116★知識の追加
和也は、エンがなにを言いたいかちょっとわからなくて、思わずエンをマジマジと見詰める。
いや、エンが火の精霊だってことは
姿からわかっていますけど?
なんで、改めてそういうんでしょう?
「……?……?」
首をウニウニと傾げる和也に、エンは苦笑して噛んで含めるように説明する。
ますたーは、精霊や魔族が居ない世界に居た
って言ってたけど……本当に、そうなんですね
好奇心で………身を滅ぼすって言葉は………
ますたーにこそ、相応しいような気がしますね
「俺は、妖魔などに出会った時、まず最初に…………
倒せるモノと判断したら、浄化の炎で焼き尽くします
マズイって…思ったら逃げるだけです……でも……
今まで…倒せるモノ以外に会ったコトはありません………
倒したモノが綺麗かどうかは、意識に残っていません
ますたーの望む情報を持っていなくて……すみません」
エンの説明で、やっと和也は、質問した相手が悪いと気が付いた。
あははぁ~ボクってば……緋崎くん並みに
おバカでしたね……うっ……恥ずかしい……
そうですね…エンは火の精霊…魔なるモノ…
不浄なるモノ…邪悪なるモノなんかを滅ぼす
役割を担っている種族でしたね…………
こんな質問は…あとで…銀嶺にするコトにします……
…………じゃなくて……………
銀嶺は…亜空間に入りやすいポイントの近くだから………
ボクに声をかけたのでは? ……マズイですね…………
ここは、エンとの会話を切り上げて、銀嶺に
聞いてみましょう……
エリカやエルリックも、誤魔化すしかないですね……
なんかいたたまれないです…顔から火が出そうです…………
「エン……答えられないようなコトを聞いて…………
…すみませんね………」
和也が、好奇心いっぱいなのという表情から、いつもの和也にもどったので、エンはにっこり笑う。
「いいえ……俺が情報をもっているモノなら…
幾らでも…お答えします……
だから…何時でも…質問して下さい」
エンの言葉に、和也はほっとして笑う。
「ありがとう……エン……後で…
エンが、倒した魔族の話を聞きたいな………」
「はい…ますたー……何時でも…聞いて下さい…」
苦笑するエンとの会話を終えた和也は銀嶺に質問する。
「銀嶺…亜空間って…ボクやエリカ達が入っても
…大丈夫なの? …それと、この辺りは、亜空間に
入りやすいポイントなんですか?」
銀嶺は、和也の質問に、あっさりと答える。
「亜空間は、人間などが入っても、短時間でしたら
影響は出ません……
それと…亜空間に入りやすいポイントというモノは…
存在しません……亜空間へは…どこからでも入れます…
気を付けるのは、亜空間から出る時です…………
通常空間の…同一時間、同一空間に………
他のモノが、その空を飛んで居ないかを
確認する必要があります」
「それって、亜空間から通常空間に出たら…………
出た先に飛竜が居て、出会いがしらの接触事故になる
ってコトですか?」
「はい…まれにですが、事故が発生しますね」
「その場合……衝突した飛竜同士はどうなりますか?」
「1番酷い場合は……両方とも死亡です……
周りに居たモノ達も、かなりの被害がでますね」
「それって……すっごい…迷惑ですね…」
「でも、大概は、衝突しそうになって……
お互いに回避するというコトが…ほとんどです…」
「そうですか……銀嶺は…亜空間からでる時に…
衝突しそうになったコトはありますか?」
「………う~ん………ありませんね……
私は…幸運なんでしょう……
それと…亜空間から出る時は、失速寸前な程
低速にしますし…風魔法で防御を最大にしますし
出る直前から…ここに居るぞと気配を最大にして……
周りのモノ達に…察知してもらえるようにします」
「色々と面倒なんですねぇ~」
「でも、時間短縮になりますし、体力も温存できます
……距離の短縮は…かなりのモノですから………
子供のか弱い飛竜を連れて飛ぶときは………
ほとんど…亜空間のみに近いですしね………」
「子連れで飛ぶときは……亜空間ですか?
…それは…体力温存の為?」
「体力温存と、外敵から護る為です」
「外敵って?」
「飛竜を使役したがる……人間と魔族などです……」
「人間ですか? ……飛竜と比べたら………
かなり弱いと思いますけど……」
和也の言葉に、銀嶺はちょっと逡巡する。