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102★オアシスにて、奴隷の姉弟との会話



 弟・エリオットの困惑ととも、微妙なモノが含まれて止まった言葉に、和也は、姉・エリカに視線を移す。

 と、エリカはひとつ会釈して、続きを話し始める。


 「黙っていても……なんの意味もありません

 ……主様、我が家は、王家に対する謀反の疑いで…

 爵位も地位も領地も…命すら…剥奪されました…」


 エリカの言葉に、エリオットも沈んだ口調で続ける。


 「当主である…父も…先代当主の祖父も……

 ワーグリンの血を引く……一族の成人男子は

 全員…処刑されました」


 いったん、言葉を切り、エリオットはうつむいて、つらそうに言う。


 「僕は、成人前だったので奴隷に売られました…………」


 あんまりに重い内容に、和也は言葉を失う。


 えっとぉぉぉぉ………この内容って…………

 RPGにしては、重すぎますね…………

 あっ…でも……ドラ○エで…………

 主人公とか、王子様が奴隷になっていたりしましたね

 これも、ありなんですか?


 「…………」


 沈黙する和也を了承ととり、エリカは淡々と続ける。

 が、その瞳は絶望を浮かべていた。


 「一族の女は、奴隷として売り物にならない…

 祖母達が……殺されました…

 基本は、奴隷として売られました」


 エリカの言葉に、無意識にエリオットは頷いて、続ける。


 「僕にとって……姉上以外は、死んだも同然です」


 うぅ~ん…ひと言で、謀反と言っても…色々あります

 この姉弟の背景がわからないとどうにも………

 とりあえず、ひとつずつですね


 「そう……ですか……では…………

 使用人や領民は、どうしたんですか?」


 和也の質問に、クッと唇を噛んだエリカがつらそうに言う。


 「屋敷に使えていた使用人は

 男も女も、奴隷として売られました」


 エリオットも頷いて続ける。

 

 「使用人達も、男も女も

 奴隷として売られました」


 自分達の身の回りの世話をしていた、親しい者達の行き先と待遇を思い、肩を落として言う。


 「領民達は、農地と税の都合もあるので……

 そのままになっています」


 和也は、なるほどと頷きながら、更に問い掛ける。


 「君達は、その謀反とやらに、係わっていたの?」


 エリカは、ちょっと小首を傾げててから、なにが謀反に繋がったかわからないので、自分の家と立場を言う。


 「わかりません…………我が家は…………

 曽祖父の代まで、飛竜騎士でした……

 国に忠誠を奉げています……

 国王に奉げるのは、国を護る為の剣のみです」


 エリカの言いたいことを理解し、その内容に眉をひそめる。


 「あのー……聞きますが? 飛竜騎士は………

 国王に、忠誠を誓わないんですか?」


 和也の質問に、なんと答えてイイか迷い、飛竜騎士達の間での約束事もあるので、エリカは素直に言う。


 「飛竜騎士は……言えません……」


 和也は、エリカの様子から、複雑な事情があることを考える。


 「何か事情があるんですね……

 では…質問を変えます…

 貴女は、一族の人間達を探したいですか?」


 和也が追求せずに、自分達のことを心配しているのを感じて、その嬉しさを噛み締めながらも、首を振る。


 「出来れば探したいです

 でも、私達は主様のモノです……

 そんな時間も自由もありません……」


 和也は、エリカやエリオットの心情を考えて、提案してみる。


 「だったら、その奴隷のサークレットを解除して

 解放奴隷にしましょうか?」


 エリカは、和也の提案に、驚きに見開いてから、諦めの色を浮かべて首を振る。


 「いいえ、私達は、奴隷でいるなら

 祖国の者達に殺されたりしませんが……

 解放奴隷になれば……殺されるか……

 また…奴隷に売られるだけでしょう…」


 エリカの言葉に絶句する和也に、エリオットは切なそうな表情で、説明す。


 「奴隷であるから、僕は、生かされています……

 成人した状態で解放奴隷という状態になれば……

 処刑が待っているだけです」


 あまりな内容に、頭痛を覚えた和也は、思ったことをそのままポツリと口にする。


 「えぇ~と……けっこう…酷いですね…」


 和也の感想?に、エリカは淡々と、そう、他人事のように答える。


 「そう…ですね…………でも………

 国王に、反逆と言う罪を犯したというならば……

 一族郎党皆殺しは、普通にありえます」


 エリカの答えに、和也は首を傾げた。


 「では、なぜ、今回はそうならなかったんですか?」


 和也の質問に、なにが謀反かわからないエリカは、首を振りながら言う。


 「ワーグリン家が、本当に反逆していなかったからです」


 エリカの言葉に、和也は不機嫌になりながら、呟くように言う。


 「……それって……冤罪ですよね?」


 和也の表情と言葉に、エリカは意思の強い双眸を伏せる。









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