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001★目覚めたら砂漠

001★序章‥‥‥‥目ざめたら砂漠



 緩やかな覚醒の感覚に導かれて、ゆっくりと閉じていた瞼を開いた和也は、一瞬、自分がいる場所が判らなかった。

 

 和也が目覚めて一番最初に知覚したモノは、瞳に映る光景と素肌に感じるモノだった。


 えぇっとぉ~‥此処は何処だろう?


 ボォーとした頭で、和也は雲一つ無い青く澄み渡る空を見上げて、無意識に首を傾げる。


 ‥うわぁ~‥見たこと無いくらい綺麗な青空だなぁ~‥‥‥。

 じゃなくってぇ‥ボク、どうしたんだっけ? はて?


 自分の三半規管で感じる感覚から、どうやら寝ているらしい事を自覚して、和也はゆっくりと躯を起こす。

 

 「え~と‥‥って‥‥‥っ‥‥‥砂漠?」


 目の前に延々と広がる、いったい何処まで続くか判らないような砂の海の光景に、和也は呆然とする。

 あまりの光景に目を擦るが、やはり目の前は砂の海だった。


 「なんで? ボクはこんなところにいるんでしょうか?」


 誰にともいう訳ではなく、現在自分の身に起こっている事を認識する為に、無意識にぼやいた和也は、辺りを見回す。


 取り敢えず、今、ボク砂漠に居る。

 どんな理由でこうなったかは判らないけど‥‥‥‥。

 普通の日本の高校生で、砂漠の民のような体力の無いボクが、こんな日差しの強い中でボォーっとしていたら、直ぐに干上がって、熱中症になっちゃいますね。


 時折素肌や頬を擽るように、緩やかに吹き抜ける風の感覚と、真夏の日差しにチリチリと肌素を焼かれるような微かな痛みにも似た感覚に、和也は無意識に苦笑いを浮かべる。

 空を見上げれば、青く澄み渡る空に、ギラギラという描写が付きそうなほどキツイ日差しを放つ太陽が燃え盛っていた。

 その強すぎる太陽光の眩しさから、思わず掌で両目を庇うように影を作ってから、和也は辺りを見回す。


 う~ん‥本当に、なんにも有りませんねぇ~‥‥‥。

 見渡す限り延々と砂の海ですか‥‥‥。

 どうみても、これはやっぱり、砂漠ですよねぇ‥‥‥。

 困ったなぁ‥‥‥。


 本当に困っているのか?というようなぐらい危機感の薄い表情で、和也は自分の手首を見下ろす。


 えぇ~と‥‥‥?‥‥あれ?‥‥ボクの時計‥‥無い?

 ‥‥どうして、手首に嵌めていた筈の時計が消えてるんでしょうか?


 首を傾げた和也は、即座に無いモノは仕様が無いと意識を切り替える。


 「はぁ~‥時計が無いから、今の正確な時間は判らないですけど‥‥太陽が中天にあるから、お昼前後でしょうかねぇ?」


 そう呟いた和也は、何処か日差しを避けて休める場所が無いかと、立ち上がってもう一度辺りを見回す。

 そう、今の今まで、目覚めた和也は躯を起こしものの、そのまま砂漠に座り込んで首を傾げていたのだ。

 立ち上がったことで視界が広くなった和也は、取り敢えず自分の前方にあたる砂漠を見渡す。

 勿論、強い日差しから瞳を守る為に掌で影を作ったまま、ぐるぅ~と辺り一帯を観察する。

 取り敢えず、何処でもイイから日陰かな?

 こう日差しが強いと‥思考がまとまりません‥‥‥。

 何処かゆっくり休める場所を探してから、考えましょう。


 和也は、視界の前方に広がる、遠くまで緩く波打つ砂丘の連なりを丹念に見詰め、日陰になりそうな目ぼしいモノが無い事を見て取る。


 「はぁ~‥‥‥前方に‥目ぼしいモノ‥ありませんね‥」


 ポツリと呟き、和也は自分の背面に位置する光景を確認する為に、向き直る。

 すると、今度は直ぐに連なる砂丘以外のモノが和也の瞳に飛び込んで来た。

 オアシスらしいモノを発見して、和也は無意識に歓喜の声を上げる。


 「あっ‥あぁ良かったぁ~‥‥少し距離はありそうだけど、オアシスがある‥‥」


 今立っている場所からでも、はっきりと緑色と水色が見えた和也は双眸を細めてながら呟く。


 「おっきな‥あれは‥‥ヤシの木かな?‥があるから、日陰も有るし、取り敢えずあそこに移動しよう」


 砂漠で生えている、緑色のモノっていったら、ヤシの木だよね‥たぶん。

 こままのこんなところでボォーっとしてたら、あっという間に干上がっちゃうし、熱中症になっちゃうよ。

 和也はなんでこうなったかという理由は判らないものの、取り敢えずという事で、オアシスに向かう。











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