120★和也の現実逃避
銀嶺が、指定された場所に向かって一生懸命に、こっちでいいんだよなぁ~的にとんでいる、その時。
和也は、ちょっと現実逃避気味に、先刻の邂逅で見た、少年から青年へと移りつつある王侯貴族らしい者を、更に微妙な内容で評価をしていた。
くすっ……乙女ゲームだったら、物凄い声優さんの
ボイス付きの美麗スチールありですね
この辺りは、サクラさんや相沢センパイが喜びそうです
RPGらしいキャラデザインでしたしね………
と言うことは…彼は…何処か…大国の皇子様か?
又は、貴族ですね…試しに、美形好きと思われる
エリカに聞いてみますか?
色々とRPGらしくなって来てますねぇ~…………
次は、敵キャラ登場でしょうか?
それとも、敵モンスター登場ですか?
でも、コレって斜めに走るゲーム設定だから……
妖魔とか、人類外の類いが、敵キャラとして
登場するんでしょうか?
いや、ここなら宗教戦争的なのもありですねぇ………
ふむ………多神教と一神教の争いがあったら…………
それも面白いですね
出来れば、キリスト教の方がイイですね…………
回教(イスラ○教)は、ちょっと…いや…かなり…
いっそ……一神教VS一神教の争いもイイですね
一神教は、かなり好きじゃ無いですから……
思想に凝り固まった一神教は、ボクに合いません……
なんか色々と考えるのも飽きましたねぇ………
……次のイベントは、まだですか?
和也は、取り留めなく回る思考に疲れて、当初の予定通りエリカに質問する。
「エリカ……さっき見た…飛竜騎士が…誰か
わかりますか? …本人は……えぇ~とぉ……
ラインハルト・エーリッヒ・ラ・リーグ・ロリアン
と、名乗ってましたけど?」
和也の質問に、その姿一緒に見ていたエリカが、小首を愛らしく傾げて答える。
「たぶん、ラ・リーグ・ロリアンの皇子だと思います
その名前なら、第2皇子だと思います
噂を聞いただけなので……はっきり、あの方が
そうだとは言えませんけど」
歯切れの悪いエリカの説明に、和也は首を傾げる。
「理由は?」
和也の再度の質問に、エリカは先程見た姿を元に考えながら、ぽつぽつと言う。
「ラ・リーグ・ロリアンの皇族の特徴は
確かに、銀髪碧眼です…………
それに…紺色に金の刺繍の軍服と紺色のマント…
そのマントに描かれた飛竜に盾に剣の紋様は…
彼の国の紋章ですから」
エリカの説明を、エルリックが補足する。
「姉上、金の刺繍で飾られた軍服とマントの紋章は
皇族の証です……通常は…銀糸で刺繍されますから…」
「皇子ということは……名前もわかりますか?」
「あそこの、現皇帝と皇太子は、飛竜と《感合》
していません……皇族で《感合》しているのは…
皇弟が2人…皇子が2人…皇帝の叔父君が3人…
その公子が3人だったと思います……」
エルリックやエリカの説明を聞きながら、色々と思うのだった。
日本の皇家を考えると、男子が……やや……否……
……かなり多いと思いますけど…………
これなら、跡取りが居ないと騒ぎにはならないでしょうが…
別の騒ぎ(皇位継承争い)が勃発しそうだけど……
その場合は…飛竜騎士だけで争うんでしょうねぇ~
気になるのは、皇帝も皇太子も飛竜騎士じゃないことです
2人とも、飛竜騎士の才能が無かったんでしょうか?
身体が極端に弱いなら……
否、それでは、皇帝にも皇太子にもなれないです
それは、おいておいて、皇族の飛竜騎士だけでも
すごいですね
国力があるのはわかりますね……どう考えても
飛竜は安くないし、この身体を維持するには…………
大量の食事を取る必要があるのでは?
う~ん、銀嶺は、大食漢なんでしょうか?
後で聞いてみましょう
色々とこの世界に疑問がありますが、人間に関しての
疑問をエリカ達に尋ねるコトが出来ますから…………
2人を譲ってくれたガラムに感謝ですね……
でも、そんな大国の皇子様が…………
なぜ、ボクに、名前を名乗ったんでしょう?
なんか…………ものすごぉーく気になります……
でも、それを聞くとロクでもない…コトを言われ
そうですね…ここは、知らないふりをしましょう
「随分と多いんですねぇ~」
和也のしみじみとした言い方に、エリカが新たな情報を…………。
「はい、多い方です………ラ・リーグ・ロリアンは
ラ・アルカディアンの末裔と呼ばれていますので………
たしか……皇族の血を引く、侯爵家の姫が…………
あの国の皇族の始まりと言われていますから………」
「中央の大国と呼ばれていますし、飛竜騎士の数では
ガーディアンズ・ガーデン大陸で、1番多いと言われ
ています」
エリカの説明に、足りない部分をたしてエリックが答えるのを聞いて、和也はコクと頷いてから、小首を傾げて言う。
「そうですか……では、2人に聞きますね…………
飛竜騎士は…他国の飛竜騎士に会ったら………
どうするんですか?」
和也の素朴な疑問?にエリカは、ちょっと考える素振りを見せる。