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未来今昔物語

【未来今昔物語】リアル戦争ごっこ

作者: 光東夢 慶
掲載日:2015/07/08

 今は昔、あるシューティングゲームが世界中で人気を博していた。

 一人称視点で操作し、画面に現れる敵を倒していくゲームである。

 プレーヤーは、ヘッドバンドのような装置を頭に着け、目をつむるだけで臨場感たっぷりのゲームが楽しめる。ただし、プレーヤー同士が敵味方に別れて戦うことはできない。

 敵の独特の動きが人気の一因ともなっていた。コンピューターの計算とは思えないほど、緻密な動きで攻撃してくる。統率力が高く、連携をはかりながら組織的に動き、正面攻撃はもちろん、奇襲もしかけてくる。その動きは、非常にリアルで【意志】のようなものを感じていた。

 一方、プレーヤー側はほとんど烏合うごうの衆である。有志で隊を組織して遊んでいるプレーヤーもいるが、ほとんどは各自思い思いに遊んでいた。

 職業軍人のような敵の動き。素人丸出しのプレーヤーの動き。必然的にゲームの難易度は非常に高くなる。

 しかし、プレーヤーは倒されても復活できるため、何度も楽しむことができる。ただし、参加プレーヤーが多いときには、復活まで長時間待たされることがあった。


   ***


 異変は突然起こった。世界中にいるこのゲームのプレーヤーばかりが相次いで死体で発見されるようになったのである。

 死体は、文字通りの『死体』というより、『消し炭』のような状態で発見された。

 例えば、ベッドや自動車のシートの上で人型の消し炭になって、ソファの上やコタツのかたわらでうずたかく盛られた山のような消し炭になって発見された。

 わずか半月の間に、このゲームのプレーヤーばかりが、世界で数千人亡くなっていた。しかも、なおも一日に二〇〇から三〇〇人、それ以上の割合で亡くなっている。

 原因については、さまざまな憶測が飛び交った。しかし、人体が消し炭のように消滅する現象を説明するには、どれも不十分であった。オカルトめいた噂さえ数多く広まっていた。

 世界中で起きているこの現象を受け、プレーヤー数も急速に減少していった。しかし、全くいなくなったわけではない。いまだ数十万単位のプレーヤーが、『自分は大丈夫だ』と思いながら遊んでいる。


   ***


「作戦は順調です。操縦者が急速に減少しています」

 話し声が聞こえる。

 声の主は、羽毛に覆われた二足歩行の動物である。どこかの星の知的生命体らしい。

 正面から見るとくちばしがあり、フクロウの着ぐるみを着た人間のようにも見える。

「うむ、ご苦労」

 もう一人の知的生命体が答えた。こっちは、ミミズクのようななりをしている。上官らしい。

 ここは、とある太陽系外惑星。この星に住む知的生命体は、二つの勢力に別れ、先の見えない戦争を繰り広げていた。

 両勢力とも、陸戦の兵士は、主に人型ロボットを使用している。

 先ほど登場した人物の勢力を仮にA軍、その敵対勢力をB軍としておこう。

 A軍は、敵側であるB軍の基幹コンピューターの大量破壊に成功した。

 B軍は、コンピューターの処理能力の一部を大量のロボット兵の指揮と動作に回していたが、基幹コンピューターの多くを失ったため、その余裕を一時的に失ってしまった。しかも復旧までには時間がかかる。

 しかし、資源や工業力、生産力はA軍をしのいでいた。そこでさまざまな対策を模索した中、採用された一つが別の星の知的生命体を利用する案であった。

 つまり、地球にいる人類に自分の星のロボット兵を操縦させようという試みである。

 B軍は、地球の人類そっくりの人工生物をつくると、地球に何人も送り込んだ。送り込まれた人工生物は、本星から資金提供を受けて会社を設立。はるか彼方の故郷で戦うロボット兵を操縦するシューティングゲームを開発し、全世界に配信したのであった。

 異星人の技術により、地球人は、通信の時間差をほぼ感じることなく操縦することができる。もちろん、自分たちがはるか彼方の星にある実際のロボット兵を動かしているとは思っていない。

 地球人の動かすロボット兵は、主に陽動作戦に投入され、本隊とは別行動で作戦を展開していた。統率が取れていないとはいえ、A軍にとってはうるさい敵になっていた。

 やがて、B軍のもくろみに気付いたA軍も、地球人そっくりにつくった人工生物と、肉眼で捉えられない小型の無人兵器を送り込み、プレーヤーそのものを処分して、敵の戦力を削ごうと考えたのであった。

「敵のゲームで遊ぶ人は、やがていなくなるでしょう。我々の兵器がゲームの送信電波を感知して自動的に操縦者を排除していますから……。同時に敵のゲーム開発企業への潜入も試みています」

 フクロウに似た生物は、上官に気を付けをすると、きびすを返し、その場を去っていった。


(了)

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。


本作のような掌編ではありませんが、この場をお借りして他の作品も紹介させていただきます。


  生体甲殻機 キセナガ

  http://ncode.syosetu.com/n6274ce/

  ヌエ ~極限状態に生きる人びと~

  http://ncode.syosetu.com/n4944ck/

  地球外兵装 アルダムラ

  http://ncode.syosetu.com/n5807co/

  ※各URLは『小説家になろう』内の投稿ページに移動します。


拙作で恐縮ですが、少しでもお楽しみいただけましたらうれしく思います。

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