114★飛竜の騎乗の仕方
悩んでもなんの解決にもならないので、和也はエンに聞く。
「飛竜への騎乗方法は、一般的に
どんな方法で乗っていますか?」
和也の質問に、エンは微妙な表情で答える。
「飛竜の首に、縄を投げて固定して
それを腕の力で登ったり、腕の力に飛竜の身体を
軽く蹴る足の力を使ったり……
魔法を使って…空中を歩いたり…と色々でしたね」
エンの説明に、飛竜騎士達の脳筋ぶりを知らされて和也は、ちょっと嫌そうな顔をする。
飛竜騎士って名前が付いていても…………
所詮は、軍人なんですね
見事に、脳筋ですね……でも…鍛錬とか…
訓練の一角だからって…………
やってる可能性も否定出来ませんね…………
なんか、自衛隊のレンジャー部隊とか
消防士の訓練って感じかな?
エンのお陰で和也の中で飛竜騎士は、脳筋のレッテルがはられてまった。
「そうですか…う~ん…」
ガッカリしたという表情で和也が言うと、エンはさらに追い討ち?をかける。
「飛竜の首に縄をかけるのは、その飛竜と
《契約》した主だけだから……今回は……
フウカ達に風魔法で運んでもらった方が
イイと思う…たぶん…きっと……」
飛竜の首に縄をかけるって……
《契約》…の証なんですか?
なんか物騒な気がします……でも…それが…
こちらの常識なんでしょう
気力が萎えたので、ズルしましょう……
フウカに…かけさせましょう…
ボクはサボリでイイです…………
ちょっと疲れてしまった和也は、フウカに頼むことにした。
そして、和也は、フウカが2人に魔法をかけると宣言した。
「では、エンの言う通りにしましょう……
エリカ…エルリック…風魔法を風の精霊がかけます
……それで…イイですか?」
和也の提案という名の命令に、2人はこくっと頷いた。
それを、了承したと受け取ったフウカが、さらりと言う。
『空歩』
すると、2人の身体に仄かな光がまとわりつき、ふわっと浮かび上がり、優しい風に2人の鞍まで飛ばされた。
突然の風に、鞍まで飛ばされた2人は、座らずに銀嶺と和也を見ていた。
初めての騎竜?に驚いている2人に、和也は命令?する。
2人が、ぼんやりしている間に
命綱を付けさせた方がイイですね
あっ…その前に…座りなさいって……
命令しておきましょう
「エリカ、エルリック…鞍に座って下さい……」
和也の命令に、意識を取り戻した2人は、はっとした顔で頷く。
「「はい」」
和也の命令に従って、2人は大人しく鞍に座った。
それを見てから和也は、2人に話しかける。
「これから、空を飛ぶ為に、命綱を付けます……
本来は自分で付けるモノなんですが……
今日は、初めて銀嶺に乗るので…チカ達が付けます
……イイですね?」
和也の命令に、2人は、素直に従った。
「「はい」」
なにぶん、初めてのコトが多すぎたので…………。
エリカもエルリックも、こんなにまじかで、飛び回ったり走ったりする精霊達を、見たことが無かった。
それに、魔法をかけてもらったのも初めてだった。
飛竜に騎乗することも…………。
というコトで、2人は、軽いパニックを無自覚で起こしていた。
だから、敬愛する主の和也の命令に縋ったのだ…………。
素直な2人のお返事に、和也は頷いてから、チカ達に命令する。
「チカ、チエ、チホ、エリカとエルリックの命綱を
厳重に強固にしっかりとつけてください」
「「「はい、ますたー」」」
にっこり笑顔のお返事とともに、チエ達は、姉弟に命綱をせっせとつけた。
命綱の状態を何度も確認して、満足したチエ達は、和也に言う。
「ますたー……命綱…ちゃぁ~んと付けたよ…」
にこにこ笑って自分に報告するチカ達に、和也はにっこり笑う。
「ありがとう…チエ…チカ…チホ…」
和也からのお礼の言葉に、チエ達は、嬉しくてついクルクルと回ってします。
「嬉しいぃぃぃ……ますたー…もっと…命令して…」
「ますたー……もっと…お仕事……欲しいです…」
「もっと…いっぱい…ますたーの為に…
色々なモノを作りたいです…」
キラキラした瞳で、仕事をねだるチカ達に和也は苦笑する。
ボクの天幕に言われる(命令)まで入らなかった
2人の為に…………
せめて、天幕ぐらいは欲しいです…………
「では、エリカとエルリックの2人が
暮らせる天幕を用意できますか?」
「「「はい…ますたー」」」
こうして、エリカ達は、新しい自分達専用の天幕を手に入れた?のでした。