160★ロ・シェールの街23 レオは忠誠を奉げたい
内心を浅黄に読まれないようにしながら、レオは和也に話し掛ける。
「アレックス様
ここでの用事は終わりましたか?」
レオの質問に和也は微かに笑って答える。
「ええ、終わりましたよ」
〔ああそう言えば、トゲムシの買い取りって
ハンターギルドでやるって言ってましたよね?
レオに一任した筈ですが…………
レオが、ボクに会いに来たってコトは……
ある程度のめどが付いたってことですね
商人達への支払いとか…う~ん…
進行状況を聞いておいたほうが良さそうです〕
「そういえば…トゲムシは
ハンターギルドに届いているんですか?」
和也がやっと自分の言ったコトに興味を示してくれたと思い、レオはほっとした。
レオは、トゲムシの処理状況を和也に報告する。
「トゲムシの量が多かったので
買取金額の査定は
ギルドの倉庫で行われています。
なお、運搬を手伝ってくれた商人達への支払いは
ギルドからの仮払いから支払っておきました
俺と同じような渡りの戦士やハンターへの支払いは
アレックス様も居る時にと思い、待たせてあります
…というコトで…急ぎましょう」
レオの説明に和也は、かなり焦ってしまう。
〔うっわぁ~…トゲムシは倉庫に行っても…
渡りの戦士やハンター達は…
ギルド周辺でたむろっていますよねぇ~…
完全に周りの迷惑になっていそうです
…これは…不味いですね…〕
和也は、意識をトゲムシ関係に変えたので、急いでハンターギルドへ行くと言い出した。
「うん…そうだね…急ごう…
あまり…待たせるのは悪いしね」
唐突に話題を変えて焦っている和也に、浅黄は落ち着くようにと色々と話しを振った。
「アレックス…さっきのガラム達の家族の捜索は
レオとそっちに待たせている者達に
本当にさせる予定なの?
それと…宿とか…食事とかは?
買い物は?」
浅黄の問い掛けに、和也はちょっと首を傾げて考える。
それから、指を折りながら、自分の考えを口にする和也だった。
「捜索は、レオに指揮を任せる予定です
必要な人数、馬、馬車、天幕、武器
それから、揃いの制服、食料や酒etc.も
レオに丸投げする予定です…
もちろん…お給料の査定、金額も
レオに一任します
レオのお給料は…ボクに申して出てください
手持ちのお金で支払います
雇う期間は…1年で…イイでしょうか?
ただし…レオは…別です…
レオの希望する期間雇用します」
和也の発言内容の中で気になったコトを、浅黄は質問する。
「アレックス…
期間無しなんてコトになったら………」
浅黄のちょっと心配なんですという表情を見て、和也は笑いながら言う。
「レオン…ドラ○エ…って…ゲームの中で…
1年から30年以上の時が過ぎたり……
過去と現在…なんて…色々とあったでしょ?」
端的な例えに浅黄は笑って頷く。
「ああ…確かに…ここで…10年…20年…
経っても………」
笑った浅黄に和也も笑って言う。
「そういうコトです…
ここのお金は……ですしね…」
「確かに…時もお金も…
俺達には意味無いね……」
和也と浅黄が、言葉を省略した会話をするのを、レオもエリカ達もミラン達も、もちろんゼスラ達も黙って聞いているだけだった。
この世界では、階級や職業(神官など)種族(人族、獣人族、妖精族、魔族など)によって寿命にかなりの差があるので、和也と浅黄の会話は特におかしいと思われるコトは無かった。
そして、和也は浅黄との会話を終えて、レオに話し掛ける。
「レオ、面倒ごとを押し付ける形になりますが…
受けてくれますか?」
和也からの問い掛けに、レオは生真面目な表情で言う。
「はい…俺は…アレックス様に…
生涯仕えたいと思っております
受けていただけますか?」
レオの言葉に、和也はちょっと考える。
〔えっとぉ~……どうしてそうなるんです?
ボク、レオに忠誠を誓ってもらえるようなこと
何かしてましたっけ?
じゃなくて………
レオの忠誠って生涯なんですか?
確認しておかないと………〕
「生涯ですか?」
和也の問い掛けに、レオはここが正念場と言う表情で頷く。