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121★銀嶺の秘める決意



 ひいお祖父様は、どうするとおっしゃっていたかしら?


 エリカは、幼少期の記憶引っ張り出して、答えた。


 「独りで飛んでいるときは、無視するか、視線を

 交わすか、目礼するかですね………

 その日の気分で…態度を決めます……」


 「いま現在、どこの国も戦っていませんから……

 その辺は…臨機応変です…」


 エルリックの補足説明に、和也はなるほどと思う。


 国同士の表立った争いの無いコトに和也は驚く。


 RPGでは、たいてい戦っている国々が出て来るのに

 …………また、変わった設定なんですね…………

 いったい、誰が設定したんでしょう?


 いけない…こんなコトを考えても…今日の目的は

 ラ・ロシェールを見ることです

 あと、どのくらいで着くのか、銀嶺に聞いてみますか………


 和也が、銀嶺に話しかけようとした、その時。


 和也達の目の前に、次々とアンデッドワイバーンやアンデットドラゴンなどが、異空間(亜空間とは別種です)より現れる。

 その姿を見た瞬間に、銀嶺が和也に話し掛ける。


 「……っ……ますたー…すみません……あれらは……

 たぶん…私に…おぞましい呪をかけた者達の仲間が…

 ネクロマンシーを操る魔族に…依頼したと思われます


 ますたー自身が戦いますか?

 それとも…亜空間を使って…振り切りますか?」


 その言葉に、初めて出遭った時の銀嶺の傷付き呪縛の鎖が墨で描かれたように染み付いた姿を思い出し、和也は胸がムカムカする感覚を覚える。

 和也の気持ちと同調し、精霊達も次々と参戦の意思を見せる。


 「ますたー……俺に…命令してくれ…焼き尽くす」


 「ますたー……私に…命令して…聖なる光で浄化してみせるのぉ」


 「ますたー……闇に…封じましょうか?」


 次々に、アンデットモンスターを倒すと宣言する精霊達に、和也は苦笑する。


 「それをするんだったら、亜空間に入るしかないと

 思いますけど? 銀嶺、彼らは亜空間に入れますか?」


 「あれらは、亜空間に入れません」


 「ますたー……あれらを……亜空間の空間自体が

 拒否するんです」


 「ですから、アンデットモンスターに出会ったら

 亜空間に逃げるのが、常識です」


 「そう、だったら、浄化しましょう」


 「では、俺が…………」


 「エン、ちょっと待ってくれませんか?」


 なんだろう、ボク、今、すっごく好戦的な気分です

 ………殲滅してあげましょう……ボクの手で……


 「ますたー?」


 和也は、1つ深呼吸すると、天に向かい叫ぶように言う。


 「麗しき冥府の女神様の娘たる……… 戦乙女よ……

 ヴァルキューレ様 そのなかの《いちの戦乙女》様


 天と地に穢れを撒き散らす アンデットモンスターを

 倒す為に 約定に従いて ボクの手に【黒の剣】を

 与えたまえ…………」


 その言葉が終わると同時に、天空に門が開き、黒衣をまとった美女の集団が、ユニコーンペガサスに乗り、和也の下へと駆け下る。

 その中の一際煌びやかな美女が、和也に声かける。


 「私を呼んだか 身に翼竜を宿す少年よ」


 「はい、あのアンデットモンスターを倒す為に

 【黒の剣】を必要としているのです」


 「良かろう……ここに…【黒の剣】はある…そなたに」


 黒衣の美女《いちの戦乙女》は、和也にむき身の【黒の剣】を与えた。

 前回と違う受け渡しに和也は首を傾げる。

 それに《いちの戦乙女》は、くすくす笑って応える。


 「前回は【黒の剣】の《封印》を、解いたばかり

 だったからな…


 その為に…剣が落ち着かず辺りの《命》を………

 勝手に啜りかねない状態だったから……

 厳重に保管されていた……が…


 今回は…既に《封印》は解けているし

 【黒の剣】は、そなたを、主と認めておるゆえ

 多少いい加減な運び方でも大事無いのだ 安心しろ」


 【黒の剣】を受け取った和也は、お礼言う。

  

 「此度は、無理な願いを聞いていただき…………」


 「礼などいらぬ……はよう…あの穢れしモノ達を

 浄化してやるがイイ…」


 ヴァルキューレとの会話を終えた和也は、銀嶺に静かに話し掛ける。


 「はい…銀嶺…エリカ達と少しさがってくれる………

 ボクの【黒の剣】の範囲から出来るだけ離れてください

 …ミスったら……ですから……」


 和也からの命令に、銀嶺は内心でうなだれる。


 やっぱり、ますたーと一緒に戦うコトは、出来ませんね

 私の背中には、無力なお荷物の姉弟がいるから…………


 ますたーは、優しい……そして…人恋しい…だから

 2人を護る……それを託されたのだから……と…………


 理性で抑えても……くやしい……ものすごぉーく口惜しい

 私だって、ますたーと一緒に戦いたいのに…………


 ……そうだ…………以前、ケンカして子分にした…………

 あの弱い飛竜達を連れてきて………

 無理矢理でも《感合》(=やっかいばらい)させてやる


 強い決意を心に秘めながら、銀嶺は素直に和也の命令に従った。


 「はい…ますたー」








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