表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/165

158★ロ・シェールの街21《いちの戦乙女》が造ったレアアイテム



 「少年、これは私が造ったモノだ…

 その為…冥府の住人にしか効果が無いモノだ


 本当なら、生者と死者の両方に有効なモノを

 造りたかったんだ…………」


 和也は、《いちの戦乙女》の言葉に、内心で首を傾げるが、平然とした顔で聞いていた。


 〔生者の記憶を映すモノを造れないのは

 《いちの戦女神》様が《死神》と

 同じ存在だからでしょうか?


 でも、北欧神話で言うところの天国…

 ヴァルハラ…へ…戦う者…戦士のみを

 連れて行く存在というイメージしか

 無かったんですけどぉ……


 このRPGでは、冥府の女神様……

 ボクのイメージでは…イザナミ様の娘…

 という設定なんですよね?


 生者の記憶?

 それに何の意味があるんでしょうか? 謎です


 なんにしても完璧に無理ですよね…

 属性が違うんですから…


 でも…口にしない方がイイでしょうね…

 たぶん…きっと………〕

 

 色々と思うところのある和也だか、藪蛇はイヤと思い、口にしたのはごく普通の質問だった。


 「生者の記憶も映せるモノ?」


 だが、そんな和也のごく普通の疑問を、斜め上どころか遥か彼方に裏切る、答えを口にする《いちの戦乙女》だった。


 「私達は、お前の面白そうな記憶を

 見てみたいと思っているのだ」


 〔もしもしぃ~…面白い記憶って…イヤ…

 ボクの感覚と《いちの戦乙女》様の感覚は

 違いますからねぇ……面白いねぇ……〕


 内心を綺麗に隠して、和也は小首を傾げながら言う。


 「うぅ~ん…ボクの記憶ですか?

 果たして…面白いでしょうか?…」


 《いちの戦乙女》の言葉に首を傾げる和也と違って浅黄は、にっこりと笑う。


 「アレックス、俺は、面白いと思うよ」


 「そうですか?」


 浅黄の発言にも何も思いつかず、首を傾げるだけの和也だった。

 それに苦笑して浅黄は説明する。


 「ゲーム、アニメ、小説、マンガ、スポーツ

 映画etc.を、見せてあげれば

 いいんじゃないか?

 きっと、面白いと思うよ」


 このRPG世界では、存在しない娯楽を口にする浅黄に、和也はやっと納得して頷く。


 「確かにそうですね」


 和也が納得したのを確認できた《いちの戦乙女》は、イイ笑顔で自分の言いたいコトを言う。


 「今回の礼は、いずれ他の神々が、生者専用の

 水晶球を造ると思うから………


 それに少年が映像を映し出してくれれば良い

 というコトで…私は帰る


 必要な時は私を呼びなさい…

 何時でもそなたの望みならば駆けつけよう」


 〔ふっ…神々も暇なんですね…そんなモノを……

 娯楽の為に造ろうなんて………〕


 その発言の内容に苦笑しながらも、和也は笑って別れの挨拶をする。


 「《いちの戦乙女》様……今回も

 ボクに必要なモノを届けてくださって

 ありがとうございます

 また、お会いできる日を楽しみにしています」


 「私も、少年に会える日を楽しみにしている」


 《いちの戦乙女》達は、別れの言葉を口にすると、和也たちの目の前からふっと消えた。

 その圧倒的存在感(神々の眷属の神気=オーラ?)が消えると奴隷商ゼスラの天幕に居た人間達(和也と浅黄を除いた)は、緊張で詰めていた息を吐き出すのだった。


 その日ゼスラの天幕に居た人間達(浅黄を除く)は、精霊達を従え、戦乙女達の加護と寵愛受けている和也の姿を見て、何が何でも付き従うと心に誓うのだった。


 《いちの戦乙女》達が帰った後、和也はガラム達に〔黒い水晶球〕を使い、行方不明になった者達の名前や姿や特徴を確認した。

 それをもとに、奴隷商であるゼスラは、知り合いの奴隷商や奴隷市で探すと確約してくれた。


 ガラム達の話しをレオは自分なりに、メモをとりまとめていた。

 それは、和也に自分以外の渡りの戦士達が何処まで従うか、まだ判断していなかったからだった。


 和也は、レオの様子(名前や特徴を書いたり、似顔絵を描いたりしながらぶつぶつと独り言を言っていたので)を見て何を考えているのか気になったので声をかけることにした。


 「レオ、なにをしているんですか?」


 和也に話しかけられたレオは、自分がメモを取っている理由をさらりと言う。


 「ハンターギルドで待機しているヤツラに

 アレックス様から命令されて砂漠などを捜索する

 行方不明者の特徴や姿の説明をする為です」


 レオの答えに、和也は首を傾げる。

 似顔絵よりも、〔黒い水晶球〕で、本人の姿を見せるほうが簡単だし、正確に情報が共有できると和也は思っていたから…………。


 「ボクは、〔黒い鏡〕や〔黒い水晶球〕を

 使えば簡単に説明出来ますが?」


 和也の質問にレオは苦笑しながら言う。


 「アレックス様、そのアイテムは

 人が造ったモノではありませんし

 それを使えるのは、アレックス様のみですよね?」


 和也は、レオの言葉を深く考えずに、あっさり頷く。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ