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107★ラ・アルカディアンで使っていたモノ


 

 精霊達と《契約》し従える者でもあるラ・アルカディアンの皇帝を始めとする飛竜騎士達は、騎竜(騎乗)するときに、持つ剣を人の手で作らせることは無い。


 否、皇帝達を愛する地の精霊達が、自分達が作ったモノ以外を身につけるコトを嫌うからであった。


 だから、皇族からなる飛竜騎士達は、地の精霊が、オリハルコン、陽輝鋼、月輝鋼、星輝鋼などで、作る剣をその手に握る。


 皇族の血を引く貴族からなる飛竜騎士達は、聖輝銀、精輝銀、陽銀、月銀、星銀、ミスリルなどで、地の精霊達が作る剣を握る。


 皇族の血が入っていない貴族や平民からなる飛竜騎士達は、ミスリルに、陽銀を混ぜたモノ、ミスリルに月銀を混ぜたモノ、ミスリルに星銀を混ぜたモノ、純粋にミスリルだけのモノを使って地の精霊が、剣を作りそれを手にする。


 地の精霊達の作る剣には、守護や加護の魔法がかけられているし、持ち主の属性に合わせた《魔力》も付与されている優れものだった。


 火の属性のある者が振る剣は、炎をまとい、炎を飛ばすなどと色々な《力》を発揮する。


 もちろん、他の水や風や地や光や闇の属性を持つ者も、剣を振ると色々な魔法が発動される。


 それらの剣は、一点モノで、持ち主が死ぬと、付与されていた《魔力》は消え去り、切れ味が抜群で、軽くて丈夫なただの剣になる。


 また、飛竜騎士の衣装は、持ち主と共に燃やしつくされる。


 地の精霊の作った衣装は、持ち主が死ぬとその《力》を失い、また、その加護や守護も消え去り、ただの美しい布となるので簡単に荼毘にふせるのだった。


 騎竜達の鎧は、主が死ぬか、飛竜自身が死ぬと、淡雪のように空気に溶けて消えてしまう。


 その他に、額につけるサークレットも地の精霊が作る。


 コレは、その時々の皇帝が、飛竜騎士を任命する時に、地の精霊達にサークレットを作るコトを依頼する。


 ラ・アルカディアンの皇族や貴族は、子供が生まれると陽輝銀を使い守護石を入れたピアスを作りその身の守護として与える。


 平民達は、子供の出生届を出すと皇帝より、ミスリル銀で出来たピアスをもらう。

 そのピアスを、親達は、子供の守護として与えていた。


 これは、国民の正確な戸籍を作るための投資でもあった…………。

 それと、ラ・アルカディアンの国民の証でもあった。


 そのピアスは、生涯その身から取り外すことは無かった。

 ピアスは、持ち主の死とともに、荼毘にふされるので、誰の手にも渡らなかった。


 ラ・アルカディアンは、広大な帝国だった。

 その国内には、いくつもの鉱山があった。


 その中にあった銀山の銀に、皇帝が有り余る《魔力》を与えて、ミスリル銀を作っていたので…………。


 皇帝や国家にとってミスリル銀はさほど高いモノではなかったから…………。


 このような目に見える色々なコトが、ラ・アルカディアン以外の国にとって羨望の的だった。

 が、ラ・アルカティアンの《力》に敵う国は無く、その豊かさを歯噛みしながらただ見詰めるほかなかった。


 その怒りや羨望などの負の念が、ラ・アルカディアンを滅ぼした流行病を産んだのではないか?と言われていたりする。 

 閑話休題。



 チカ達に剣を作ることを依頼されたオジジ達は、現世とちょっとずれた精霊界より、姉弟をジーッと見詰める。

 そう、資質を確認するために…………。


 地の精霊の主と言っても良い、和也に

 仕える《力》と《心》があるか?

 どの程度の《力》があるか? 


 《力》の伸びしろが、どの程度あるか?

 などを考えながら姉弟を見詰め

 どの剣を作るかを決めた。


 「あの姉には、月銀とミスリルを半々が

 限界じゃのお」

 

 「弟の方は、陽銀とミスリルを……

 陽銀をちぃーとばっかり大目にするかぁ」


 「ふむ……それが……よかろう」


 「しっかし、この頃の人間達は《力》が無いのぉ」


 「ほんにつまらんわ……わし等の《力》を

 これでもかと…使った作品を使えるのは

 今は、ますたーのみ…」


 「いやいや、わし等の《力》いっぱい込めた

 品々をよういに使いこなせた人間は…………

 昔しっからラ・アルカディアンの皇帝のみじゃったぞ」


 「なにを言う…今のますたーの《力》の方が……

 彼の代々の皇帝よりも、はるかに強い」


 「ああそうじゃのぉ~………………

 《精》も《魂》も尽き果てるほど…

 《力》を使い精進して作るのは…楽しいのぉ……」


 「そんな渾身の品を作るのは

 古き神々に奉げる品を作るときだけと

 つい最近まで、思っていたがのぉ~」


 「ますたーは、古き神々を超える神々の加護と

 守護を得ているし…………」


 「人の世に降り立った彼の神々と同じ《力》を

 持つゆえのぉ~」


 「わし等以外の作る剣は、使えぬしなぁ~」


 「ほんに、楽しいのぉ~」


 チカ達に、オジジと呼ばれる集団は、のんびりと会話をしながら、姉弟の剣を作り上げた。


 彼らにとって、簡単すぎる作業でしか無かったのだ…………。

 そう、眠りながらでも出来るほど…………。


 オババ達に手伝ってもらって、チカ達が作った衣装は…………。


 ラ・アルカディアンの飛竜騎士の正装だった。

 それも、下級の貴族の飛竜騎士だが、皇子の近衛でもある服装だった。


 姉弟の服は、黒でマントの裏地は白。 

 使っている糸は金、飾り鎖も金というも皇族と同じ金をあしらっていた。


 握る剣は、その内容は違っていたが、鞘はミスリルに黄金の意匠があしらわれていたし、柄には姉弟の瞳と同じ色宝石が嵌められていた。








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