108★色の持つ意味は……色々ですね
チカ達は、オジジとオババに色々と手伝ってもらい、姉弟の衣装を作り上げ、作ってもらった剣を持って和也の前に現れた。
チエが、にこにこ笑って和也に、作った衣装や剣などを差し出した。
それを受け取った和也は、チエ達にお礼を言う。
「ありがとう」
和也の前でチカ達は、嬉しそうにくるくると回ってから言う。
「嬉しい…ますたー…もっと…もっと
お仕事ちょうだい」
その言葉に、和也はちょっと考えてから答える。
「この衣装とかを、2人にも見やすいように
どこかに置きたいんだけど?」
すると、チホは、和也の前に、大きく長さのあるテーブルを出した。
そのテーブルの上に、和也は、衣装とマント、ブーツや手袋、剣帯や剣などをざっと並べて置いた。
それを見た和也は、自分の衣装と比べて地味に見える二人の衣装に、ちょっといやかなり切なくなった。
ボクの衣装は、真っ白に金だったのに…………
2人の衣装は、黒と金なんて…………
なんか……地味で……うらやましいです
でも、銀嶺に乗せると考えると…………
ものすごぉーく目立ちますね
チカ達の作る衣装って…………
もしかしなくても、派手なモノだけなんでしょうか?
そう言えば、以前、青木くんと浅黄くんが言ってたっけ
『なぁ…白と黒ってさぁ……どっちが………
派手っていうか…目立つんだ?』
『ん…洋服で白と黒を比べると………
黒の方が派手なんだ』
『でもよぉ~花嫁衣裳って白だから
白のが派手なんだろ?』
『違うって…黒の方が…派手なんだ…
だって…街中で白のTシャツよりも
黒のTシャツの方が目立つだろ』
『ああ…たしかにな…白のTシャツと
黒のTシャツで比べるなら…黒だよな…』
『それに、黒を着ると、顔も体も
引き締まって見えるって、効果もある』
『白にも…そんな…良い効果って…
あるのか?』
『良い効果とは言い切れないけど…
まぁ…あるよ………』
『どんな?』
『白って膨脹色なんだよねぇ~』
『膨脹色ぉ~?』
『太ってみえるんだ』
『マジで?』
『うん……だから…白と黒の衣装で
…撮るスチールは、ちょっとね』
『ふーん…白って…清潔とか…綺麗って
…イメージなのになぁ~………』
『それもあるけど…………』
『なんか、歯切れが悪いな』
『白って、とても汚れが目立つけど……
黒って…汚れが目立たないってのも有る…』
『そうだよなぁ~……う~ん…今年の夏は……
白Tシャツやめて…黒Tシャツにすっかな?』
『青ちゃんが、黒Tシャツだけにしたら
怖そうとか悪そうって言われるよ』
『んだってぇー…………』
なんて、会話していましたよねぇ~……はぁ~……
でも、浅黄くんは、花嫁衣裳の貴方色に染めてって
言葉は言いませんでしたねぇ…………
それと、未亡人にとって、黒は何者にも染まりません
……貴方だけを愛してます…って意味もあるって………
ボクには言ってたのに…………
まっ…青木くんには…そのへんのデリカシーは無いって
判断してたんでしょう
あぁ~あ………こんなコトを思い出したら
早くラ・ロシェールに行って、みんなに会いたい
って思いましたよ……本気で……
いっそ、銀嶺に乗ってそのまま…………
いやいや、頼まれたキャラバンの行方不明者を
探す必要もありますし…………
今日は、飛竜騎士の秘密だけで充分ですね
でも、あの派手? な衣装とサークレットを
また身にまとうのは…………
ふぁいとぉー……ボク…ですね…
苦悩している和也にお構いなしなチエ達は、クリーニングした衣装と手入れをした剣とサークレットなども、そのテーブルに並べていたのだった。
自分達に与えられて衣装と和也に出された衣装を見て、エリカ達は溢れる涙を堪えるだけでいっぱいいっぱいだった。
飛竜騎士を要する国には、必ず、ラ・アルカディアンの皇帝や皇位継承権を持つ皇子、貴族などの飛竜騎士の絵姿(精霊が描いたといわれる肖像画のレプリカ)が、飛竜騎士の騎士舎に掲げられていたから…………。
身内に、飛竜騎士を持つ者達は、騎士舎に顔を出して、その煌びやかな絵を1度は目にしていたので…………。
エリカ達も、今は亡き曽祖父エドワードに連れられて、騎士舎に出入りしていたので、その絵を見たコトがあった。
だから、衣装の色とマントの表裏の色でその身分階級が、ざっくりとわかるコトを知っていたりするのだ。