143★ロ・シェールの街中6 後始末はレオにポイっ
和也の見ている前で、ソルトはテキパキと部下に命令する。
「ジェイ、ビート、タック
お前達は、やじうま達に
何が原因で争いになったか聞き込みしろ
ついでに、屋台の者や商店の店員もな」
「「はい」」
「ハリー、シード、ケビン、テッド、イヴン
お前達は、ヤツーデ達を縛って
詰め所に連れて行け」
「「「「「はい」」」」」
部下達に指示を出すと、ソルトは和也に改めて質問する。
「まことにすみませんが、若君
ちょっと、お聞きしても宜しいですか?」
「…………」
和也は、ソルトの質問に頷く。
街でけっこう有名なごろつきに絡まれているとやじうまに言われて急いで来たので、和也達の事情は知っていたソルトだったが、調書を書く為にもあえて質問した。
「彼らと、争った原因は何ですか?」
何時もの礼儀正しく丁寧な態度をあえてやめて、和也は不躾と言うよりは慇懃無礼に近い感じで、その質問に答える。
一応は、貴族らしい反応をしようとしていた和也だった。
「この街を色々と案内するから
1人当たり銀貨1枚を支払えと言われました
既に、少年達に案内を頼んでいたので
いらないと答え…………」
「アレックス様は、俺の他にも
渡りの戦士やハンターを雇っているから
娼館や賭博場や酒場なんてモンを
案内すると言われても…必要無いんだ
だからいらない……
雇わないと答えるのは当然だろう
剣を抜いたヤツラに絡まれたから
こちらも剣を抜いて対処しただけだ
班長…アンタだって…そう…思うよな」
和也の説明に途中から割り込みレオが説明する。
その内容は、やじうまから、すでに聞いている内容だったので、ソルトは頷き和也やレオに了承したと答える。
「わかりました」
和也やレオとソルトが会話していると、やじうま達の声が聞こえる。
「そこの坊ちゃん達は、絡まれただけだぜ」
「そーそー…アイツらは…たんに
難癖をつけていただけだ……」
「子供達に、街中を案内してもらう予定に
なっていたよな?」
「ああ…案内する前に…ご飯を食べなさいって…
先にお金を渡していたんだ…
気前イイナァって思った………」
「だから、お金にかなり余裕が有るって思い
ヤツーデ達は、絡んだと思う」
「バカだよなぁ~………
絡んで負けて捕まったなんてよ」
「お貴族様が
護衛もナシにうろつくって
有り得ないのに…………」
やじうま達は、それぞれ聞かれてもいないのに、ヤツーデ達が無理矢理理由をつけて、和也達に絡む様子を声高く思い思いに言う。
それを、ソルトや警邏達は頷きながら説明に口を挟まず聞いていた。
そんな時に、ソルトに聞き込みを命令されたジェイ達が戻って来た。
彼らは、ソルトに和也達に責任は無いと耳打ちする。
その内容に頷くとソルトは和也達に声を掛ける。
「若君達が、ヤツーデ達に
一方的に絡まれていたと判りましたので
街中を好きに歩いて下さい
調書とか賠償については
レオ? さんに対応してもらいますので……
宜しいですか? …レオさん」
面倒なコトは、レオに丸投げ出来るとソルトに言われたところに、ミラン達が戻って来た。
そして、ミランが和也ににこにこと笑いながら声を掛ける。
「アレックス様、ご飯を食べてきました
何処に行きたいですか?」
元気な声に、和也は笑って応える。
「ボク達は、色々と欲しいモノがありますので
様々なモノを売っている市場に行きたいんですが?
案内出来ますか?」
「任せて下さい
今から案内しますので
僕らの後に付いて来て欲しいんです」
元気で良い子のお返事をしたミランに、和也は微笑みを浮かべて頷く。
そして、レオとソルトを見て、ちょっと、いや、かなり黒いにっこり笑顔を浮かべて言う。
「これから、市場に行きます
その後でハンターギルドに行く予定です
レオはこの後どうしますか?」
「調書を書いてから
アレックス様を追いかけます
あっ……賠償金をどうしますか?」
「レオの判断に任せます」
「では、今日、一緒に仕事をしている
彼らに、公平に分けたいと思います
それで宜しいでしょうか?」
「構いませんよ…レオに一任します
では、失礼します」
和也は、レオとのやりとりを終えると、ソルトに声を掛けてから、ミラン達とその場を立ち去ったのだった。