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153/165

153★ロ・シェールの街16 奴隷廃止を命令した国の末裔? 



 エリカの言葉に、和也はちょっと考えてから聞く。


 「それは、何処の国?」


 和也の問いに、エルリックが答える。

 本当に仲の良い姉弟である。


 「ラ・リーグ・ロリアン帝国と

 リ・ローグ・ロリアン帝国です」


 上がった2国の名に、共通性があることに気付いた和也は更に疑問を問い掛ける。


 「なぜ、2国だけ奴隷制度を

 廃止しているんですか?」


 エリカが、その問いに答える。


 「どちらも、ラ・アルカディアン帝国の

 正統なる子孫だと名乗り

 後継者は自分達だと主張しているからです」


 なるほどという表情で、浅黄が聞きかじったことを言う。


 「へぇ~…ラ・アルカディアン帝国は

 内乱で分裂して滅びた………」


 浅黄の推理に、エルリックは途中で言葉を挟んだ。


 「いいえ、七つの流行り病が原因で滅びたんです

 その為、他国から攻められたわけではありません

 が、他国への移住は困難を極めたと聞いています」


 エルリックの説明に、浅黄は訊き返す。


 「習ったではなく、聞いているって?」


 聞き返されたエルリックは、当然の常識と思い、そのまま続ける。


 「はい、飛竜騎士は

 すべて、ラ・アルカディアン帝国の

 王侯貴族の子孫なんです


 継承権を持つほどの貴族かどうかの

 違いしかありません」


 浅黄とエルリックの遣り取りを聞いていた和也は、そこから導き出された答えを確かめる為に聞く。


 「もしかして、飛竜騎士って存在は

 ラ・アルカディアン帝国から

 始まったんですか?」


 和也の問いに、エルリックは頷いて言う。


 「はい

 ラ・アルカディアン帝国にしか

 飛竜騎士は存在していませんでした」


 エルリックの説明に、浅黄が感心して言う。


 「ふぅ~ん…そうすると…

 絶対的な《力》(軍事力)を持つ帝国って

 感じになるね…


 パックスロマーナ(ローマ帝国支配による平和)

 より強いかもね」


 そんな浅黄に、和也は後世まで影響力を残した、ラ・アルカディアン帝国の偉業に感心しつつ、滅亡した理由を知りたがる。


 「でも、帝国が滅びた後まで

 皇帝の宣言(奴隷制度廃止)が

 2国だけでも残ってるのは凄いと思います


 それに、奴隷商に対する嫌がらせという制限も

 残ったままというのは、とんでもないと思います


 どうして、滅びた後も、そんなに影響力が

 残ったままなんでしょうか?」


 和也の疑問に、飛竜戦士を輩出する血統であるエリカが、あぁという表情をしてから言う。


 「奴隷商の人々は知らないと思います」


 エリカの言葉に、和也は小首を傾げて聞く。


 「では、エリカは知っているんですか?」


 「はい、飛竜騎士の血統なら

 全員知っているコトです」


 その言葉で、和也も思い当たることがあって、エリカに更に問い掛ける。


 「それって、あの話しですか?」


 和也の言う『あの話し……』の少し前から意味不明になっていて、口を挟むタイミングを待っていた浅黄が、注意する。


 「アレックス………悪いけど

 途中から話しが見えなくなったんだけど」


 浅黄の言葉に、和也はハッとする。

 そして、すまなそうに、通り名を呼んで謝る。

 

 「ごめん、レオン

 飛竜騎士しか知らない伝承の話しが

 関係しているんです」


 そこで、浅黄も気付いたことを確認するように、和也に聞く。


 「アレックスってば、飛竜を手に入れたの…

 いや…《契約》したの?」


 浅黄の確認に、和也はあっさりと答える。


 「ええ、ボクは飛竜と《契約》しています

 そう言うレオンだって

 黄狼と《契約》しているでしょう?」


 「うん《契約》してる」


 そう頷く浅黄の表情は少し暗い。

 和也は、それを見てたしなめるように言う。


 「どちらも、空が飛べますし

 色々な能力があるんですから…

 そんな顔しないで下さい」


 和也の言葉に、浅黄は頬をむくれさせ、駄々っ子のように言う。


 「むぅ~…でも…

 俺も飛竜騎士になろうかなぁ~…

 アレックスとお揃いにしたいしね


 だって、一緒に飛竜で編隊組んで大空を

 ブルーインパルスみたいに飛ぶって

 男のロマンって思わない?

 みんなだって、きっとそう言うと思うけど」









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