を買ってもらったコトを
良かったって思ってもらえるわね〕
〔ええ…大丈夫だと思います
伯爵家の姫様と若君がお仕える方なので…
アレックス様は…どこぞの王族ですよね?〕
〔たぶん…そう…でも…もしかしたら…
あの伝説の……かもしれない……〕
〔まさか…ラ・アルカディアンの皇子様?〕
〔かも知れないわね〕
〔もし、そうならば、レオンハルト様は
皇族または公爵か侯爵、そのあたりでしょうね
すくなくても…辺境伯辺り?……〕
〔私達は、侍女として
もっと頑張るようにしましょう〕
〔ええ、お仕えする主にふさわしいように……〕
〔今は、レオさんとレオさんの
部下達を覚えましょう〕
〔そうですね…高貴な方々に平民との…
直答は………ですから………〕
〔名前と顔を、今回の顔合わせで
しっかり覚えましょう〕
ユリアとリリアは、優秀な次女としてこれからやるべきコトをこっそりと話し合ったのだった。