106★姉弟の衣装を作るには?
和也と姉弟が、飛竜騎士の秘密について会話していた、その頃。
実は、地の精霊であるチカ達も色々と話しあっていた。
それは、姉弟に着せる衣装についてと、剣などの装備についてだった。
まず、チカが、チホやチエに質問する。
「ねぇ~…あの姉弟の衣装、どんなのにする?」
チカの質問に、チエもチホもにこにこ笑って答える。
「どうせならぁ~…ますたー…とぉ……
お揃いの衣装がイイよねぇ~………」
「ラ・アルカディアンの飛竜騎士は
男も女も同じ衣装だったしねぇ………」
コクコクと頷きあう3人だった。
が、いざ衣装を作ろうとしたとき…………。
3人は、小首を傾げて苦悩する。
「ますたーは、特別な《力》を持っていたから
皇帝と同じ衣装にしたけどぉ~…………
あの姉弟達の持つ《力》は、普通の人間よりぃ
ちょっとあるよねって……程度なんだよねぇ……」
「うん…あんまり…《力》を持っていないよね…」
「どの程度の布を使えばイイのかなぁ~?」
「でも、あの翼竜から落ちたときを考えるとぉ~……
加護を付与出来る程度の布…を使う必要があるよね?」
「うん、あの姉弟にケガさせたくないって……
ますたーは…思ってるよね?」
「う~ん……どの程度の衣装にすれば…イイのかな?」
「困ったねぇ」
「「「…………」」」
「やっぱ……オババ様に聞いてみようか?」
「そうだねぇ~………ますたーの衣装も
オババ様に聞いて作ったんだし…………」
「それと、あの姉弟に握らせる剣はなにで作る?」
「う~ん……あの2人だと…ミスリルだよね…」
「どの程度のミスリル剣にする?」
「う~ん…困ったねぇ~……
視たところ……姉の…属性は風と水だし……」
「弟の属性は風と火だしねぇ…………」
「属性に合わせて…………」
「でも、どの程度の《魔力》を
まとえるようにすればイイの?」
「あぁぁぁ~あ……ますたーと違って…
制限バリバリだから……………」
「作るの大変だよねぇ…………」
「なんか……面倒くさいよね……」
「「「…………」」」
「そう言えば、あの翼竜の鎧とか装備は
オジジ様達が楽しそうに作ったよねぇ~」
「うふふ…オジジ様達に…作ってもらおうか?」
「それで……イイと思う……」
「賛成……」
「アタシ達は、ますたーに命の焔石を
いっぱいもらったんだから…………」
「うん……ますたーのお願いは…
全部…アタシ達が叶えるの」
「うんうん…それで…ますたーに…喜んでもらうの」
「ますたーのお仕事は楽しいし…………」
「とにかく、オハバ様に聞いてみようよ」
話しがまとまった3人は、さっそくオババ様のもとへと走っていった。
走ってきた3人に、オババ様達はにこにこと笑っている。
オババ様やオジジ様と呼ばれている地の精霊達は、古い時代に、ラ・アルカディアンの皇子達や皇女達の衣装を作ったりしていたのだ。
勿論、手にする剣や槍、弓や盾などの装備品などを作ったりした。
そして、当然、その騎竜の鞍や鎧や装備品を作っていたのだ。
だから、曽祖父や曾祖母達に、どんなモノを作ったか教えてもらった世代の精霊達だった。
特殊な糸を使い織り上げた特別な布に特別な染料で染めたりして作った布……。
特別な刺繍糸を作り、特別な布に刺繍をしたり………。
などどいう、色々なコトを教えてもらっていたのだ。
地の精霊が作る特別な布をまとえるのは、ラ・アルカディアンの皇帝を筆頭とする皇族達だけだった。
その血を受け継ぐ貴族達は、皇族達より内在する《力》の低い布や刺繍糸などを、地の精霊達が作り、人間達に手渡していたのだった。
それは、地の精霊が、丁寧に作ると《魔力》が多すぎるので、神官達の加護や守護の魔法が思うようにかけられなくなってしまうから…………。