140★ロ・シェールの街中3 小さな交渉成立?
見回した中に、ミーナやミルドを心配そうに見ている子供達の集団が、和也の目に入った。
身なりは、ミーナ達と同じで
健康状態も一緒に見えます
ふむ、ここは、ご飯をあげて
お小遣いをあげましょうか
親が居るのか? どうかも聞いてみますか
もし、居なかったら、彼ら(子供達)の面倒を
レオニード達に見させるのも面白そうですしね
どーせ、ゲームなんですから
思い付くままにやってみましょう
シ○シティもどきをやってみるのも一興です
ダメなら、ゲーム補正が入るでしょうから
和也は、当初の目的を忘れて、街中を観光する気になっていたので、ミーナ達をあっさりと雇うことにしたのだった。
和也は、ミーナと視線を合わせて話し掛ける。
「ミーナ、とりあえず
何か食べたいモノはありますか?」
和也の申し出に、ミーナは驚いて目を丸くして口籠もってしまう。
「えっ?」
驚いているミーナに和也は優しく笑って言う。
「君達を全員雇いますから
まずは、腹ごしらえをしてもらいます」
「ご飯を食べさせてもらえるの?」
「もちろんです
で、なにが食べたいですか?」
和也の問い掛けに、ミーナの頭の中はグルグルしてしまう。
「…………」
ミーナの対応の不味さに慌てて、ミランが和也の前まで走ってきた。
「僕は、ミーナとミルドの兄のミランと言います
僕達は、串刺し肉とパーネと果物が食べたいです」
「そう……では、ミラン、全員分の好きなもの
食べたいものを好きなように買いなさい
エルリック、お金を適当に渡して下さい」
「はい、アレックス様」
和也に、命令されたエルリックは、銅貨と銀貨を袋から出してミランに話し掛ける。
「ミラン、このくらいで足りますか?
大銀貨の方がイイですか?」
伯爵の御曹司だったエルリックにとって、銅貨や銀貨は金額が低すぎて良くわからなかったのでついミランに尋ねてしまう。
それに、ミランは苦笑して答える。
うっわぁ~本当に上位貴族だぁ~………
それも、裕福過ぎてお金に糸目を付けない方の……
なんて幸運なんだ
マジメに案内して、ここに滞在する間は
毎日この人達に付いて歩きたいなぁ~………
そうすれば、父さん達が帰ってくるまでの間
そこまで必死に仕事を探さなくてもすみそうだ
この金額だと、あっちの串肉の屋台なら
1人2本食べれる
パーネは、質が落ちるトコにしよう
果物は1番安いラーチを……
これで…今日のご飯と明日のご飯は確保できた
助かったなぁ~………
でも、にまにましないようにしなきゃ……
こんな案内なんて…何時でもしてるって顔しなきゃ…
「これで足りるよ
僕達は、ぼったくりはしないから」
色々と考えて、ちょっとむっとした顔をするミランに、エルリックがかなり不味いコトをシレっと言う。
「そうですか? 僕も姉もアレックス様も
今ひとつ金額がわからないので…………
欲しいものが有っても…
商品に見合う価値と金額がわからないんです
困ったコトに……
だから、本当に必要な金額を教えて下さい」
エルリックの僕は世間知らずで世慣れていませんという発言に、ミラン達は、どう答えたらイイのかわからなくて困ってしまう。
「「「「「「…えーとぉ…?……」」」」」」
目を白黒させているミラン達に、和也は笑ってしまう。
そして、和也は話しを変える為に、エルリックに話し掛ける。
「くすくす……エルリック…
ミラン達が困っています
先に食事をさせたほうが良いと思いますけど?
ああ…それからお釣りはいりません」
エルリックは、和也の言葉に従って、ミラン達に指示する。
「そうですね、では、買い物に行きなさい」
「「「「「「はい。ありがとうございます」」」」」」
ミラン達は、全員で良い子のお返事をして、嬉しそうに屋台に向かって走って行った。
それを見送ると、和也は、自分達をイヤな目つきで見ていた集団に声を掛ける。
「そこの集団
ボク達に何か話したいコトがあるんですか?」
話しかけられたごろつき達は、下卑た笑いを顔に貼り付けて和也達の元に歩いて来た。
そして、和也達の周りを囲うようにぐるりと辺りを固めた。