115★和也の妄想?
色々なコトがいっぺんに起きて、かなり苦悩している姉弟に、和也は苦笑するだけだった。
そして、当初の目的どおりに、空を飛ぶことにした。
「銀嶺、ラ・ロシェールまで飛んで…欲しいんです
…日が…暮れる前に戻って来るって出来ますか?」
「ラ・ロシェールの近くを飛ぶだけで良いのですか?」
銀嶺の問い掛けに、和也は、はっきりと頷く。
「ラ・ロシェールで、友人達と待ち合わせをしている
ので……どんな…都市なの確認したいんです」
「わかりました…ラ・ロシェールに飛びます………
亜空間に入りますので、揺れるのはしょうがないと
思って下さいね……」
銀嶺の答えの中に、えっ?……て思うモノがあった
ので、和也は質問した。
「銀嶺、亜空間ってなんですか?」
「長距離を移動するのに、時間と体力を温存したいと
思うときに使う場所です」
「ロ・シェールって、そんなに遠いんですか?」
「そこまで、遠いとは言いませんが…太陽が沈む前に
こちらに戻るなら…時間短縮をした方が良いでしょう」
「そういう意味ですか…亜空間は…飛竜だけが、使う
場所なんですか?……」
「いいえ……色々な種族が使います……」
「……? ……」
首を傾げる和也に、くすくす笑いながらエンが言う。
「俺達、精霊も妖精族も使うし…妖魔や悪魔…魔族…
怪魔…マモノ……上位種のペガサス…ユニコーン……
グリフォンなども使います」
エンの説明に、和也の好奇心が、ガッツンと刺激される。
「エン、どんな妖魔がいるの? …ねぇ~美形な程
…魔物は《力》があるって………ラノベやマンガの
設定であるんだけど…実際はどうなのかな?
エンは知ってる? …あと…天使っている?
基本は、背中に翼があるんだけど?………」
好奇心いっぱいなのという和也の表情に、エンは苦笑しながら応える。
「天使ですか? ……翼天族ですか? それなら…
俺みたなヤツが多いですね………う~ん……強い程
…美しいねぇ………そうかも知れませんね……
異形美…もありますし…アイツらって…性別が有って
無きがごとしって…種族ですから…そのへんは………
……妖魔や悪魔達と変わりませんけど………
まっ淫魔達は…基本的に…人間が好む姿をしていますし
……吸血鬼達も…色々な美しさを持ってますね………
基本的に…人間の生気、精気、血肉などを好むモノ達は
人間達にとって心地よい好ましい姿をしていますね……
ただ…美しさと強さが…比例しているかは…俺には……
わかりませんけど……」
微妙なエンの説明に、和也は首を傾げる。
「……エンは、天使とか、妖魔とかと、会ったコト
あるんですか?」
和也の質問に、エンはなんの感慨も無く答える。
「あります」
妖魔や天使に実際に会ったコトがあると聞いて、和也はワクワクする。
エンだって、美丈夫だし、ここにいる精霊達も
美形なんだから……きっと…ここに居ない……
天使も妖魔も綺麗なはずです……異形美って
いうと…二次オタな叔父に見せてもらった……
デビルマ○のシレー○…でしょうか?
……せっかく…自分達で、クリエイト出来る……
RPGなんですから……綺麗なものを……ここは
……たぁ~っぷ…見たいですね
「その時、どんな感想を持ちましたか?」
和也の質問に、エンは、瞳を見開き首を傾げる。
「えっ…?」
エンが自分の質問に、なんですとぉ~という変な表情を浮かべるので、和也は言葉を変えて再度、質問することにする。
「あの…綺麗とか? …可愛いとか?
…という感想ですけど?」
和也の質問に、エンはなんと答えて良いかわからずに困る。
どうやら、ますたーは、姿形が美しいモノを
好むらしい…………
それは…属性が…《聖なるもの》でも《魔なるもの》でも
………関係ないらしい…………
これは、出来るだけ側にいて、ますたーの身の安全を
確保はしなければ…………
油断して、心身が傷つけられる他に……
身を護る為に……《力》を使い過ぎて……
大地を割ったり………山を崩したりして………
後で…思いっきり落ち込んだりしないように………
戦闘能力のある…俺達…火の精霊が………
……ますたーをまもる………
エンは内心で色々と思考していたが、表面は苦笑しながら説明する。
「ますたー……俺は…穢れを祓い…浄化を司る…
火の精霊ですけど……」
エンの説明に、和也は、首を傾げる。
ボクは、妖魔達が、綺麗かどうか? と、綺麗な
モノは強いか? って聞いただけなんですけど……
エンの答えに、今度は和也が困惑するのだった。