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151★ロ・シェールの街14 交渉成立と奴隷商の本音


 

 奴隷商は、侍女奴隷のユリア達を、揉み手をしながらレオに紹介した。


 「どうですか?この侍女奴隷は…

 美しいでしょう」


 「確かに、容姿は綺麗だが

 本当に侍女として役に立つのか?」


 ユリア達を見て、確かに美人だと思ったレオは、あえて辛らつな言い方をする。

 それに対して、奴隷商は苦笑しながら言う。


 長年奴隷を売買するという商売をしていたので、侍女奴隷を何度か売ったコトがあったので…………。

 侍女としての能力を示すのに、1番効果的なのはお茶を入れるコトだと知っていたから。


 「では、こちらの天幕に移動して下さい

 お茶を入れさせましょう


 侍女として、1番多い仕事でしょうから…

 確認するには、丁度良いでしょう」


 「そうだな。アレックス様、参りましょう」


 レオは、奴隷商に天幕に招待される理由を知っていたが、エリカ達も和也と浅黄もミラン達も知らなかった。


 天幕に招くのは、侍女奴隷2人の値段を交渉している人間に、大体の金額に折り合いが付いたことを意味すると言いたく無かった。


 ついでに、侍女奴隷の2人に奴隷として売られるコトを理解してもらう為だった。

 それぞれの思いのままに、天幕へと歩いて行く彼らだった。


 天幕に着き、室内?に案内された和也達は、奴隷商の説明を新たに聞いた。


 「ここには、お湯が有りますし

 茶器も茶葉もございますので


 侍女としての能力を、確認しやすい場所だと

 思いましたので…………」


 「それだけか?」


 奴隷商の説明に、冷静に突っ込みを入れるのはレオだった。

 レオの質問に、奴隷商は苦笑して応える。


 「私としては、さきほど言いました金額の価値が

 この2人には、あると思っております


 まずは、かわいた喉を湿らせてから…

 今…1度…交渉しましょう」


 「わかった…………お茶の出来で

 さっき俺が提示した金額に

 色を付けるかどうかを決めよう」


 奴隷商とレオの間で、お茶の出来によって金額が決まるコトになった。

 そして、ユリア達はお茶の準備を始めた。

 勿論、お菓子も一緒に準備していたのは確かなコトだった。


 和也達(レオを含むが、ミラン達の分は無かった)は、席に着きお茶を配られるのを静かに待った。


 一方、ミラン達は、奴隷商の使用人にレモン果汁を入れた冷たい水をもらっていた。


 ユリアが煎れたお茶を、リリアがお菓子と一緒に配膳した。

 それを、和也達と奴隷商は黙って味わう。


 お茶の香りとその温度と味を確認してほっと一息する和也達だった。

 そして、和也は、金貨などの入った袋をレオに手渡した。


 ずっしりと重い袋を受け取ったレオは、必要な金額を取り出して確認していた。

 レオの姿を見た奴隷商は、密かに和也の服装を観察していた。

 

 〔ほぉ~これは…どこの王族でしょうか?

 白の軍服? …礼装ではなく? 珍しいですね


 そして、御付きの武官? 騎士? は、黒の軍服?

 見たことの無い軍服? ですね

 これは、どこの国でしょうか?


 でも、あの意匠は、飛竜をあらわすモノ

 というコトは、飛竜騎士ですね


 そうですか…旅に出で宿に泊まったら…

 侍女が居ないことに…不便を感じて

 侍女奴隷を買うコトにしたというところですか


 飛竜騎士なら上位貴族が多いし…

 裕福な者ばかりと言っても過言ではないですから


 ここは…多少損しても良い印象を与えましょう

 今後とも、お付き合いしたいですからねぇ~…


 おや…このお茶は…かなり美味しいですね…

 所作も美しい…掘り出しものでしたね……


 これなら、交渉通りの金額の価値はありますね〕


 「お茶のお味は、いかがですか?」


 奴隷商の質問に、レオは苦笑しながら応える。


 「美味しい…姿も所作も美しい…

 お前の言う金額を支払おう

 確認してくれ…」


 レオは言葉と同時に、金貨をテーブルに置きツイッと奴隷商に差し出した。 

 金貨を受け取った奴隷商は、必要な枚数があるか淡々と確認する。

 確認を終えた奴隷商は、使用人に命令する。


 「契約書と譲渡書類

 それと、この者達の装飾品や着替え

 化粧品などの一式を持っておいで」


 「はい」


 「それと、この金貨を

 例の場所に入れておきなさい」


 「はい」


 奴隷商の命令で使用人は、その場から去って行った。

 使用人を見送ると、奴隷商はおもむろに話し始める。


 「我が家は、代々奴隷商をしておりますが

 私は、こんな因果な商売は、家族達の為にも

 もう、止めたいと思っております」


 奴隷商に、唐突な心情の吐露をされて、レオは目を白黒させながらも一応、常識の範囲内の返答をする。


 「そんな簡単に止められ無いだろう」


 レオの言葉に、奴隷商は肩を落としながら頷く。









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