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152★ロ・シェールの街15 奴隷商の本音


 

 そして、奴隷商は溜め息混じりに言葉を続ける。


 「ええ…確かに簡単には止められません

 なにより…この商売を止めるというコトは

 別の商売をしなければなりませんから……」


 その奴隷商の言葉に、レオはちょっと首を傾げてから提案してみる。


 「なら、奴隷商の鑑札(免許または資格)を

 ギルドに売るか、個人に売るかして

 それを元手に新しい商売をすればイイだろう?」


 一見、もっともらしい提案ではあるのだが、その鑑札(免許または資格)は、如何にせん、人に怨まれる類いのモノなのだ。

 だから、奴隷商は残念そうに首を振る。


 「奴隷商になりたがる者なんて

 滅多にいませんよ」


 「そんなモンなのか?」


 奴隷商は、交渉相手であるレオが、奴隷商というモノ(職業的な立場)を、よく理解わかっていないことを知る。

 だから、奴隷商は雇い主である和也や浅黄などをチラリッと見て、溜め息を吐いて口を開く。


 「奴隷商は、人に嫌われます

 それに、神殿の神官様達に穢れていると

 毛嫌いされておりますので………


 怪我をしても、病気になっても

 治療してもらえません


 街の医師や薬師に頼むしかありません

 それも、妖しげな者達しか

 私達の治療をしてくれません


 奴隷達の治療も同じです」


 そのセリフに、違和感を覚えてから、レオは困惑顔で言う。


 「あれ? キャラバンの奴隷戦士は

 普通に治療してもらっていたけど」


 レオのセリフに、奴隷商は再び首を振る。


 「それは、私達…奴隷商の手から離れたからです

 奴隷商の側に居る間は…


 奴隷商の家族かも知れないから…

 という理由で治療してもらえないんです」


 奴隷商の意外な扱われかたに、和也達は顔を見合す。

 そして、好奇心旺盛な和也は、レオに視線を向ける。

 その視線を受けて頷き、レオ自身もその話しに興味があったので、奴隷商に続きをうながした。


 「じゃ、なんで、アンタの祖先は

 奴隷商になったんだ?」


 その質問に、奴隷商は首を振る。


 「奴隷商になった経緯が

 どうのというわけではございません」


 レオの問い掛けに、首を振る奴隷商を見て、ピンときた和也が会話に割り込む。


 「ん? 誰か奴隷商という存在を禁止した

 ……というよりは………


 奴隷という存在を売買することを禁止した

 王とか皇帝が居たってコトかな?」


 和也の言葉に、浅黄が首を傾げる。


 「へぇ~…1国の支配者が

 奴隷の売買を禁止したってコト? かな?」


 そんな浅黄に、和也は丁寧に持論を説明する。


 「奴隷を奴隷の身分から解放したって

 奴隷を売買する存在が居れば


 借金とか、罪を犯したからとか

 色々と理由をつけて奴隷にして

 その人を売買しようとする


 その場合、その辺で売ろうとすれば

 見付かって罪に問われる


 でも、奴隷商に売ってしまえば

 奴隷の売買を禁止した国以外に

 奴隷を持って行って売買するコトが出来るから…


 だから…奴隷商になる人間が居なくなるように

 神殿に圧力をかけたってコトの

 名残りじゃないかな?」


 和也の持論に、浅黄は眉を顰めて言う。


 「でも、この人(奴隷商)の言い方だと

 どこの国の王がしたって言ってないよね」


 和也の説明に頷きつつも、次の疑問に首を傾げる浅黄だった。

 再度の質問に和也は、より丁寧に説明しようとする。


 「だから、たぶんだけど、その国は

 もう無くなっていると思うよ


 栄枯盛衰って言う言葉があるでしょ……

 全盛期にした命令じゃないかな?


 名残りとして、奴隷制度廃止の命令が

 残っているって感じかな?


 よほど国力の有る国だったんだろうね

 そして、周りの国々に慕われていた王とか皇帝を

 かなり輩出していたんじゃないかな?


 だから、その命令は無意識に残っていたのかもね」


 和也の説明に反応したのは、エリカとエルリックだった。

 まず、エリカが………。


 「アレックス様、ソレは…たぶん…

 ラ・アルカディアン帝国の皇帝が…

 奴隷制度廃止を命じていたセイだと…思います」


 続けて、エルリックも言う。    


 「飛竜騎士を輩出する王侯貴族は

 決して奴隷を使いません」


 「ただ、奴隷制度廃止と言っている国自体は

 2国しかありません」









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