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154★ロ・シェールの街17 奴隷商を配下として手に入れました



 ここに到着していない仲間を引き合いに出してそう言う浅黄に、和也もちょっと頬を緩めて、うっとりと言う。


 「ブルーインパルスですかぁ~……

 良いですねぇ~大空を翔るって」


 和也の様子に気を良くした浅黄が、言葉を続ける。


 「だろ~…みんなでチーム作って

 対抗戦みたいな感じで遊ぼう」


 そんな、和気藹々(わきあいあい)な和也と浅黄の会話に、突っ込みを入れたのは、出来る男(苦労性)のレオだった。


 「アレックス様

 話しが思いっきりズレています

 ここは、奴隷商の立場とか

 待遇の話しに戻してください


 それと飛竜騎士の秘密っぽい話しについては

 ここで話すべきでは無いと思います


 それと、侍女達と会話して下さい


 今日は何処に泊まる予定なんですか?

 トゲムシについての話しも御座いますので

 ここはさっさと切り上げて下さいね


 出来るだけ早く…

 待たせている者達もおりますので………」  

 和也や浅黄、エリカやエルリックにも、レオのイラッとしている雰囲気?は充分に通じたのだった。

 そこで、彼らはリーダーの和也に視線を向ける。

 和也はその視線を感じたので、奴隷商に顔を向けて話し掛ける。

 

 「ボク達は

 あなたを奴隷商で無くなるようにすることが

 たぶん出来ると思います


 その詳しい理由は、まだ話せませんが……


 その代わり、ボク達の探している人間…

 たぶん…奴隷になっている者達を

 探して、買い取って欲しいんです…


 その為の資金は…ここにあります

 足りなければ、用意します…出来ますか?」

  

 「何の為に、探すんですか?」


 「その理由は

 あるキャラバンの長とその仲間に出会い

 死に間際に、家族達を探して欲しいと


 頼まれましたので………

 探してあげようと思ったんです


 後は……冤罪で、貴族としての地位と身分と

 領地と命を失った者達……

 それは、飛竜騎士の家系でした


 男達は、すべて処刑された後ですが

 その家族は、生きて奴隷になっています


 ここまで言えば

 何処の国かなどはピンとくるでしょう


 必要な資金は、その都度与えます


 この仕事の報酬は

 ここにある病や怪我を治す水

 《精霊水》でどうですか?


 それとは別の報酬は、奴隷商から

 ボクの欲しいモノを手に入れる為だけに存在する

 商人になるという立場でどうですか?


 その後で、ゆっくりとやりたい商売を

 考えるというのは?」


 和也は、マントの中に手を入れて、キラキラと輝きを放つ小さな瓶を取り出してテーブルに置く。

 次に、金貨などの入った袋と宝石の入った袋を取り出し、それも、テーブルに置いた。


 それを見ていた者達(浅黄とエリカとエルリック以外)は、和也の身分を飛竜騎士で物好きな王族と思い込んだ。

 だから、奴隷商は和也の申し出を2つ返事で受ける。


 「ご要望は、私、ゼスラにお任せ下さい

 アレックス様の望みの者を集めてみせます

 ただ、私が、確実に集められるのは

 侍女奴隷達と一緒に売り出された者達です


 キャラバンの方は、情報がありませんので

 かなり、お時間が掛かると思います」


 奴隷商のゼスラは、伝手つてや情報のある者の行方は追えるが、そういう情報が少ない方は、時間も資金もかかることを暗に告げる。

 が、それは和也も理解しているので頷く。


 「それは、わかっているから

 まずは、出来るほうから…………」


 「はい、お任せ下さい

 私どもは、生涯…いえ子々孫々に至るまで

 アレックス様に忠誠を誓います」


 「いや、そこまで…………」


 「いいえ、奴隷商である私を信用し

 貴重な《精霊水》やお金や宝石を

 先払いで下さったアレックス様に

 心から仕えたいので御座います


 また、心から仕えたいと思う主様に出会えた

 この幸運に感謝したい限りで御座います」


 「…………」


 面識の薄い者から、かしずかれることが苦手な和也は対処に困って沈黙する。

 が、そういうことに慣れている浅黄が、極自然なカタチで助け舟を出す。


 「アレックス、受け取ってあければ…

 拒否したら…かえって…可哀想だよ」


 認めてあげないと不憫だというニュアンスを受けて、和也は首肯する。


 「そうですね……その思い…受けましょう…」


 和也から認められ、奴隷商のゼスラは歓涙する。


 「ありがとう御座います」


 「誰か見付かったら…連絡を………」


 和也がそう言いかけたところで、退屈していた風の精霊が飛び出して言う。


 「ますたー…あたし達…風の精霊に任せて……」









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