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「つまり、存在しないんだよ。物怪村なんて村は」
榎木田は、結論として、そう断言した。勿論、納得出来る訳もない。
存在しないなんてのは、有り得ないのだ。現に俺はここにいる。物怪村に住んでいる。昔から、大人達だってそう呼んでいる。
「だから、隠されているんだよ。うん、ここは確かに村だよ。でも、"物怪村"じゃない。物怪村なんてのは瞞しだよ。みんな騙されてる。この村に住んでいる人も──村の外にいる人も」
「いや、何言ってんだよ、騙すって、まさに今のお前じゃねえかよ」
俺を騙すにしては相当雑な嘘である。なめられている気がする。
「いやぁ、私は騙してなんかいないよ。騙されてもいない。現にほら、みんなはここを物怪村と言ったり、福来村と言ったり様々じゃない?でも、人ならざるモノは騙せない。GPSなんてのは、いくら何でも騙しきれないんだよ」
だから消えたんだ──と、榎木田は言う。
全く分からない。