111★これって、異文化(庶民?VS貴族?)交流?
そのエリカの視線は、和也とエルリックに交互にそそがれる。
和也は、エリカとエルリックが、衣装を掴んで鏡を見た時点で、ナミ達が作る水球の中に入った。
和也は自分が居なければ、エリカ達も着替えやすいと思ったのだった。
2人は、姉弟なんだから、ボクが居なきゃ…………
さっさと着替えますね………
また、このど派手な衣装を着ると思うと
はぁ~……なんか…いたたまれないです
でも、恥ずかしいからって、新しいのを
作らせるのは………ちょっと………
やっぱり……もったいないですよねぇ……
人間、諦めが肝心です……
もしかしたら……飛竜に乗った興奮で…
ボクの姿を忘れてくれるでしょう……
たぶん……きっと……
はぁ~あぁ……緋崎くんなら……
ボクが忘れてって言えば、絶対に…
ボクの姿を忘れるのに………
浅黄くんなら……一緒にしてって言えば……
どんな格好でも…恥をかいてくれるのに……
きっと、この格好なら…たまに……
コスプレも面白いねって……
一緒に楽しもうよって…言ってくれるだろうし
赤沢くん達なら……ボクのすることは
…なんでも…面白いと…
笑って付き合ってくれる…
緑川くんだったら……和也だけに…
不憫なマネはさせられないって……
苦笑して…付き合ってくれる……
なんだかんだ言っても…付き合いイイから…
青木くんは……なに、馬鹿なコトやってんだぁ~…
罰ゲームかぁ? …ホラッさっさと終わらせるぞ……
って言って……さらっと…付き合ってくれる…
紫島くんは……なぁ~にぃ~やってんのぉ~……
モタモタしてたら……赤沢ツインが……
当たるを幸いにぃ~……周りの人間達を~
おもちゃにしちゃうよぉ~……
って言いながら付き合ってくれるのに………
はぁー………逃避しても仕様が無いですね……
この姿を、あの2人にさらしましょう
自分の思考にどっぷりとはまった和也は、着替えながら無意識で百面相をしていた。
…ふと気が付くと、和也は、あの軍服を着ていた。
思ったより、時間がかかりましたね……
さて、あの2人は………まだ……
固まっているように見えますが………
どうしたんでしょうか?
とりあえず、声をかけてみますか?
和也は、何も考えずに、エリカ達に声をかけた。
「まだ…着替えてなかったんですか?
もしかして…サイズ合ってませんでしたか?」
和也の質問に、エリカが、恥ずかしそうに頬を染めて答える。
「あの……着替える場所が…無かったので…」
一方のエルリックも困ったなぁ~という表情で和也に言う。
「姉は……もう少しで15才です」
突然年齢の話しをするエルリックに、和也は首を傾げる。
「そうですか……で…エルリック…君は?」
和也の困惑をよそに、エルリックはさらりと答える。
「僕は、13才です」
姉弟の年齢を知ったのだからと、聞かれもしない自分の年齢も教えようとする和也だった。
「そう……ボクは…15才です…」
和也のどこかズレた答えに、エリオットは、出来るだけ丁寧にわかりやすく自分達の常識を説明しようとした。
「主様…僕の国では、成人に近い女性が
…外で…まして……弟と言えど、男の前で…
着替えなぞ、出来ません
…また…ここは…オアシスです……
いつ何時、キャラバンが来るとも限りません
……そんな危険な場所に……
女性を1人にしておけませんので
僕は、ここにいました」
エルリックの説明に、和也は頭を抱えた。
マジですか? 姉弟なのに……
外で…着替えられないって………
でも……天幕とか…あるんですけどぉ~…
もしかして……天幕に入って着替えなさいって…
命令しなかったから?
そう言えば、前にやっていたRPGゲームで
……オートのゲームイベントだと思って
コマンド(命令)入れなかったら……全滅したっけ……
もしかして……それと同じ状況なの?
さっさと着替えるように……
ボクが言うしか無いですね……
これって、ジェネレーションギャップ?
庶民と元貴族の常識の違いとその溝の深さってコト?
あっ……でも……こんなにジタバタしているなら………
ボクの衣装のコトをスルッと忘れてくれそう………
「エリカ、エルリック
あそこに、ボクの天幕があります…
そこで…着替えてください……
中には…布と衝立で…
区切られていますから……
それと、誤解の無いように言っておきますね
ここには、キャラバンなどは来れません
水の精霊の《結界》がはられていますから……
招かないかぎり、ここに入れないので
安心して着替えて下さい」